たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年06月

     『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』(2019)はウルトラウーマングリージョやウルトラマングルーブが登場する『R/B』(2018)完結編。脚本は中野貴雄。監督は武居正能。VFX監督は神谷誠。順不同で見どころポイントを紹介したい。

    ・河原でイサミの留学について話をするカツミ。河原に来るとコーチのように見えるカツミ。イサミは面と向かってカツミに「ありがとう」を言う。TVシリーズでは面と向かって言うことがなかっただけに、成長を感じる。

    ・何を探してんだよとの問いに、「影です」と答えたリクに対し、「何をポエマーみたいなことを言ってんだ!」とツッコミを入れるウシオ。

    ・戸井の部屋の前で夢の話をするカツミ。「夢には足が生えており、一歩一歩進む」。良い言葉だ。第4話に登場した熊城監督からの受け売りだろうか。

    ・TVシリーズでは「すき焼き」の話は出て来たが、映像化はされていなかった。劇場版で遂に実現。「肉ばっかり食うな」のくだりがどうしてもやりたかったという武居監督。一家団欒を羨ましそうに眺めつつ、控えめに白滝を食べるリクがいじらしい。ミオがすき焼きにコーラを入れる未公開シーンも存在する。コクが増すらしい。

    ・リクとアサヒが自分の出自について語るシーン。家族について重い悩みを抱える2人。アサヒは初めて他人にカミングアウトすることになる。リクの「授業参観に来てほしいタイプの親じゃなかった」という台詞や、リクが家族になってくれたら「ハッピーハッピッピー」というアサヒの台詞はカットされている。

    ・戸井の由来はトレギアのTOY(おもちゃ)のように扱われることから。また、後付けで、カツミへの「問い」という意もある。「怪獣だって生命だろーが!」という台詞はこの映画の中では解決できない程、ウルトラマンにとって大きな命題。シリーズを通して取り組むようなことなので、伏線として回収できないなら、この台詞は入れるべきではなかったのではないか。

    ・手に関する演技。第1話でカツミがイサミに手を差し伸べたのを受けて、今回はイサミがカツミに手を差し伸べて助ける。

    ・ルーブタッチの最後がはたいて流すのではなく、今回はがっしり握る演出が熱い。

    ・ジードとグルーブのタッチもルーブタッチに拳タッチが織り交ぜられている。ジードでは拳タッチが象徴的に扱われていたため、この演出もエモい。

    ・「君のたったひとりのお母さんだろ!」と戸井に投げ掛けるリク。母親を持たないリクだけに、この台詞はリクの感情がひと際強く表れている。

    ・逆さまになるロッソ。冒頭にインパクトのある絵が欲しかった武居監督。このシーンのために特別に作ったビルに、ワイヤーで吊ったロッソを入れ、操演部が足の動きなども操作している。

    ・スプラッシュボム、ストームシューティング、ストライクブースト。全て「ス」で始まる技。

    ・メカゴモラをあっさり倒すロッソだが、本当はスラッガーを出す前に肉弾戦があった。尺の都合でカットされている。

    ・グリージョ誕生。サナギが割れて蝶が出てくるイメージ。光も蝶の羽のように左右に広がっている。

    ・グリージョチアチャージはアサヒがよく配っている飴ちゃんのイメージだ。

    ・グリージョバリア。スネークダークネスとトレギアのダブル攻撃を簡単に防いでしまった。強い。

    ・ジードとグルーブが並び立ったときに、違和感が最小限に抑えられている。全身CGのグルーブ。VFX監督の神谷誠が手間を掛けた傑作。スーツの皺も再現されている。実際のスーツも作られ、実写用スーツで撮った素材と、半分グレー・半分ミラーのボールを使って光の反射を計測、カラーチャート、HDR写真も参照しながら、グルーブを作り上げていった。肩幅の広い逆三角形の上半身や筋肉描写が素晴らしい。神谷監督は、今後の円谷プロのひとつの可能性として、全身CGウルトラマンを提案したという。

    ・トレギアのビームを左手一本で受け止めるグルーブ。実写の車との合成も良い。

    ・グルーブのパンチカットがカッコよすぎる。インパクトの瞬間、トレギアの顔が歪むのも良い。

    ・ビル破壊とCGウルトラマンの融合も試みられた。グリーンバックで置かれた石膏ビルをグリーンの丸太を振り子のように振って破壊した素材、上からのアングルも用意、ビル4連続破壊、そこからのCG合成作業・・・など、手間が掛かっているカット。

    ・ニュースキャスター役は『平成ウルトラセブン』でサトミ隊員を演じた鵜川薫。
    官房長官役はウルトラシリーズ常連の野口雅弘。

    ・強化ガラスの破壊。最初は思うように上手く割れず、予備の1枚で再度チャレンジし、上手く吹き飛んだ。映画ならではの予算の掛かったチャレンジカット。

    ・トレギア「勉強になったー!!」未だかつてこんなに向上心を持った敵役はいただろうか。勉強熱心なトレギア。名前は鶴田幸伸プロデューサーが考案。由来は古いギリシア語で、「狂った好奇心」という意味。

     脚本の中野貴雄によると、テーマは「夢」、「巣立ち」、「ジェンダー」。内容も盛りだくさんで、稀少な女性ウルトラマンの誕生、そして全身CGウルトラマンと実写特撮の融合という実験作となった。

    cf.)『ウルトラマンR/B』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6244727.html

    cf.)『ウルトラマンジード』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6238261.html

    [参考]
    Blu-ray『劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル』©劇場版ウルトラマンR/B製作委員会
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     6月7日(日)放送の『ULTRAMAN』第9話「はじめまして、兄さん」より。

    ・北斗星司。進次郎の正体を知り、ACEの力を使って金を集めたり、謎の「おっさん」と通信する謎の青年。

    ・正体がバレていたことをジャックに相談する進次郎。気軽に呼び出して相談できる間柄だったのか。

    ・地下で発見されたピット星人の死体。内臓の一部が飛び出ているのがグロテスク。筋肉質な体型であることから、性別があるとすれば男かと思われる。原典『ウルトラセブン』(1967)以来、女型しか存在しないとされてきたピット星人だが、この世界では男型も存在するらしい。原典『セブン』準備稿段階ではマーガレット星人という名だったが、キューピッドのような可愛い姿で相手を惑わすことから、ピット星人となった。デザインは成田亨。トンボをモチーフとしており、お気に入りのデザインだった。因みに、ネーミングとは関係ないが、ヘビの鼻付近にある赤外線感知器官もピット器官といい、ピット星人の黒目によく似ている。

    ・ベロクロンにマウントポジションを取られ、ピンチに陥る進次郎。それを助けたのは北斗だった。
    原典『ウルトラマンエース』(1972)第1話に登場したベロクロン。デザインは井口昭彦。背中側は珊瑚で、手前側が宇宙怪獣と想定している。珊瑚状の突起や口からミサイルなどの人工的な武器が出てくるところが、人智を超えた「超獣」らしさを醸し出していた。今回のベロクロンはミサイル発射の様子はなかった。

    ・「ぶったぎってやるの刑だ!!」エースといえばギロチン技が有名。バーチカルギロチン的なエフェクトがエモいビームカッター。原典『ウルトラマンエース』(1972)ではベロクロンを倒した技はメタリウム光線だったが、今回はギロチン技だった。返り血を浴びながら切断の様子が各アングルから描かれ印象的な絵になった。

    ・技の反動で腕がショートして動かなくなる。

    ・エドが笑っていることを見破る井出。何か知っている風な様子のエド。

    強烈な印象のACE登場回となった。

    cf.)第10話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6347185.html

    cf.)第8話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6251359.html

    [参考]
    TV『ULTRAMAN』TOKYO MX.©TSUBURAYA PRODUCTIONS ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ピット星人
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ベロクロン
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     『ウルトラマン80』第9話「エアポート危機一髪!」はガビシェールが登場し、炎を撒き散らす派手な特撮回。脚本は阿井文瓶、監督は湯浅憲明、特技監督は川北紘一。

    ・オイル怪獣ガビシェール。デザインは山口修。山口修のお気に入りの怪獣で、特徴である口の管は、火炎を吐き、オイルを吸うシーンで効果的に描写された。脳が剥き出しになっているような頭部の形状も良い。泣き声はタッコングの初号フィルム版の流用。

    ・相原京子先生役を演じるのは浅野真弓。『帰ってきたウルトラマン』(1971)第1話で娘役として出演している。

    ・上野博士(ハカセ)役を演じるのは上野郁巳。丸メガネが可愛い。

    ・ソルボンヌ大学助教授の山岡役を演じるのは、若き日の堀内正美。平成ウルトラシリーズの常連で、一番印象的なのは『ネクサス』(2004)の松永要一郎役だ。

    ・山岡を騙すために、ハカセが「お母さん!」と京子先生の胸に飛び込む問題シーン。

    ・ウルトラショット、ウルトラアローショット、そしてサクシウム光線、と3種類の光線を駆使して倒す80。

    危険を伴う派手な炎特撮シーンが魅力。そして、ハカセがちょっと羨ましい回であった。

    cf.)『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマン80』©1980円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマン80
    怪獣wiki特撮大百科事典
    https://seesaawiki.jp/w/ebatan/d/%A5%AC%A5ӥ%B7%A5%A7%A1%BC%A5%EB
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     2020年6月20日(土)放送開始予定の『ウルトラマンゼット』。出演者とメイン監督が参加するオンライン生発表会が6月5日(金)放送された。

     冒頭でシリーズ構成を務めた故・吹原幸太への哀悼の辞が述べられ、メイン監督・田口清隆がスタッフ代表としてコメント。知り合ったキッカケ、その人柄に惚れこんだこと、そして、オリンピックの関係で撮影スケジュールに合わせてシリーズ構成・脚本準備が急ピッチで進み、約10か月間もの間を共に製作し、第1話の編集が完成する間近で亡くなったことが明らかになった。

     ファンとしては冒頭から涙の中継内容。脚本担当回も涙なしでは観られないだろう。

     そこからはスペシャルムービーの公開、監督・出演者のコメント、そして、まだ発売前のゼットライザーを使って出演者全員がアルファエッジの変身シーンを披露するなど、楽しい雰囲気の中、中継が進んでいた。

     公開されたスペシャルムービーの中に、青柳尊哉演じるベビクラ隊長がハルキの尻を掴むシーンがチラッと出て来たが、これは、『劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!』(2018)で青柳尊哉演じるジャグラーがレイトの尻を掴むシーンのオマージュであろう。


     放送開始まであと約2週間。待ちきれない。

    [参考]
    You Tube ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.チャンネル 6/20(土)~新番組『ウルトラマンZ(ゼット)』スペシャルムービー【初公開映像満載!】
    https://www.youtube.com/watch?v=QeL1IEZfOM0
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     『ウルトラマン80』(1980)の前期オープニング曲「ウルトラマン80」と、前期エンディング曲「レッツ・ゴー・UGM」は、ロックバンド「TALIZMAN(タリスマン)」によるもの。後期オープニング曲「がんばれウルトラマン80」と後期エンディング曲「地球人だよ」に関しては、同バンドとコロムビアゆりかご会のフィーチャリング曲である。 


     1974年、TALIZMANの母体となる「クロニクル」が結成される。1979年、クロニクルの石川、発地、巳城の3人に、木村昇、石川智を加え「TALIZMAN」となる。1980年、コロムビアから2タイトルのレコードシングルを同時に発売し、デビュー。『80』の主題歌やリバイバル公開映画『モスラ対ゴジラ』のイメージソング、そして漫画『超人ロック』のイメージアルバム等を手掛け、特撮・アニメファンに親しまれた。


     リーダー兼ボーカルの木村昇が1981年秋に脱退、TALIZMAN結成前から行っていたソロ活動を本格的に始める。その後、残ったメンバーでタケカワユキヒデ(ゴダイゴ)のバックバンドとして活動したが、1983年に活動を停止している。


     ウルトラシリーズでは初のシンガー・ソングライターの起用となる。また、エンディングが導入されたのも実写ウルトラ作品では『80』が初(前年のアニメ『ザ☆ウルトラマン』でもエンディングが導入されている)。
      オープニング「ウルトラマン80」に関しては、エイトビートのリズムが当時の視聴者には斬新で、ボーカルの木村昇の声の爽やかさが、長谷川初範演じる主人公・矢的猛の爽やかさとシンクロし、ヒューマニズムを前面に出した歌詞とともに、耳に残る印象的な曲となった。


     因みに、タリスマンとは「護符」「お守り」「魔除け」などの意。

    cf.)『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマン80
    https://ja.wikipedia.org/wiki/TALIZMAN
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