たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年05月


     2015(平成27)年から放送された『ウルトラ怪獣散歩』は「空想特撮散歩シリーズ」と銘打った新感覚お散歩バラエティ番組。フジテレビONEで放送された。

     プロデューサーは門澤清太、足木淳一郎、古賀隆介、平山聡。フジテレビONEでの『ウルトラマン』放送に際し、過去作の放送だけでなく、新しい価値の創造を目的に企画された。等身大のウルトラ怪獣・宇宙人が全国各地の名所を訪ね歩き、食レポや体験レポをする。メインMCはメフィラス星人で、毎回登場し、他の2体は回によって様々な怪獣・宇宙人が登場した。声を担当したのはお笑いコントユニット「東京03」。メフィラス星人は角田晃広、他の2体は飯塚悟志と豊本明長が担当している。また、角田晃広はエンディングテーマ「ウルトラ怪獣散歩のテーマ」を唄っている。

     着ぐるみなので、食レポ時は食べている真似。また、「怪獣は神聖な場所にそぐわない」という理由で神社仏閣の撮影はNGが出ることが多かったが、中にはOKが出る箇所もあった。他にも、動物園や水族館など、動物がいる場所では「動物がびっくりしてしまう」という理由で撮影NGとなるケースもあった。因みに、撮影OKの場合も、怪獣・宇宙人の手の形が異形のものだけ動物に触れられない場合もある。

     撮影NGとなって怪獣たちが残念がるところをむしろネタにし、ひとつのパターンともなった。ロケ時に雨が降ることも多く、低予算番組のため撮影日をずらせずそのまま予定を室内バージョンに急遽変更して撮影決行となることもあった。

     ロケ地は葛飾柴又~両国、鎌倉、江ノ島、京都、大阪、お台場、尾道・宮島、横浜、新潟、伊豆、須賀川・会津若松、上野、深川・月島、長崎、千葉、巣鴨・蒲田、都電荒川線沿線、福岡、佐賀、川越・鉄博、那覇・北谷、首里・美ら海、長岡・新潟市、箱根、逗子・葉山、横須賀、鳥取、札幌。


     脚本に散りばめられた怪獣・宇宙人の豆知識やオマージュカット、そして毎回ラストに繰り広げられる喧嘩(ウルトラファイト)は往年のファンを喜ばせ、4年間にわたり断続的に放送。「ビデオ屋さん大賞2017」のバラエティ部門において金賞を受賞したこともある。

     因みに、『ウルトラセブン』(1967)第14・15話に登場するペダン星人は原典ではシルエットのみだったが、本作でそのマスクが初披露されている。

    [参考]
    DVD『ウルトラ怪獣散歩』©円谷プロ / Contents League
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラ怪獣散歩
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     2014(平成26)年に放送された『ウルトラマンギンガS』は前作『ウルトラマンギンガ』(2013)の2年後の世界を描いた続編である。

     北浦嗣巳プロデューサーにより抜擢されたメイン監督は坂本浩一。シリーズ構成は中野貴雄と小林雄次。防衛隊UPGの登場やもう一人のウルトラマン・ビクトリーの存在が特徴で、メインキャストも根岸拓哉と草川拓弥以外は一新された。製作面でも、ミニチュア特撮による街中での戦闘や遠征ロケの増加など、パワーアップした内容となっている。

     坂本監督はオープンセットでの撮影による巨大感の強調、デジタル合成による世界観の拡大、テンポの良いアクションシーンに特に力を入れたという。

     また、従来のシリーズでは、人間ドラマと怪獣特撮をいかに上手く絡めるか、という作家主義的側面ばかりに腐心する風潮があったが、シリーズを継続するには商戦で好成績を残していかなければならないため、ウルトラマンはもちろん、変身アイテムや武器などのグッズをいかに魅力的に見えるようにするか、という部分も意識している。

     ストーリー展開としては、前作では高校生の青春に主軸が置かれていたが、本作では主人公が防衛隊に入り大人の世界に踏み出しつつ、価値観の違いから簡単には分かり合えない相手・ショウとの関係性に主軸が置かれている。

     また、上司から駒のように扱われる敵役アンドロイド・ワンゼロのドラマも、組織と個人の関係を描いたひとつのテーマとなっている。因みに、終盤で登場するビクトリウム・キャノンを巡る展開は、福島第一原子力発電事故(2011)後の世相を反映したものとなっている。

     ウルトラマンビクトリーのデザインは後藤正行が担当。ギンガが未来を象徴しているので、ビクトリーは過去を象徴し、地底の戦士ということで黒を基調にし、額の形状や、ギンガではなかった腕・脚部の電飾など、挑戦的なデザインとなっている。また、ファイトスタイルも、ギンガがプロレス技やパンチ系が主体なのに対し、ビクトリーはキック技主体にし、差別化を図ったという。

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     『ギンガ』(2013)を発展させ、世界観を拡大したことにより、不動の人気を気付いた本作は、1年間に約2クール分の放送と劇場版を1本というフォーマットを定着させていく端緒となった。また、ギンガはその後続いていく「ニュージェネレーション」の1番手と位置づけられるようになり、『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(2019)ではニュージェネのリーダー的存在として描かれている。

    cf.)前作『ウルトラマンギンガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6129654.html

    cf.)次作『ウルトラマンエックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6227759.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンギンガS』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンギンガS
    『映画監督 坂本浩一 全仕事』著:坂本浩一 出版:KANZEN
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     5月17日放送の『ULTRAMAN』第6話「ウルトラマンという呪い」より。

    ・ロブトン星人。モチーフは『ウルトラマン』第17話「無限へのパスポート」に登場したブルトン。フランスの詩人・文学者、アンドレ・ブルトンから取った名前。

    ・ロブトン星人は原典のブルトンより平べったい印象。タニシのような物体を放出した。

    ・進次郎の一撃で青い血(?)を吐くロブトン。進次郎は止めを刺せず、ロブトンは捕獲処理となる。
    原典ではウルトラマンを苦しめたブルトンだったが、このロブトン星人は意外と弱かった。

    ・父との対話シーン。「ウルトラマンはその存在の大きさ故、その闇もまた大きく深い」。
    ハヤタの現役時代の苦悩が窺える一言。近年のウルトラシリーズは闇を多角的にしっかり描く潮流があり、それに対して主人公がどう闇を捉え、克服していくかの変遷がある。ここでもその一端が窺える。

    ・ブリス星人。この色使い。モチーフは『ウルトラセブン』第8話「狙われた街」に登場したメトロン星人だろう。赤、黄、青を基調とした斬新な色使いが特徴的なこのメトロン星人。当初は全身真っ白だった。撮影現場に送られてきた着ぐるみを見て、「真っ白のまま撮影というわけにはいかない」ということになり、現場で急いで色を付けることになったのだ。当時は10種セットのカラースプレーが重宝されており、緑や黒、茶色は山の色付けや汚し塗装で使うことが多く、あっという間に無くなっていた。一方、あまり使われない赤、黄、青は大量に残っていた。そこで、若い美術スタッフたちはそのカラースプレーであの色合いを実現したという逸話がある。

    ・レナの父親であることが判明した遠藤刑事たちを襲おうとするブリス星人。そのとき、スラッガーが2本窓を割って飛んでくる。こ、これはッ・・・!!

    ・ついに登場、SEVEN SUIT。剣で地面をなぞったときの火花がまた良い。

    ・一撃でブリス星人の腕を切った。キレッキレだ。躊躇なく止めを刺す諸星。緑の返り血が生々しい。
    原典の『ウルトラマン』などで怪獣・宇宙人の血を描く際、赤を使うことを禁じたという円谷英二。以来、緑や青がよく使われるようになった。

    ・宇宙人を殺すことにまだ悩みを抱えている進次郎は街中でブラックキングと遭遇。
    闘技場にいた奴だ。

    ・陰から様子を見るジャック。不敵な笑みだ。

    次回はブラックキング戦。OPでも描かれている迫力の戦闘シーンが期待される。

    cf.)第7話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6198954.html

    cf.)第5話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6092272.html

    [参考]
    TV『ULTRAMAN』TOKYO MX.©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
    会報誌TFC no.19
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     1970(昭和45)年、『ウルトラファイト』が放送された。 これは毎週月曜から金曜まで、5分間放送された着ぐるみバトルの特撮番組。


     当時、第一次怪獣ブームが沈静化し、『巨人の星』(日本テレビ系)や『あしたのジョー』(フジテレビ系)などのスポ根ものが流行していた。そんな中でも、『ウルトラマン』(1966)や『ウルトラセブン』(1967)の再放送や子ども向け情報誌でのウルトラシリーズ特集により、新作への機運は高まっていった。

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

     しかし、当時の円谷プロは費用を度外視した番組製作のために赤字が嵩み、新作への余裕はなく、円谷英二の逝去もあり、危機的状況にあった。そこで、長男の円谷一は「支出ゼロの番組を作ろう」と発案。それを受け、満田かずほ達がまとめた企画が『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の特撮戦闘シーンを編集して5分間のミニ番組を作るというものだった。


     企画初期タイトルは『ウルトラ100』。次いで『ウルトラファイト130』。この130とは、月曜から金曜まで週5で放送する帯番組枠で2クール(26週)分の数字。『Q』『マン』『セブン』の怪獣・宇宙人の合計数とほぼ同数だった。

     ところが、実際にフィルムから特撮対決シーンを抜き出してみると尺が足りないものが多いことが判明。そこで、過去作の抜粋だけでなく、新撮の回を作ることで、話数を補うことになった。なお、新撮パートでのヒーローはセブンだが、セブンの出て来ない怪獣同士のバトルのみの回も多い。ナレーションは山田二郎アナウンサー。明瞭な活舌と整った発音でのアドリブ実況でバトルを彩った。

     撮影やアトラクションで酷使された着ぐるみは、かつての華々しさが薄れ、くたびれていたものが多く、ロケで行われた新撮パートはミニチュアもなく泥まみれのバトルが多かった。放送開始当初は「円谷プロは出涸らしのお茶で商売している」とマスコミから散々に揶揄された。

     しかしながら、子どもたちにとってはテレビで怪獣が見られるため瞬く間に人気番組となり、予定の130話を上回る196話が製作され、再放送も随時挿入、結果として253回の放映となった。

     これが第二次怪獣ブームの火種となり、『帰ってきたウルトラマン』(1971)の製作に繋がることになる。

    cf.)『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6315068.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラファイト
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     2013(平成25)年に放送された『ウルトラマンギンガ』は円谷プロ創立50周年記念作品。『メビウス』(2006)以来、約7年振りとなる新作テレビシリーズである。

    cf.)『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html


     シリーズ構成は長谷川圭一。企画初期の段階では、『ガイア』(1998)が15周年となることから、主人公を大学生とし、大学教授として高山我夢を登場させる話もあった。また、『仮面ライダーフォーゼ』(2011)(東映)が高校生を主人公としていたことから、差別化のために小学生や中学生を主人公とする案もあったが、最終的に高校生に落ち着いたという。

    cf.)『ウルトラマンガイア』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5911369.html

     メイン監督はアベユーイチ。「夢」をテーマに、高校生の青春の悩みや進路の不安など、ピュアな要素を物語に絡めるジュブナイル・テイストで方向性を定め、設定を作り直していった。ギンガに関しては、ほとんど喋らない「謎のウルトラマン」とし、神秘性を持たせている。これは、ウルトラマンゼロが出自もはっきりしていて、よく喋るウルトラマンだったので、正反対の設定にして存在を際立たせたかったためである。また、地球や宇宙を守るといった高尚な使命感を排し、廃校となった小学校を舞台に身近な人々を守るという設定にし、より親しみやすい作風を目指した。


     ギンガのデザインは後藤正行が担当。コンセプトは「光るウルトラマン」。七色発光LEDの使用を前提に、初代ウルトラマンをベースに各所にクリスタルが配置された。当初は太腿にもクリスタルがあったが、伸縮性の優先を考慮して省略された。また、小学校が舞台ということもあり、最終回以外は従来のウルトラマンより若干小さめの30メートルくらいの身長で戦う設定となっている。

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     登場・着地カットはアベ監督お得意の回転台が使われている。これは銀河=星雲が渦を巻いているイメージから考案したもの。

     怪獣を倒しても、スパークドールズという人形に戻るだけで、怪獣を殺すことがない優しい設定。ギンガのデザインの意外性。とある田舎町を守る高校生たちのジュブナイルといった一風変わった作風。そして、40周年を迎えたタロウの登場。全てが上手く調和し独特な雰囲気を持つ本作は人気を博し、続編となる『ウルトラマンギンガS』(2014)を生み出すこととなる。

    cf.)『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

    cf.)前作『ウルトラマンゼロ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6085844.html

    cf.)次作『ウルトラマンギンガS』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6145930.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンギンガ』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンギンガ
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