たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

     2001年10月17日、『ウルトラマン』(1966)でバルタン星人を生み出すなど、数々の傑作をウルトラシリーズに残してきた飯島敏宏監督が誤嚥性肺炎で亡くなった(享年89歳)。


     胃の手術などで体力が減退していることは知っていたが、『ULTRAMAN ARCHIVES』でのインタビューに出演して元気に述懐していたのを観たときは安心し、もっと長生きしてほしいなと思っていたが、ついにこのときが来てしまった。

     バルタン星人が登場する第2話「侵略者を撃て」は製作第1話。つまり、パイロット版であった。TBSの栫井巍プロデューサーから「科特隊のキャラ付けをしっかり頼む」と依頼を受け、時間がない中、暗中模索状態で筆を走らせたというが、それでこの出来栄えは本当に敬服する。安定のムラマツキャップ、猪突猛進のアラシ、冷静沈着のハヤタ、コメディリリーフのイデ、紅一点のフジ。本当にバランスの取れたチーム構成。彼らにしっかりと肉付けをしたのは間違いなく飯島監督である。

     つまり、『ウルトラマン』を作ったのは飯島敏宏である、と言っても過言ではないだろう。その功績は計り知れない。

     スペシウム光線のポーズも現場でスーツアクターの古谷敏らとともに考案。クロスした腕の手首から上の部分から光線が出るという発想は、ありそうでない、画期的な技だった。何しろ道具がいらないものだから、手ぶらでどこでも出来る。誰もが知っている、男の子なら一度は真似するであろうポーズである。

     自らを「娯楽作家」と称する飯島監督。『ウルトラQ』でも、『ウルトラマン』でも、『ウルトラセブン』でも、その監督回には子どもが登場する回が多く、子どもたちが感情移入しやすい、自由闊達で明るく楽しい雰囲気に満ち満ちていた。

    cf.)『ウルトラQ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6654971.html

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6375058.html

     多くの子どもたちに夢と希望を与え続けてきたウルトラシリーズ。その最初の根幹を作った巨匠である。ウルトラシリーズ誕生55周年の今年、飯島監督の作品を再評価し、そこに込められたメッセージに立ち返ってみたいと思う。監督が安心してウルトラの星へ旅立てるように。

    cf.)「バルタン星人が我々に託したものとは何か」はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6859305.html

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     10月16日(土)放送の『ウルトラマントリガー』第13話「狙われた隊長~マルゥル探偵の事件簿~」は振り返り回。脚本はシリーズ構成も務める足木淳一郎。監督は内田直之。

     消えたタツミ隊長。マルゥルの勘違いによって殺人事件と断定された上で推理・取り調べが進んでいく。その中でトリガーのこれまでの活躍などを振り返る回想シーンが挿入される恒例の振り返り回。コナン、金田一、明智小五郎、寅さん、古畑・・・と、これでもかという程のパロディを詰め込んでいたが、ちょっとやりすぎではなかろうか。見方によってはギリギリアウト。

    cf.)第12話はこちら→tokusatsu-ultra.xyz/archives/11940109.html


    [参考]
    TV『ウルトラマントリガー』©2021円谷プロ・ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京

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     10月9日(土)放送の『ウルトラマントリガー』第12話「三千万年の奇跡」はグリッタートリガーエタニティ登場回。脚本はシリーズ構成も務めるハヤシナオキ。監督は武居正能。

    ・インナースペースではトリガーダークとケンゴが殴り合い。ケンゴ、タコ殴りに遭い、ボロボロの満身創痍状態。そして必殺光線を発射するトリガーダーク。インナースペース内での発射は新しい。

    ・ユナにトリガー=ケンゴであることを白状するアキト。ついにバラしたか。

    ・拳と拳がぶつかり合い、トリガーダークが吹っ飛ぶ。「僕と一緒に行こう」と手を差し伸べるケンゴ。その手をとるトリガー。「やっと笑ってくれたね」「君は僕だったんだね」仮面で表情がないはずのトリガーに対し、「笑う」のが見えたケンゴ。「君は僕」とはどういうことか。ここに抽象的な意味を見出すことができそう。それについては後述。

    ・超古代の世界では、エタニティ・コアの前でトリガーダークが変貌。マルチ・パワー・スカイの3人に分身し、闇の3巨人に立ち向かう。この展開、どこかで観たことあるなと思ったら、坂本監督がメインの『ウルトラマンジード』(2017)最終回でのジード5体分身だった。今回は武居監督だが、シリーズメイン監督は坂本監督なので、坂本監督の意向ではないかと思われる。

    cf.)『ウルトラマンジード』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6238261.html

    ・パワータイプとスカイタイプは撃破され、消えてしまう。そのとき、ユザレの指輪が光り、エタニティ・コアの力を引き出す。闇の3巨人は石化。トリガーは石化しながら3巨人を上空へ運び去る。なるほど、それで宇宙空間まで放り投げられ、カルミラは3千万年も宇宙を漂い、ダーゴンは惑星(?)に頭から刺さっていたわけだ。

    ・再び現在に。トリガーダークは依然として暴れているが、BGMはメインテーマのバリエーションで悲しい感じの曲。このあたりの演出は武居監督らしさが出ている。

    ・ケンゴ、再び現在世界の地上に戻る。ケンゴに抱きついて涙するユナ。一瞬おやっ、と思わせる演出だ。アキトがジェラシーを感じそう。ケンゴ曰く、自分は「光の化身」だという。アキトからスパークレンスを受け取り、無言で変身。この演出も特別感を感じさせ、ケンゴが自身のアイデンティティについてある種の悟りを開いたのではないか、と思わせてくれる。

    ・ケンゴはトリガーダークと一体化するのではなく、また別のトリガーマルチタイプとして出現、対峙する。トリガーダークは闇の力で暴走しているようにも、苦しんでいるようにも見える。身振り等が、『ウルトラマンネクサス』(2004)最終回で出て来たダークザギになんとなく似ている。

    cf.)『ウルトラマンネクサス』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5869472.html

    ・手刀ですれ違うカットは『ティガ』で出て来たイーヴィルティガ戦のオマージュだろう。


    ・ユナ、ユザレとして覚醒。「エタニティ・コアのかけら」をトリガーへ渡し、それが新たなキーとなる。ケンゴの変身ポーズ、途中で腕をクロスする仕草があるが、これは『ティガ』で長野博が度々やっていた腕クロスからの変身のオマージュだろう。

    ・グリッタートリガーエタニティ登場。光線を発射すると闇の3巨人とトリガーダークを吹っ飛ばす威力。だが、強すぎて制御しきれない模様。グリッターソード出現。3人に分身し、闇の3巨人を圧倒、退散させる。トリガーダークを最後に撃破するが、消耗が激しすぎて自身も変身解除される。

    ・イグニス、闇のエフェクトを吸収したような描写のあと、ニヤリと笑うのが怪しい。トリガーダークの力を得たということだろうか。


     パワーアップ形態登場の縦軸重要回でありながら、メインである坂本監督ではなく、武居監督がメガホンを取るというのがもどかしいところだが、坂本監督はギャラクシーファイト等もあるため、多忙で止むを得ず武居監督に託したのではないだろうか。でもそれはそれで仕事をきっちりこなす武居監督。結果、良かったのではあるまいか。

     グリッタートリガーエタニティのデザインは金やオレンジを基調とした、見ているだけで眩しくなるような配色だが、デザインはスマートにまとまっていて、装飾がゴテゴテしていなくてかなり好きな部類である。『ウルトラマンオーブ』(2016)で出て来たオーブオリジン以来のスマートパワーアップ。グリッターティガのようにCGでずっと光らせると予算が物凄いことになるので、造型だけで常に光っているように見せる工夫がなされているものと思われる。胸のカラータイマーは3つの菱形を象ったものだが、逆さにすると三菱のマークにも見える。もともと、「ティガ」とはインドネシア語で聖なる数字である「3」を意味する語。その辺もデザインに折り込まれているのが嬉しい。

    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6231535.html

     さて、インナースペースでケンゴが言っていた「君は僕」という言葉の意味だが、これはつまり、「皆の中に光がある」という前提で、このコロナ下で未来を照らすには、まずは自分が負の感情に打ち克ち、それを超える笑顔を周りに振りまいていこう。そうすればきっと笑顔が伝播して皆で明るい未来を勝ち取れる。というメッセージなのではないか。

     苦境の前に立たされた時、下を向いて不平不満を吐いて周りに当たり散らすのではなく、それを受け入れグッと乗り越えたとき、強くなれる。インナースペースでの殴り合いはそういった心の葛藤を表しているのではないだろうか。自らを「光の化身」と悟ってアキトとユナの前に降り立つケンゴの表情はどこか超然としていて、一歩乗り越えて大きく成長したのだということが分かる演出になっている。

     映画『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』では「誰もが光になれる」というメッセージがあるが、それを今再びこの世界に訴えかけているのだ。そう思えてならない。

     そう考えると、やはりウルトラマンというのは見ているだけの存在ではなくて、自身が比喩的な意味や精神的な意味でウルトラマンのように強くなる、つまり、「光になる」ことを求めてくるコンテンツなのだなと改めて感じさせる。初代『ウルトラマン』(1966)第37話「小さな英雄」や第39話「さらばウルトラマン」では、「依頼心を捨て、自らの力で立ち上がれ」という強烈なメッセージが放たれているが、その精神は人間ウルトラマン論を継承するこの『トリガー』でも脈々と受け継がれているのだな、と感慨にふけってしまう。要は、克己論である。

     それにしても、エタニティ・コアの力はかけらだけでも半端ないパワーを持っているということが分かったわけだが、この制御しきれない程の力をどう使いこなすのか、気になるところである。今後共演が決まっているリブットが助言をしてくれそうな予感がする。

    cf.)第13話はこちら→tokusatsu-ultra.xyz/archives/12043352.html

    cf.)第11話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/11830671.html

    [参考]
    TV『ウルトラマントリガー』©2021円谷プロ・ウルトラマントリガー製作委員会・テレビ東京
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