たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年04月


     1987(昭和62)年に全米でTV放送されたアニメ作品『ウルトラマンUSA』は、アメリカのハンナ・バーベラ・プロダクションと円谷プロの合作で、実製作はスタジオ・ザインと葦プロダクションが行った。英題は『ULTRAMAN THE ADVENTURE BEGINS』。日本では1989年に劇場公開された。

     『ウルトラマン80』で一旦TVシリーズが終了して以降、円谷プロは過去シリーズの再編集作品である映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』や新規撮影と再編集を組み合わせた映画『ウルトラマン物語(ストーリー)』などを製作してきたが、ファンからは新シリーズ待望の声が高まっていた。

    cf.)『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html

     当時社長だった円谷皐はアメリカとの合作を構想。『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』のノベライズを手掛けたドナルド・F・グルートにより、「ウルトラマン / ヒーロー・フロム・ザ・スターズ」という特撮作品検討用シナリオが書かれた。日本の特撮映画ファンであったグルートは「巨大怪獣VSヒーロー」という基本を押さえつつ、神話的世界観を強めたウルトラマン像や、アメリカの主要都市を舞台にしたアクション描写を盛り込んだ。なお、これにはSF・モンスター映画の世界的コレクターであるフォレスト・J・アッカーマンの特別出演も検討されていた。

     この初期構想が紆余曲折を経て、アニメ作品『ウルトラマンUSA』となる。本作のポイントは3人のウルトラマンの登場である。セブンをモチーフとしてデザインされた「ウルトラマンスコット」。初代ウルトラマンやゾフィーをモチーフとしてデザインされた「ウルトラマンチャック」。そして、ウルトラシリーズ史上4人目の女性ウルトラマンとなる「ウルトラウーマンベス」である。


     ハンナ・バーベラ側から提出された初期デザインには、マントがついていた。これは「マントもつけずに空を飛ぶヒーロー」という概念が理解できなかったからだと思われる。日米間で打ち合わせが重ねられ、ようやく決定稿のデザインに落ち着いたという。

     因みに、3人のウルトラマンの実写版スーツが後に製作され、『新世紀2003 ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILEE』で登場している。


     モンスターデザイナーのひとり・雨宮慶太は以前企画されていた映画『ウルトラQ モンスターコンチェルト』の怪獣デザイン公募に応募していたことがきっかけで起用され、杉浦千里などとともにソーキンモンスターをデザインした。雨宮慶太は後の『牙狼』シリーズ監督で有名。杉浦千里は後にウルトラマンゼアスやウルトラマンコスモスエクリプスモード、その他怪獣たちのデザインも手掛けているが、惜しくも2001年に亡くなっている。

    cf.)『ウルトラマンゼアス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6013793.html

    cf.)『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

     1987年度の全米視聴率中、第4期の子ども向けスペシャル番組で第3位という好成績を残した本作は、後の『ウルトラマングレート』『ウルトラマンパワード』といった海外版ウルトラマンに繋がる端緒となった記念すべき作品である。

    cf.)『ウルトラマングレート』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5948869.html

    cf.)『ウルトラマンパワード』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5950759.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    Blu-ray『ウルトラマンUSA』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンパワード
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     『ウルトラマングレート』(1990)に続く海外企画として1993(平成5)年にアメリカ・ハリウッドで製作されたのが『ウルトラマンパワード』である。ビデオシリーズとして発売され、後の1995(平成7)年にTBSから放送された。

     円谷プロダクションとメジャー・ハヴォック・エンタテイメントの共同製作。英題は『Ultraman The Ultimate Hero』。当時、円谷プロの取締役営業部長であった円谷一夫がプロデューサーを務め、営業部主導で製作が進められた。

     「『ウルトラマン』をアメリカの最新映像技術でリメイクしたらどうなるか」という試みもなされており、企画発端当初はウルトラマンも怪獣も原典のデザインそのままを使用する予定だったが、新たなデザインにすることが決定。設定・デザインともに現・アニメ監督の前田真宏や現・映画監督の樋口真嗣らによって設立されたアニメーション製作会社ゴンゾが手掛けた。前田真宏によると、コンセプトは「生物感」で、パワードは「仮面としてデザインされた初代のウルトラマンを生き物として置き換えた」という。バルタン星人やドラコ、ゼットンには「昆虫のイメージ」を採り入れている。

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     造型はアメリカ側。造型チーフは映画『プレデター2』を手掛けたケビン・ハドソン。パワードのスーツは、『グレート』以前に使われていたウエットスーツではなく、「フォーム・ラテックス」が使われたが、非常にスムーズに動ける反面、傷みやすかったため、全13話で合計13着のスーツが作られた。

    cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8076514.html

     脚本は、後に「平成ガメラシリーズ」を手掛ける伊藤和典や、ゴンゾ設立者のひとり山口宏によって書かれ、最終的にはアメリカ側のスタッフによって改稿された。

     SFXスーパーバイザーに、映画『ターミネーター2』などで知られるジョセフ・ビスコーシルを招き、本場ハリウッドならではの映像表現が目指された。その爆発表現などは素晴らしかった、と三池敏夫が語っている。

     一方、建物などのミニチュアの作りや扱いが粗末で、第1話を見て危機感を覚えた樋口真嗣らは現地から日本にSOSを出し、追加予算を要請。現地でミニチュアセットの補強や細部に至るまでの作り込みを行った。その出来栄えを写真に撮り、三池敏夫が現地スタッフに見せたところ、「どこに行ってきたんだい?」と聞かれ、実景であると騙せたという。

    cf.)『ウルトラマンUSA』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5950915.html

    cf.)『ウルトラマングレート』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5948869.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    Blu-ray『ウルトラマンパワード』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンパワード
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     1990年にウルトラシリーズ初のOV先行作品としてスタートした『ウルトラマングレート』。アニメ作品の『ウルトラマンUSA』に続き、英語圏でのTV放送や上映を目的として、オーストラリアのSouth Australian Film Corporationと円谷プロダクションが共同製作した平成初のウルトラマンである。

     完全新作のウルトラマンとしては『ウルトラマン80』以来、約10年振りとなる本作は、当初、「新ウルトラマン」という仮タイトルがつけられ、従来通りに日本国内で円谷プロが製作する予定だった。ここでは「原点回帰」やウルトラマンの「神秘性」が謳われ、「ウルトラ兄弟」など過去シリーズとの関連を排除する方針であった。

    cf.)『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html

     その後、TVシリーズとしての企画は中断するが、1989(平成元)年にオーストラリアでの撮影と、全6話のビデオシリーズとしての製作が決定。これは、以前円谷プロが進めていたオーストラリアを舞台にした映画の企画から派生したもので、限られた予算で「Vシネマ」ブームの到来を製作に生かす狙いがあったようだ。

     脚本は會川昇らによってまとめられた原案をオーストラリアのスタッフが脚色して作られた。その結果、ウルトラマンの世界でありながらも、海外SFドラマの趣も強く表れていた。特撮部分についても、海外SFX技術と円谷プロの技術の融合がなされた。機械を駆使したマペットの使用。広大な土地でセットを組み、太陽光が生かされた斬新な映像。そして、建物をウルトラマンより高くすることで、むしろウルトラマンの巨大感を演出するなど、新たな特撮観の発見となった。

     ビデオリリースから3か月後にはシリーズを再編集した劇場版が公開され、リリース中盤の1991年はウルトラマン誕生25周年にあたり、その中心的存在を担った。のちに7話が追加製作され、全13話となった。前半はゴーデス編。後半は異端の来訪者との遭遇が続く。

        英題は『Ultraman Towards the Future』 。「グレート」の名は京本政樹が命名し、北東岸のサンゴ礁地帯グレートバリアリーフにも因んでいると言われている。

     グレートのスーツは従来のようなウェットスーツではなく、光沢のある厚手の化学繊維が採用された。また、京本政樹がプロデュースしたキャンペーン用スーツも存在。こちらはタイツ生地が素材で、当時のバラエティ番組や子ども向け情報誌のグラビアなどに度々登場していた。

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    cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8047073.html


    cf.)『ウルトラマンUSA』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5950915.html

    cf.)『ウルトラマンパワード』総論→http://ultra-7.blog.jp/archives/5950759.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    Blu-ray『ウルトラマングレート』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマングレート

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     『帰ってきたウルトラマン』(1971)~『ウルトラマンレオ』(1974)は第2期ウルトラシリーズと言われているが、ヒロインに何かしら起こるというジンクスがある。

     まず、『帰ってきたウルトラマン』。坂田アキは第37話「ウルトラマン 夕陽に死す」でナックル星人により兄と一緒に殺されてしまう。これは郷秀樹の心を乱し、動揺させるため、という設定。しかも殺され方が酷かった。榊原るみ自身、あまりにも酷い殺され方なのでしばらく本編を見ていなかったという。

     実際は、多忙な榊原るみのスケジュールが合わず、降板が決まったという背景があった。続く第38話「ウルトラの星 光る時」でウルトラマンジャックはリベンジを果たすのだが、ラストで早くも次のヒロインが登場する。


     次に、『ウルトラマンA』。当初、南夕子役は関かおりであったが、クランクイン直後に事故で降板。星光子に交代。第1話を撮り直すという運びとなった。星光子は経験もなく、右も左も分からずの途中参加で、周りも忙しそうで何が何だか分からなかったという。しかし、「北斗と一緒にウルトラマンに変身するお姉さん」というイメージが定着し、一躍人気者となった。しかし、第28話「さようなら夕子よ、月の妹よ」を持って降板。実は月星人で、月に帰らなければならないという設定が編み出された。

     実際は、2人が合体変身する設定は脚本上の制約が生じて苦しかったから・という説があるが、本人の意思かもしれず、定かではない。それでも復活を望む声は多く、第38話や最終話で再登場したり、『タロウ』第39話にもゲスト出演した。


     『ウルトラマンタロウ』では白鳥さおり役のあさかまゆみが撮影の辛さに耐えかねて第16話「怪獣の笛がなる」で降板。第20話「びっくり!怪獣が降ってきた」から何の説明もなく突然、小野恵子に変更されている。演技の雰囲気もまったく違い、まるで別人であった。


     そして最後、『ウルトラマンレオ』では第40話「MAC全滅!円盤は生物だった!」で山口百子と梅田カオル、ヒロイン2人揃って円盤生物の被害に遭い死亡。百子役の丘野かおり、カオル役の富永美子(現・冨永みーな)は人気が高かっただけに、惜しかった。


     因みにそれ以降、おおとりゲンが居候するのは美山家。あゆみ役は当時天才子役と言われた杉田かおる(現・橋本薫)である。

    cf.)『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6315068.html

    cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html

    cf.)『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

    cf.)『ウルトラマンレオ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5936832.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『帰ってきたウルトラマン』©1971円谷プロ
    DVD『ウルトラマンエース』©1972円谷プロ
    DVD『ウルトラマンタロウ』©1973円谷プロ
    DVD『ウルトラマンレオ』©1974円谷プロ
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     1979(昭和54)年放送の『ザ☆ウルトラマン』はシリーズ初のアニメ作品。

     1975(昭和50)年に『ウルトラマンレオ』が放送終了となり、第2期ウルトラシリーズは幕を閉じたが、過去シリーズの再放送が高視聴率を獲得。雑誌の特集や玩具の好評が後押しし、シリーズ再開の機運が高まっていた。

     これを受けて、「愛と夢とロマンのシリーズ ウルトラマンⅢ」という企画が立案された。これは、新たなウルトラマンがM78星雲出身とされ、『ウルトラマン』や『セブン』に出演した毒蝮三太夫が防衛隊メンバーで登場するなど、過去作と共通の世界観を持つ実写作品として考えられていたが、製作局のTBSから提示された製作費では実現困難だったため、アニメ作品に変更されることになった。

     新たに書かれた企画書「愛と夢とロマンのシリーズ ザ・ウルトラマン」には、新ウルトラマンはエスメラルダ星雲U30(後にU40に変更)星の出身であり、それまでのシリーズとはまったく別の世界観を持つことや、過去作の人気怪獣を登場させることなどが盛り込まれている。

     さらに続く企画書「愛と夢とロマンのシリーズ 新・ウルトラマン(仮)」には、「映像表現の拡大」、「実写のような制約のない舞台設定や怪獣デザイン」、そして「神秘性」がスローガンに挙げられている。これは、当時大ヒットした映画『未知との遭遇』(第1-3種接近遭遇など)や『スター・ウォーズ』の影響を受けており、U40の描写や、ギリシャ神話を連想させるウルトラ人の描写に表れている。

     また、流行していたアニメ作品『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』といった松本零士のSFアニメに影響も受けており、ヤマトに似た「戦艦ウルトリア」やメーテルに似た「アミア」が生み出された。

     アニメ製作は、円谷プロ作品『恐竜探検隊ボーンフリー』(テレビ朝日(当時はNET)系)でアニメーション部分を担当したサンライズ(当時は日本サンライズ)が担当。チーフディレクターとしてタツノコプロ作品『科学忍者隊ガッチャマン』(フジテレビ系)を手掛けた鳥海永行が起用され、2クール目からは『超電磁ロボ コン・バトラーV』(テレビ朝日系)で演出を担当した神田武幸に引き継がれた。

     脚本は若槻文三に加え、『ルパン三世』や『天才バカボン』(日本テレビ系)などを担当した吉川惣司や、『ムーミン』(フジテレビ系)や『ド根性ガエル』(TBS系)などで活躍していた星山博之がメインライターとして参加。実績のある製作陣が整った。

     スーパーマードック号などの主要メカニックデザインは美術担当の山口修が原案を描き、『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)に参加していた大河原邦男が仕上げていたが、多忙のためシリーズ中盤で降板。後任に河森正治が抜擢された。河森正治はまだ10代の若さであったが、ウルトリアなどのデザインをこなし、シリーズ後半のスペースオペラの盛り上がりに一役買った。後に『超時空要塞マクロス』(TBS系)のデザインなどで脚光を浴びることになる。

     ウルトラマンジョーニアスのデザインは美術担当の山口修の原案を元に、キャラクターデザインの二宮常雄がアニメーションとして描きやすい体型に修正した。

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     主人公・ヒカリ超一郎は正統派二枚目キャラ。ヒーローとして葛藤する姿や、アミアやムツミとの淡い恋愛模様、ジョーニアスとの友情、ウルトラマンの神秘性、といった魅力溢れる作品に仕上がった。

       因みに、企画段階でのエスメラルダは映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010)のエスメラルダ王家の設定に受け継がれている。

    cf.)『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6117436.html

     また、近年のウルトラシリーズで脚本や設定監修などを務めている足木淳一郎は『ザ☆ウルトラマン』の大ファン。『ウルトラマンタイガ』(2019)でU40出身のウルトラマンタイタスが登場したのも彼が一役買っているのではないかと思われる。

    cf.)前作『ウルトラマンレオ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5936832.html

    cf.)次作『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html

    cf.)『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6253725.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ザ☆ウルトラマン』©1979円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ザ☆ウルトラマン

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