たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年05月


     1999(平成11)年10月9日から翌2000年9月24日まで関東圏で再放送された『ウルトラマンティガ』の本編終了後に情報CMが放送されていた。その名も『ウルトラマンナイス』。

     バンダイからウルトラシリーズ玩具の紹介CMの製作を依頼された円谷プロは、「家族」をテーマにテンポの良い明るい作風を目指した。当初は「GOKKO隊」と呼ばれていた一家で戦う防衛チーム・「GOKAZOKU隊」=夢星一家らの活躍にグッズの紹介を絡める内容となった。


     監督・脚本はウルトラ関連CMのほとんどを手掛けていたCMディレクター・伊藤渓太(当時は伊藤啓太)。ナイスが親指を立てる決めポーズや、「ナッ!」という決めゼリフなど、印象に残りやすくする演出をした。特撮撮影はグリーンバックで行われ、背景用の実景やセットと合成されている。


     全20話が作成され、放送終了後はイベントなどで活躍し、ゼアスとともに三枚目キャラクターのウルトラ戦士として親しまれるようになった。

     『新世紀劇場版ウルトラマン伝説』(2002)では天空魔の攻撃で吹っ飛んで腰を痛めたところをウルトラの母の光線で治る姿や他のウルトラ戦士とともにスペシウム光線を発射する姿が見られる。


     また、『新世紀2003ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILEE』(2003)ではウルトラマンキング30万歳の祭典に駆け付けている。


     ナイスのデザインは丸山浩が担当。マスクはティガの改造で、盛ったり削ったりしている。出身地が「TOY1番星(とーいいちばんぼし)」という設定のため、多少奇を衒ったような体デザインとなっている。背面の銀色のラインは「N」を象っている。前面の弓状白抜きは当初はもっと細く、ナイキのロゴマークに似ていることから形状が太めに変更となった。また、父親役が変身することから、当初は「ウルトラマンパパ」という名前も候補に挙がっていたという。

     スーツアクターは岡野弘之。必殺技は「ベリーナイス光線」。両腕を×の字にクロスさせ、首を傾げると光線が発射される。


     祖父・夢星語役は初代ウルトラマンに変身していた黒部進。祖母・夢星キク役は初代ウルトラマンでフジ隊員を演じていた桜井浩子。


     『ナイス』だけでの映像ソフト化はされておらず、本編を再編集したVHS『ナ・ナ・ナ・ナ・ナイスな大図鑑』がバンダイビジュアルから発売されたに留まる。稀少な異色作なので、是非ともDVDやBlu-ray化してほしいところである。

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『新世紀劇場版ウルトラマン伝説』©2002円谷プロ・ウルトラマン伝説プロジェクト
    DVD『新世紀2003ウルトラマン伝説 THE KING'S JUBILEE』©2003円谷プロ・ウルトラマン伝説プロジェクト
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンナイス
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     2006(平成18)年に放送された『ウルトラマンメビウス』は「ウルトラマン40周年記念作品」。「いかに世代を超えて作品の魅力を訴えかけられるか」という点を軸に企画が練られ、「歴代ウルトラマンの登場」が決定した。

     しかし、「それぞれ異なる世界観の中で活躍してきたウルトラマンたちを、どのようにして共演させるか」 という問題が生じ、当初はそれぞれの世界からメビウスの世界に駆け付ける設定が考えられたが、結局、M78星雲系「ウルトラ兄弟」の設定を引き継ぎ、『Q』から『80』までは同じ世界での出来事であり、『80』以来、約25年間、地球に怪獣は現れていなかった、という強引な力技ともいえる設定となった。しかし、これにより、過去作品との繋がりを示す台詞や、宇宙警備隊のルーキーの成長物語、といった要素が加わり、より楽しみやすい作品となった。

    cf.)『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html


     メイン監督は佐野智樹。2005年に映画『変身』で監督デビューしたばかりであったが、全50話中、10話をフレッシュな感性で演出。第1話ではウルトラマンが街の壊滅を人間から叱責される。また、従来は物語終盤でウルトラマンの正体がバレるところを、物語中盤でバレる、という史上初の試みがなされたが、それがテーマである「友情」を深めるきっかけになるという展開を見事に仕上げてみせた。


     登場怪獣は、前作『マックス』で第1期ウルトラシリーズの怪獣が多く登場したので、本作では第2期ウルトラシリーズの怪獣が比較的多く登場している。


     メビウスのデザインは丸山浩が担当。『ネクサス』のベースデザインの1つである「ULTRAMANーZ」が原案となっており、マスクはツシマヤマネコがモチーフ。ウルトラ兄弟と並んだときに、敢えて浮くようにデザインしたという。

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    cf.)『ウルトラマンネクサス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5869472.html


     物語後半では、ウルトラ兄弟に変身していた古参の俳優たちの客演も叶い、往年のファンを喜ばせた。まさに「親子で楽しめるウルトラマン」の典型と言える作品である。

    cf.)前作『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html

    cf.)『ULTRASEVEN X』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6039941.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマンメビウス』©2006円谷プロ・CBC
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンメビウス
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     『ウルトラマンオーブ』第14話「暴走する正義」第15話「ネバー・セイ・ネバー」より、撮影裏話その2。

    ・右側のビルからもくもくと下に落ちる煙の輪。オーブのモチーフに輪が入っているだけに、嬉しい偶然。

    ・ギャラクトロンを市街地から平地に移動させるオーブ。メタフィールドはないけど人々から危険をなるべく遠ざけようとするところが、『ネクサス』のメイン監督だったアベ監督らしい計らいでもある。

    ・ギャラクトロンのデザインは野中剛が担当。アベ監督からのオーダーは「ヒロイックであり、異世界から来た感じもあり、白くて、ラストでは体の色々な箇所がもがれて、汚れる」。イメージとしては漫画『ぼくらの』に出てくるジアースや『聖戦士ダンバイン』、そして竜。アベ監督がデザイン画に色々と注文を付けて改善してもらったという。後頭部から伸びる尾(?)がさらにジョイント解放で伸びるのはこのようにオーブを捕らえるカットのため。登場カットは撮影順的に後になってしまったので、バトルシーンを先に撮影し、泥だらけになったのを拭き上げて綺麗にしてから登場カットを撮った。


    ・ギャラクトロンが地平を焼き払うシーンがあるが、当初は富士山を破壊する案もあった。サンダーブレスターのインパクトと平衡を保つための演出。

    ・また、「ロボットと言えばロケットパンチ」というロマンを盛り込み、さらに遠隔操作からのビームという芸当まで演出した。だがサンダーブレスターの前では無力に終わる。玩具のような扱いだった。


    ・我に還って消滅するサンダーブレスター。第1話「夕陽の風来坊」の冒頭カットを想起させる絵作りとなっている。因みに、サンダーブレスターの声も全て石黒英雄がアフレコしている。

    ・なぜか医者役としてカメラマンの髙橋創が出演。茶髪の医者って。

    ・この第15話の脚本は小林弘利。自らの無力さに打ちひしがれ、ギャラクトロンの論理に傾きかけるシンに対し、優しく語りかける小舟社長。ライオン、シマウマ、草を使って食物連鎖を簡単に表し、地球がまるごとひとつの命であると説く名シーン。第14話で焼きそばを食べるシーンが出てくるのは、この食物連鎖の話と関連性を持たせるため(また、後半がシリアスな展開なので、前半に楽しいシーンを、という意図や、第12話が少しハードだったからという理由もある)。

    ・この後、病室で「闇を抱きしめて電球のように光る」という主旨の名台詞があり、これがサンダーブレスターをコントロールするためのヒントとなる。『ダイナ』でヒビキ隊長を演じた木之元亮の渋みのある声で聴くと、説得力が半端ない。

    ・因みに、シリーズ構成の中野貴雄によると、公式ではない裏設定として、SSPの事務所の大家さんは小舟社長の奥さんである、らしい。

    ・当初はガイの手からナオミに光のエネルギーが注入される描写があったが、この演技を観たアベ監督が、人間ドラマに終始させた。涙を流さず溜めたままの演技が、神業だったとアベ監督が絶賛している。さすが石黒英雄だ。

    ・小林弘利は第5話「逃げない心」でナオミに「あなた逃げるの得意でしょ」と言わせているが、これはこの第15話でガイが逃げることに繋げるため。

    オーブオリジンへの足掛かり回。監督と脚本家の拘りが詰まった、素晴らしい出来映えとなった。

    cf.)撮影裏話その1はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6013826.html
    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html

    [参考]
    Blu-ray『ウルトラマンオーブ』©2016円谷プロ
    『ウルトラマンオーブ 完全超全集』編著:てれびくん編集部 出版:小学館

    You Tube 特爆!チャンネル 特撮は爆発だ! #172
    https://www.youtube.com/watch?v=sA9zSMvXx-0
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    『ウルトラマンオーブ』第14話「暴走する正義」第15話「ネバー・セイ・ネバー」はアベユーイチ監督のギャラクトロン回。2回に分けて撮影裏話を紹介したい。

    ・アバンパート。シンのメイン回ということでシンのこれまでのシーンが出て来る。この回のために、アベ監督は第4話「真夏の空に火の用心」からシンの机の上にロボットの人形を置いた。また、第8話「都会の半魚人」でシンの夢の第1位に「スーパーロボットの開発」を入れている。もともとは入っていなかった台詞だが、この回のために脚本の小林弘利が入れた。このような伏線が物語に厚みを持たせている。

    ・コフネ製作所は実際の工場を借りて撮影している。その名も「コジマ製作所」。JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」のバネを作った本物のバネ工場。バネ製作のカットも実際に作っているところを撮っている。怪獣を登場させなければいけないので、広い畑があったり、梅雨なので雨のときに広い室内の逃げ場があったり、という条件がピッタリの場所で、ロケハンで探すのが大変だったという。

    ・台本上はギャラクトロンとの戦闘中にバーンマイトとなってタックルするシーンがあるが、尺の関係と、かませ犬的な繋ぎ役になってしまうので省いたという。その代わり、焼きそばのシーンでバーンマイトの台詞をガイに言わせている。ブルース・リー風にノリノリで焼きそばを焼くガイ。

    ・脚本を書いた林壮太郎が社員の田丸役としてキャッチャー中澤を推し、キャスティングに繋がったという。ガイに負けずに田丸が焼きそばを食べるシーンがあったがカットされている。因みに、準備稿の段階で「焼きそばシーンが長すぎる」と鶴田プロデューサーに突っ込まれた。『オーブ』は隊員ものではないので、「食」のシーンが多く、「消えものが多くて予算が圧迫される」と言われていた。

    ・キャッチャー中澤はテストも含めて焼きそば紙皿4枚分、焼きそばパン5個位食べたらしい。観ていて気持ちのいい食いっぷりだ。

    ・ギャラクトロンは「ギャラクシードラゴン」と「サルバトロン」の折衷案だが、「サルバトロン」の由来は、脚本を書いていた林壮太郎が、「~トロン」の名前を探してキャッチャー中澤に相談し、中澤が提案した案の中に「サルバトロン」があったことによる。また、ギャラクトロンは頭が画面から切れているが、これは画角に全て収めるよりも、この方が大きく見えるから。『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』で、ゼロがランたちを助けるシーンにも使われており、そのとき気付いた技法という(ホリゾントがそこまでなかったのもある)。

    ・ライトを設置するガイのシーン。ガイが小舟社長を呼ぶところで「隊長!」と呼ぶNGがあったそうだ。結局、映像では「師匠!」と呼んでいる。焼きそばの師匠という意味で言ったのだろう。第15話で小舟社長が電球の話をするので、そこに関連付けているシーン。

    ・ナオミのコードぐるぐる事件。「やめませんか」という声もあったが、監督・脚本家そろって大反対して決行したという。

    ・回転台を使ったカットは4時間掛かった。グリーンバックの回転台から、石膏ビルのセットに突っ込むという難易度の高いカットだった。

    その2(http://ultra-7.blog.jp/archives/6013841.html)に続く。

    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html


    [参考]
    Blu-ray『ウルトラマンオーブ』©2016円谷プロ
    You Tube 特爆!チャンネル 特撮は爆発だ! #172
    https://www.youtube.com/watch?v=sA9zSMvXx-0
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     1996(平成8)年3月9日に公開された映画『ウルトラマンゼアス』(松竹系)は、広告代理店の電通が、出光興産との提携を円谷プロに提案して生まれた「企業タイアップのウルトラマン」。

     「ゼアス」の由来は天空を意味する「zenith」と地球を意味する「earth」の造語。この名を冠したガソリンブランド「ゼアス」から取られた。1995年に出光のCMキャラクターとしてお茶の間に初登場。以前から出光のCMに出演していた「とんねるず」との共演で人気を博し、続編CMも作られた。同時に、映画の製作もスタート。別企画として進められていた『ウルトラマンネオス』がウルトラマンタイプでエリートの設定だったため、差別化のため、ゼアスはセブンタイプで三枚目の設定となった。因みにゼアスはZ95星雲・ピカリの国出身。電動歯ブラシ・ピカリブラッシャーで変身する。

    cf.)『ウルトラマンネオス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5957792.html

     デザインは杉浦千里が担当。従来のウルトラマンの銀と赤の配置を入れ替えて赤を基調としている。横から見た形状は頭文字である「Z」を象っており、スーツの素材はスキージャンプ競技用の素材を使っている。 

     監督は中島信也。日清食品のカップヌードルのCMで注目を集めていたCMディレクター。サントリー「アイスジン」のCMにケムール人を登用したことが縁で抜擢された。脚本は、『ウルトラマンエース』以来、24年振りとなる長坂秀佳。ストーリーはコメディタッチで描かれ、ゼアス=朝日勝人が極度の潔癖症だったり、とんねるずをはじめ出演者たちの演技も喜劇志向寄り。怪獣や宇宙人造型もどこか憎めない仕様となっている。因みに、前年に阪神・淡路大震災があったばかりのため、観客の心情に配慮して、戦闘は街を避けて山や平地で行われている。

    cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html

     公開直後の4月末、早くも第2作『ウルトラマンゼアス2 超人大戦・光と影』の企画がスタート。円谷プロの鈴木清プロデューサーが電通の飯田尚一プロデューサーに話を持ち掛けた。飯田尚一は、コメディタッチの前作と趣向を変えるべく、当時の格闘技ブームを反映したスポ根志向を提案。空手道場・正道会館の館長を務めていた石井和義に協力を仰ぎ、殺陣や特訓シーンにアドバイスを受けた。正道会館所属の角田信朗やアンディ・フグ(2000年に逝去)が実名で出演し、アンディ・フグのかかと落としも収録されている。


     企画当初は女性ウルトラマン登場の案もあったが、最終的に見送られ、ロボットであるウルトラマンシャドーが登場した。続編となる『ウルトラマンゼアス3』の話も出たが、映画『ウルトラマンティガ&ウルトラマンダイナ 光の星の戦士たち』の製作が優先されたため、実現しなかった。

     シリーズ中、数少ない喜劇志向。当初は「赤い頭のトウガラシ」などと悪態をつかれ醜いアヒルの子扱いだったが、スタッフが心を込めて立派な成長過程を描いてくれたため、ウルトラの幅を広げることに成功した。微笑ましく観ることができる異色作である。


    cf.)同年放送のテレビシリーズ『ウルトラマンティガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5966349.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマンゼアス1&2』©1996.1997円谷プロ/ソニー・ミュージックエンタテイメント/ソニー・ピクチャーズエンタテイメント/電通
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンゼアス
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