たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年04月

     4月19日放送の『ULTRAMAN』第2話「逃れられない運命」より。

    遂に進次郎がSUITを装着する記念回。闘いの印象的カットが豊富でエキサイティングな内容だった。


    ・「大きくなったな・・・」
    高い高~いからの、放り投げー!
    ヘリコプターに収容される進次郎。

    ・健闘するも、体を貫かれてしまう進。衝撃的シーンだ。あのハヤタをこの扱いにするなんて・・・。原作者は余程の覚悟で敢行したに違いない。きっと批判もあったろう。。。

    ・イデの半ば誘導尋問的な話に乗り、SUITを装着する進次郎。宇宙刑事シリーズを想起させるカット。

    ・鮮やかに決まるキック。スカッとする気持ちの良い入り方だ。

    ・光線を物ともせず突進する。SUITの強靭さが如実に現れている。焦るベムラー。汗をかいているようにも見える。

    ・ベムラーの光線を弾いて赤く染まるSUIT。夜戦なので深い紺色の空とのコントラストが美しい。

    ・光るスペシウムブレードが本当にカッコいい。

    ・手首のコネクトを接続して、スペシウム光線発射!反動でブレる体の表現が良い。エモすぎる描写。ゲーム『ウルトラマン Fighting Evolution Rebirth』での大砲のようなスペシウム光線表現に似ていた。

    ・ベムラーは左腕を失い撤退。「始まりの敵」と自らを表現。自分で「敵」と言ってしまうところが、進次郎主観の言い方になるので、違和感を感じた。

    ・ベムラー。一体何者なのか。その正体は後々に判明することになる。

    体を貫かれたハヤタは重症だが命に別状はないという。良かった。
    第3話も楽しみである。

    cf.)第3話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5959893.html

    cf.)第1話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5870213.html

    [参考]
    TV『ULTRAMAN』TOKYO MX.©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会

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     1972(昭和47)年に放送が開始された『ウルトラマンエース』。どのように作られたのだろうか。


     前年放送の『帰ってきたウルトラマン』は初代の『ウルトラマン』ほどの高視聴率には届かなかったものの、20%前後の安定した視聴率を獲得。第38話「ウルトラの星 光る時」では29・0%。最終回「ウルトラ5つの誓い」では29・5%にも達した。子ども向けの情報誌などでの盛り上がりや、関連玩具の売り上げも好調で、同年末には次回作の制作が決定していた。

     新作では従来の王道路線から外れた革新的ヒーロー像が模索された。これには、1971年に『仮面ライダー』(毎日放送系)や『スペクトルマン』(フジテレビ系)が放送されるなど、TV特撮の戦国時代が始まっていたからである。

     そこで、市川森一、田口成光、上原正三、という3人の脚本家がそれぞれ最初の企画書を用意する形となった。

     『ウルトラセブン』からシリーズに参加していた市川森一は「ウルトラハンター」というヒーローを考案。これは現代のアダムとイヴ的な男女が合体変身する、という内容で、「北斗」と「南」の設定が書かれている。これは、キリスト教徒でもある市川が、作品にキリスト教的世界観を持たせたかったからだ。事実、自身の脚本回では十字架・ゴルゴダ・バラバなど、新約聖書から拝借したワードが多数散見される。


     企画室の一員として『帰マン』の企画成立や脚本執筆に関わっていた田口成光は「ウルトラV」を考案。敵である「サタン星人」が地球生物と宇宙生物を合体させて作る「超獣」の設定が記されている。これは、『仮面ライダー』のショッカーや、『ミラーマン』のインベーダーなど、シリーズを通した敵が流行していたためと思われる。因みに、ショッカー首領の声を担当していた納谷悟朗がエースの声担当に抜擢されている。


     『ウルトラQ』からシリーズに携わる古参の上原正三は、「ウルトラファイター」を考案。新たなウルトラマンをウルトラ5番目の兄弟として設定し、独自の研究を否定されて心が歪んだ竹中博士が人間に復讐すべく、マシンで怪獣を操る、というマッドサイエンティストを想定した。

     これらの企画が検討され、ウルトラリングでの男女合体変身、ウルトラ兄弟、ヤプールと超獣製造機、などの細かい設定が誕生。「ウルトラA」として台本が制作された。


     「ウルトラハンター」+「ウルトラV」+「ウルトラファイター」=「ウルトラA」というわけだ。


     『ウルトラA』という名で制作進行され、子ども向け情報誌などでの宣伝もすべて「新ヒーロー・ウルトラA」とされていた。


    第6話まではウルトラAとして作られていた。


     ・・・ところが、
    大どんでん返しが起こる。放送直前になって、玩具メーカー・マルサンが販売していた「怪傑透明ウルトラA」という怪獣人形の存在が判明。商標登録の関係でタイトルや第1話の台詞、主題歌の歌詞もすべて「ウルトラマンエース」への差し替えを余儀なくされた。

     これがきっかけで、『ウルトラ〇〇』という商標が取得できなくなったため、『エース』からは全て『ウルトラマン〇〇』という名称が主流となったのだ。



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    cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7831422.html



    cf.)前作『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6315068.html

    cf.)次作『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマンエース』©1972円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/帰ってきたウルトラマン
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンエース

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     ウルトラマン関係の本の紹介(トピック別)。

    ◆金城哲夫
    『金城哲夫 ウルトラマン島唄』著:上原正三 出版:筑摩書房
    『ウルトラマン昇天ーM78星雲は沖縄の彼方』著:山田輝子 出版:朝日新聞社

    ◆初期脚本家(金城含む)
    『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』著:切通理作 出版:宝島社文庫
    『夢回路 魔法 怪獣 怪奇 ウルトラマン 青春 犯罪』著:市川森一 出版:柿の葉会

    ◆飯島敏宏
    『バルタン星人を知っていますか?』著:飯島敏宏+千束北男 出版:小学館

    ◆実相寺昭雄
    『ウルトラマン誕生』著:実相寺昭雄 出版:ちくま文庫
    『ウルトラマンの東京』著:実相寺昭雄 出版:ちくま文庫
    『星の林に月の舟 怪獣に夢見た男たち』著:実相寺昭雄 出版:大和書房

    ◆佐々木守
    『戦後ヒーローの肖像 『鐘の鳴る丘』から『ウルトラマン』へ』著:佐々木守 出版:岩波書店

    ◆坂本浩一
    『映画監督 坂本浩一 全仕事』著:坂本浩一 出版:KANZEN


    ◆雑学
    『ウルトラマン99の謎』著:青柳宇井郎、赤星政尚 出版:二見書房
    『ウルトラシリーズ・サブキャラ大事典』著:小河原一博 監修:市川森一 出版:東京堂出版
    『怪獣図解入門』著:大伴昌司  監修:円谷プロ  出版:小学館

    ◆面白おかしく検証
    『空想科学読本』著:柳田理科雄 出版:メディアファクトリー
    『ウルトラマン研究序説』編著:SUPER STRINGSサーフライダー21 出版:扶桑社文庫

    ◆広く浅くひと通り
    『円谷 THE COMPLETE』監修:円谷プロダクション円谷映像 出版:角川書店
    『ウルトラ検定公式テキストⅠ』編:ウルトラ検定実行委員会 監修:円谷プロダクション 出版:ダイヤモンド社
    『ウルトラ検定公式テキストⅡ』編:ウルトラ検定実行委員会 監修:円谷プロダクション 出版:ダイヤモンド社

    ◆出演者
    『ハヤタとして、父として』著:黒部進 出版:扶桑社
    『ダン モロボシダンの名をかりて』著:森次晃嗣 出版:扶桑社

    『ウルトラマン青春記 フジ隊員の929日』著:桜井浩子 出版:小学館
    『ウルトラマン創世記』著:桜井浩子 出版:小学館
    『セブンセブンセブン アンヌ再び・・・』著:ひし美ゆり子 出版:小学館文庫
    『万華鏡の女 女優ひし美ゆり子』著:ひし美ゆり子,樋口尚文 出版:ちくま文庫
    『アンヌ今昔物語 ウルトラセブンよ永遠に・・・』著:ひし美ゆり子 出版:小学館

    ◆同人誌

    『怪獣文化とウルトラマン』著:新井啓介.木村秀章.小山昌宏 出版:スタジオZERO
    『ウルトラマン裏百科』著:タケダ1967 出版:宇宙囚人207

    ◆ムック本
    『別冊映画秘宝 ウルトラマン研究読本』出版:洋泉社MOOK
    『別冊映画秘宝 ウルトラセブン研究読本』出版:洋泉社MOOK
    『映画宝島vol.2 怪獣学・入門!』編:別冊宝島 出版:宝島社
    『別冊宝島 僕たちの好きなウルトラマン[ウルトラマン・シリーズ誕生編]』出版:宝島社
    『別冊宝島 僕たちの好きなウルトラセブン』出版:宝島社
    『別冊宝島 僕たちの好きなウルトラセブン[侵略宇宙人&ウルトラ警備隊メカ]データ編』出版:宝島社
    『PERFECT ARCHIVE SERIES⑥ ウルトラマンマックス』出版:竹書房
    『地球はウルトラマンの星 ウルトラマンティガ・ダイナ・ガイア』著:切通理作 出版:ソニー・マガジンズ

    『別冊宝島 僕たちの好きなウルトラマンメビウス 全50話完全ストーリー紹介』出版:宝島社
    『ウルトラマンネクサス ヒーローピクトリアルvol.1[姫矢准編]』編著:てれびくん編集部 出版:小学館
    『ウルトラマンネクサス ヒーローピクトリアルvol.2[千樹憐編]』編著:てれびくん編集部 出版:小学館
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』編・出版:DeAGOSTINI 監修:円谷プロ
    『ウルトラマンオーブ 完全超全集』編著:てれびくん編集部 出版:小学館
    『ウルトラマンタイガ超全集』編著:てれびくん編集部 出版:小学館
    『ウルトラ特撮PERFECT MOOK』出版:講談社
    『ゼロVSベリアル10周年記念読本』出版:実業之日本社

    『新資料解読 ウルトラセブン撮影日誌』編著:金田益実 監修:円谷プロダクション 出版:復刊ドットコム


    ◆円谷英二と一

    『特撮の神様と呼ばれた男』著:鈴木和幸 出版:アートン
    『円谷英二 日本映画界に残した遺産』編著:円谷一 出版:小学館
    『円谷一 ウルトラQと“テレビ映画”の時代』著:白石雅彦 出版:双葉社

    ◆スーツアクター
    『ウルトラマンになった男』著:古谷敏 出版:小学館
    『ウルトラマン・ダンディー~帰ってきたウルトラマンを演った男~』著:きくち英一 出版:風塵社

    ◆小説
    『ウルトラマン ジャイアント作戦』著:千束北男 出版:講談社
    『ウルトラマン ゴールドラッシュ作戦』著:実相寺昭雄 出版:スーパークエスト文庫
    『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』著:朱川湊人 出版:光文社
    『ウルトラセブンX』著:小林雄次,小林英造 監修:円谷プロ 出版:ホビージャパン
    『ウルトラマンF』著:小林泰三 出版:早川書房

    ◆白石雅彦本

    『「ウルトラQ」の誕生』著:白石雅彦 出版:双葉社
    『「ウルトラマン」の飛翔』著:白石雅彦 出版:双葉社
    『「ウルトラセブン」の帰還』著:白石雅彦 出版:双葉社
    『「怪奇大作戦」の挑戦』著:白石雅彦 出版:双葉社

    ◆独特な視点から

    『ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか?』著:川崎実 出版:メディアワークス
    『ウルトラマン対仮面ライダー』著:池田憲章,高橋信之 出版:文春文庫PLUS
    『封印作品の謎』著:安藤健二 出版:太田出版
    『ウルトラマン幻想譜 M78星雲の原点を探る』著:原田実 出版:風塵社
    『モスラの精神史』著:小野俊太郎 出版:講談社現代新書


    ◆経営
    『ウルトラマンが泣いているー円谷プロの失敗』著:円谷英明 出版:講談社現代新書


    ◆正義論
    『ヒーローの修辞学 ウルトラマン/仮面ライダー/機動戦士ガンダム』著:平松洋 出版:青弓社
    『ヒーローと正義』著:白倉伸一郎 出版:寺子屋新書
    『ウルトラマン「正義の哲学」』著:神谷和宏 出版:朝日文庫

    『正義論/自由論 寛容の時代へ』著:土屋恵一郎 出版:岩波現代文庫


    ※以下はウルトラマンと直接的には関係のないトピック。

    ◆高度経済成長期とその後
    『ウルトラマンの愛した日本』著:ウルトラマンタロウ 訳:和智正喜 出版:宝島社新書
    『ウルトラマンがいた時代』著:小谷野敦  出版:ベスト新書
    『怪獣少年の〈復讐〉70年代怪獣ブームの光と影』著:切通理作 出版:洋泉社
    『高度成長期クロニクル 日本と中国の文化の変容』著:石川巧,瀧田浩,藤井淑禎,渡邉正彦 出版:玉川大学出版部
    『御三家歌謡映画の黄金時代 橋・舟木・西郷の「青春」と「あの頃」の日本』著:藤井淑禎 出版:平凡社新書
    『戦後史開封 昭和40年代編』著:産経新聞「戦後史開封」取材班 出版:扶桑社文庫


    ◆ジャミラの由来
    『ジャミラよ 朝は近い アルジェリア少女拷問の記録』著:ジゼル・アリミ,シモーヌ・ド・ボーヴォワール 訳:手塚伸一 出版:集英社

    ◆ベトナム戦争
    『これならわかる ベトナムの歴史Q&A』著:三橋広夫 出版:大月書店
    『ベトナム戦争を考える 戦争と平和の関係』著:遠藤聡 出版:明石書店

    ◆戦後小説
    『キジムナーkids』著:上原正三 出版:現代書館
    『ギブミー・チョコレート』著:飯島敏宏 出版:角川書店


    ◆ガイア理論
    『ガイアの復讐』著:ジェームズ・ラブロック 監修:秋元勇巳 訳:竹村健一 出版:中央公論新社
    『ガイアの時代ー地球生命圏の進化』著:ジェームズ・ラブロック 訳:スワミ・プレム・プラブッダ 編:米沢敬 出版:工作舎

    ◆思想
    『戦後の思想空間』著:大澤真幸 出版:ちくま新書
    『神話作用』著:ロラン・バルト 訳:篠沢秀夫 出版:現代思潮社
    『アリストテレス全集13 ニコマコス倫理学』訳:加藤信朗 出版:岩波書店


    ・・・まだまだ勉強が足りない。もっと色んな文献に当たっていきたい。

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     『ウルトラマンガイア』(1998)で主人公・高山我夢を演じた吉岡毅志が、Twitter上で下記を投稿した。

    「押入れの整理してたら『ウルトラマンガイア』の最初の企画書出て来た。

    まだタイトルも仮題。

    高山我夢じゃなく、高間我夢だった件。
    藤宮は兄的存在だった件。

    XIGじゃなくて犬だった件(笑)

    なんだか貴重な物が続々と出てくる。
    部屋の掃除やモノの整理、皆も楽しもう👊‼✨✨✨」

    →「高間」だとなんだか違った印象になってくる。

    藤宮が兄的存在から暗転するパターンはアリだと思う。

    「ガイア」や「アグル」の名前はこの時点では出て来ていない。

    一番ビックリなのはXIGじゃなくてDOGだったというところ。「犬」って・・・。政府の犬みたいな受け取られ方もしかねない。けれど「犬に噛まれた」という表現もあるように、DOGが政府の意向に歯向かって独自に作戦を展開し、政府が「飼い犬に噛まれた」「首輪をつけろ」とか言うシーンも想定していたのでは・・・などと『ガイア』のパラレルストーリーも想像したくなる。

     企画書をよく読んでみると、レギュラーメンバーの中で千葉辰巳参謀だけ「守岡辰巳」という名前だったことが分かる。なぜ苗字だけ変えたのだろうか。

    また、KCB取材クルーの井上倫文も、当初は「井上リンブン」とカタカナ表記だったことが判明。

     あとはファイター・チームの中にチーム・マーリンがないこと。細かい点ではオペレーターのジョジーがオース・・・トラリアと日本のダブルであり、「服のお洒落は敦子の羨望の的」だったという隠れ設定も面白い。


    ・・・・

     この『ウルトラマンガイア』、従来のシリーズとは一線を画しており、科学的考証や人間関係などの設定でリアリティが重視された。シリーズを通し「根源的破滅招来体」という仮想敵を設け、大河ドラマ的要素を採り入れた。

     放送開始の1998年(平成10年)はノストラダムスの大予言とされる1999年の前年。世紀末も目前にしていたこともあり、番組にタイムリーな「終末観」を漂わせることとなった。

     『ガイア』の特徴として、ウルトラマンアグルの存在も大きい。我夢と同じく天才科学者である藤宮博也が変身する。

      「地球を守りたい」という思いは二人とも一緒なのだが、我夢は人間も守ろうとするのに対して、藤宮は「人間は滅ぶべきだ」という。この点で二人は度々対立し、時には拳を交える。

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      しかし、紆余曲折を経て、藤宮は改心し、やがてガイアとアグルの二人で根源的破滅招来体と闘う、という流れになっている。

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     アグルは当初、2クール(1クールは13話分)終了時にガイアと同化してそのまま消えるはずだった。しかし、アグルのダーティーヒーロー的な魅力が既に子どもたちの間で人気の的となっており、加えて、藤宮博也役を演じる高野八誠(たかのはっせい)のイケメンさと独特の雰囲気が女性ファンを虜にしていたため、4クール目で待望の復活を果たすことになったのだ。

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    cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8094679.html


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    因みに・・・
    「ガイア」という名は「ガイア理論」から拝借している。

     「ガイア理論」とは、1960年代にNASAの科学者でもあるジェームズ・ラブロックが提唱した実在の理論で、当初は「自己統制システム」と命名したが、作家のウィリアム・ゴールディングの提案により、ギリシャ神話の地母神であり大地の象徴とされる女神「ガイア」の名を冠することになった。

     地球そのものが生命体であり、地球は自己調節システムを持つとする考え方。この理論によれば、地球は自らに害をなすものに対して免疫機能を発生させる。

     仮に藤宮が主張するように、「人間は地球の癌細胞」だとするなら、昨今の新型コロナウィルスも、環境破壊する人間に業を煮やした地球が自浄作用として人間を排除すべくウィルスを投入した、という考え方もできる。

     いや、そんなことはない。「人間だって地球の一部」なんだ。地球を綺麗にしていく努力をしていく限り、地球だって人間を見捨てないはずだ。・・・と我夢のように思うためにも、我々ひとりひとりが今一度地球環境について考え、できることをしていくしかない。

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    cf.)前作『ウルトラマンダイナ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5972025.html

    cf.)次作『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマンガイア』©︎1998円谷プロ
    吉岡毅志Twitter(@takeshiyoshioka)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ガイア理論

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     ウルトラシリーズ史上、最も暗いとされる『ウルトラマンネクサス』(2004)。

     「ネクサス」(nexus)とは「絆」の意。「人と人との絆」をテーマに、希望・絆・進化といったファクターで新しいウルトラマン像を描いた作品である。

     この物語の主人公・孤門一輝は最終回まで変身しない。ウルトラマンに変身できる素質のある者は適能者(デュナミスト)と呼ばれ、第一のデュナミストの物語は映画『ULTRAMAN』で、第二以降のデュナミストの物語がこの『ネクサス』で語られている。

     視聴率的には失敗だったようだ。初回こそ5%台を記録したものの、その後は2 - 3%台に急落し、1%台の回もあったようだ。理由としては、夕方から朝の枠に変更になったことに加えて、低年齢層の視聴者が離れてしまったからだと言われている。なぜか。

     以下でその理由を3つ挙げてみよう。

    1、怪獣がグロテスク。そして描写が怖い。『ネクサス』に登場する怪獣はスペースビーストと呼ばれ、宇宙から来たものとされている。彼らは人間の「恐怖」の感情を食料とするため、人間を捕食しては増殖していく。人間がビーストに捕食されるシーンが何度かあるが、まさかあそこまでやるとは・・・というシーンもある。


    2、街の破壊など、円谷プロの伝統であるミニチュアを駆使した派手な特撮が少ない。
    これは予算的な問題で、それまでの赤字が続いた経緯から、1話3000万以上掛けていた予算が1000万程に削られたそうだ。苦肉の策か、設定としてはウルトラマンが人知れず闘うために亜空間「メタ・フィールド」を張り、通常はその中でビーストと闘う、となっている。

    3、ヒロインの悲劇。昭和のウルトラマンでもヒロインが死ぬことは何度かあったが、この『ネクサス』ではもっと残酷な運命がヒロインを襲うことになる。大人でも初見のときは暗くなる人もいるかもしれない(何度も観ていれば慣れてしまうが)。

     「ヒロインの部屋に飾られた大量の不気味な絵」「怪獣の攻撃で両親を殺されたうえに両親の身体を操られて捕らわれる少女」など、一部の場面について朝日新聞の記事で批判されたこともある。

     子どもが観たときにトラウマになりかねない表現が問題となったようだ。

     以上3点が大きな理由と考えられる。低年齢層の視聴者が離れたことにより、必然的にグッズ販売の方も不振となり、当初予定されていた全50話は全37話に削減された(他にDVDに収録されているスペシャルエピソードもある)。

     この作品をひとことで表現するなら、「悲壮」。とくに前半戦は観ていてかなり辛くなってしまう。

     しかしながら・・・
    あのとき子どもだった人たちには、大人になってからもう一度観てほしいと思う。なぜなら、この作品の価値は大人になってからでないと分からないからだ。絶望を越えた先に希望の光を見出すデュナミストたち。そして怒涛のクライマックス、最終回で遂に変身を果たす孤門。

     また、『ウルトラマンエックス』(2015)第20話「絆-Unite-」ではエックスとの共演も果たし、メタ・フィールドの再登場が話題を呼んだ。孤門役だった川久保拓司も友情出演している。

    cf.)「絆-Unite-」についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5931940.html


     『ネクサス』は今なお名作と呼んで愛するファンも多く、ウルトラシリーズの中で異彩を放っている作品である。


    cf.)『ウルトラマンネクサス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5869472.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンネクサス』©2004円谷プロ・CBC
    Blu-ray『ウルトラマンエックス』BOX2©︎円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンネクサス

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