『ウルトラマン』(1966)でイデ隊員を演じた二瓶正也が8月21日、誤嚥性肺炎で亡くなっていたことが分かった。享年80歳。

cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6642931.html

 イデ隊員といえば科学特捜隊のムードメーカー。コメディリリーフ的役割でありながら、武器を作らせると凄かったり、敏腕科学者でもあった。

 主人公のハヤタが割と無表情で超然としており、人間的な感情を表に出す場面があまりないのに対して、イデは感情豊かで非常に人間味溢れる役柄だった。怠惰な面もあるが憎めない存在。それは演じた二瓶正也自身の人柄でもあったような気がする。

 晩年はよくインタビューに出演する機会があったが、現役時代のスマートな体型とは打って変わって大分ふくよかになった体型で、大きく口を開けて「ガハハハ」と豪快に笑う姿が印象的だった。

 ほがらかな性格が全身から滲み出ており、こんな祖父や叔父がいたらいいなと思わせてくれた。

 『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」では、宇宙語を披露して視聴者をセンス・オブ・ワンダーの世界へ誘い、また勇気を振り絞ってバルタン星人と交渉しようとした。

  第23話「故郷は地球」では、ジャミラに同情し、ラストシーンで「犠牲者はいつもこうだ。文句だけは美しいけれど・・・」という名言を残した。

  第30話「まぼろしの雪山」では、孤児であるユキに自分を重ね合わせ、ウーを攻撃するのに難色を示した。

  第37話「小さな英雄」では、ハヤタに悩みを吐露。依頼心故に戦いの中でピグモンを死なせてしまい、ハヤタに叱咤激励される。


  思えば、我々はイデ隊員であった。つまり、イデ隊員を通して物語の中に入り込むことが出来たし、イデ隊員に感情移入することで他者への共感を獲得できていたのだ。

  作家の有川ひろは「自分だったらこっち(イデ隊員)を主人公に書いちゃう」とウルトラマンアーカイブスで語っている。

  因みに、『ウルトラQ』(1966)では3度も違う役で出演し、『ウルトラマン』以降のウルトラシリーズにも度々違う役で出演している。

  『ウルトラマンマックス』(2005)ではダテ博士役で出演。『ウルトラマン』(1966)ではイデ隊員として開発したマルス133でバルタン星人を焼き払ったのに対し、『マックス』では「何でも元に戻す光線」を出すメタモルフォーザを開発し、ダークバルタンを元の少年の姿に戻して救うという、感慨深い活躍を見せた。

cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5997988.html

cf.)バルタン星人についてはこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6867426.html

  ドイツ人の父を持ち、特徴的な彫りの深い顔立ちで表情豊かに振る舞う様が印象深く、我々の心をいつまでも掴んで離さない。

  今頃はウルトラの星でムラマツキャップ役の小林昭二らと酒を酌み交わしているかもしれない。


[参考]
DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
Blu-ray『ウルトラマンアーカイブス「故郷は地球」』©円谷プロ
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