たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年07月

     7月25日(土)放送の『ウルトラマンゼット』第6話「帰ってきた男!」はギルバリス登場回。ジードがギャラクシーライジングとなって帰ってきた。脚本は林壮太郎。監督は坂本浩一。

    ・セブンガーとウィンダムの模擬戦。脚本の林壮太郎によると、どうしてもやりたいシーンのひとつで、初稿からト書きに入れていたという。セブンガーの突進、ウィンダムのチョップやドロップキックが炸裂した。

    ・ユカが取り組んでいたミレニアム懸賞問題「リーマン予想」。かつての「リーマンショック」を想起させる問題名だが、これは実在の問題。ドイツの数学者リーマンが提唱した。

    ・ギルバリス登場。横に広いので、画面一杯使ったあおりカットで巨大感が割増す。ヘビクラ=ジャグラーはジード劇場版のときに一度対峙しており、強さを知っているので、慌てて現場隊員たちに撤退を指示する。
     ジード劇場版で初登場の際、デザインは2つ存在しており、1つは亀のシルエットをベースにしたデザイン。坂本監督が「メカガメラ」と表現していたという。

    cf.)ギルバリス登場の劇場版『ジード』前編はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5719972.html

    cf.)後編はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5768026.html

    ・ギルバリスにより誤作動させられ、味方陣地に向けて硬芯鉄拳弾を発射してしまうセブンガー。瞼が全開となったビックリおめめだ。

    ・混乱の中、ジードギャラクシーライジングが降り立つ。ジード第1話の登場シーンのセルフオマージュで、しゃがんだところから俯き加減での立ち上がりを引きのカメラワークで回り込む。そこからのポージングと光の合成がまたカッコいい。ジード主題歌「GEEDの証」のBGMもアツイ。

    ・ギャラクシーカッティング。肘のパーツを利用した斬撃技。プラズマ光輪という新技も披露した。


    ・レッキングフェニックス。両手を広げ不死鳥を象ってから発射ポーズに入る。

    ・リクの肩に顎を乗せるヘビクラ=ジャグラー。このシーンも林壮太郎がやりたかったシーンで、初稿から入れていたという。「正義に目覚めたって言ったら、信じるか?」の台詞がいい。

    ・惑星アインの回想シーン。ネオブリタニア号が久々に登場。ギガファイナライザーもチラッと映った。


    ・ジードライザーが故障。リクはペガからゼットライザーを手渡されるが、はぐれてしまったらしい。最終回までに再会できるだろうか。

    ・ギルバリスの残骸からデビルスプリンターを回収するカブラギシンヤ。

    ・ユカの作戦で偽情報を流し、ケイ素を狙うギルバリスを誘導。一度はギルバリスの本体をつかまえるウィンダム。しかし、体を復元されてしまう。


    ・ギンガ、エックス、オーブのメダルの力を使ってギャラクシーライジングに変身。「ライブ、ユナイト、アップ」それぞれの変身を指す言葉を並べる。「アップ」はフュージョンアップの略。「集うぜ!綺羅星!!」が変身文句のようだ。

    cf.)『ウルトラマンギンガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6129654.html

    cf.)『ウルトラマンエックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6227759.html

    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html

    ・ジードのことを兄弟子だとハルキに説明するゼット。ジードもゼットのことを知っているようだ。

    ・ギルバリスの攻撃をバリヤでガードしウィンダムを守るゼットとジード。「フュージョンライズ!」のBGMもアツイ。

    ・ベータスマッシュにチェンジ。

    ・バーチカルギロチンオマージュの技は「ベータクレセントスラッシュ」だと判明。ジードはお馴染みのレッキングリッパーを放つ。

    ・ギルバリスのバック。砲門だらけだ。ハリネズミのようにも見えてかわいい。が、砲門すべてから一斉にミサイルなどが飛んで来たらおそろしい。こいつは後ろ姿の方が魅力的かもしれない。


    ・これもユカの作戦、懸賞問題データを注入して動きを鈍らせた。劇場版怪獣をテレビシリーズで簡単に倒してしまうと強さが薄れてしまうので、今回は防衛隊のアシストにより弱体化させる演出だった。強さの整合性問題である。

    ・「ご唱和ください、我の名を!」のBGMでギャラクシーバーストを放つジード。

    ・「バースト」という名だが、斬撃系の技だった。ベータスマッシュはゼットランスファイヤーを放つ。

    ・ベータスマッシュとギャラクシーライジングの2ショット。

    ・ジードタッチ。もはやお約束だ。

    ・タロウとベリアルの闘いの回想。映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』のシーンは製作委員会が違うので権利の関係で使えないため、新撮したのだろう。映画とは違うアングルなのが嬉しい。

    cf.)『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6085844.html


    ・タロウのストリウム光線!

    ・映画では『マトリックス』(1999)のキアヌ・リーヴス並みの後屈でストリウム光線を完全に避けていたベリアルだが、今回の回想では肩をかすめている。「回想での歴史改変」と揶揄する声もあるが、「映画ではカットされていた別場面」とも解釈できる。あるいはクライシス・インパクトなど、まったく別戦場での戦いだったか。デビルスプリンターはベリアルの細胞の一部だったことが判明。道理で形がベリアルの目に似ているわけだ。

    ・カブラギは戦闘員バリスレイダーを召喚。ベリアルメダルを精製するために、ベリアルの息子であるジード=リクに目をつけた模様。


     主題歌をBGMとして効果的にどんどん使うタイプの坂本監督。自身がメイン監督を務めたジードの新形態の演出に力がこもっていた。かといって、ジードの活躍ばかりではなく、ゼットの主題歌もラストに使い、活躍のバランスにも配慮しているのが窺える。

     次回も坂本監督。いよいよゼロも参戦する。スカルゴモラ等が登場予定。

    cf.)第7話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6730430.html

    cf.)第5話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6593557.html

    [参考]
    You Tube ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.チャンネル
    『ウルトラマンZ』第6話「帰ってきた男!」-公式配信- "ULTRAMAN Z" Episode 6 -Official-
    https://www.youtube.com/watch?v=ls3b-NQHRFU
    https://ja.wikipedia.org/wiki/リーマン予想
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンZ
    https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/39163.html
    林壮太郎o(%)〇劇場版ウルトラマンタイガ8/7(金)公開!Twitter(@HAYATARO1217)
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     『ウルトラマン』(1966)はどのような経緯で製作されたのだろうか。武田薬品一社提供枠「タケダアワー」で放送された本作は、TBSでは初となるカラー特撮番組である。

     1966(昭和41)年、『ウルトラQ』が満を持して放送され、平均視聴率30%超えという空前の大ヒットを記録。実は次回作は1965年8月頃から検討されていた。「民間人が毎回、怪事件に遭遇する」という『Q』の不自然さを解消すべく、怪事件の解明を専門とした組織「科学特捜隊」が考案され、さらに正義の怪獣「ベムラー」を主人公とする企画書が書かれた。

     メインライターは円谷特技プロ企画文芸部室長・金城哲夫。TBSプロデューサー・栫井巍(かこいたかし)らとともに、様々なアイディアが出されていった。

     企画書「科学特捜隊ベムラー」におけるベムラーのデザインは、カラス天狗のようにクチバシや羽根を持ったものであった。しかし、正義のヒーローに見えず、不採用となる。

     続く企画書「科学特捜隊レッドマン」においては、『Q』でケムール人やペギラ等のデザインを手掛けた成田亨がレッドマンをデザイン。甲冑を身に纏ったようなデザイン等を経て、宇宙服なのか模様なのか見分けがつかないようなデザインとなり、余計なものが削ぎ落されどんどんシンプルになっていった。これには、本作品はアメリカへのセールスを前提としており、アメリカの事情に詳しいTBSの大谷乙彦らが「今の形では外国人に受け入れられない。もっと無表情な鉄仮面のようなものの方が謎があっていい。」と提案した影響もあるようだ。

     最後は造型を担当した佐々木明と共に粘土細工に直接手を入れながら完成。このときはカラータイマーはついておらず、後の撮影直前になって勝手に付け足されたという。

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    cf.)ウルトラマンのデザインの変遷についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6180062.html

    cf.)ウルトラマンのマスクの造型についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6183384.html

    cf.)成田亨のデザインへの帰還を図る2021年公開予定映画『シン・ウルトラマン』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5152928.html

     「レッドマン」というタイトルは、タイトル盗用を防止するためのダミータイトル。この段階で既に、「飛行機事故でサコミズを死なせた宇宙人レッドマンが責任を取ってサコミズの身体を借りる」という基本フォーマットが描かれており、この「サコミズ」という名前は後に『ウルトラマンメビウス』(2006)の隊長役の名前に使われることになる。

     なお、レッドマンは故郷の星を侵略者によって既に滅ぼされていたり、サコミズには人気歌手の恋人がいることなどが盛り込まれている。この人気歌手の恋人の存在も後に漫画『ULTRAMAN』(2011)の設定として採用されている。

    cf.)『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html

    cf.)アニメ『ULTRAMAN』第3話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6031944.html

     『ウルトラQ』の「ウルトラ」を継承した『ウルトラマン』というタイトルが商標登録されるのを待ち、正式タイトルお披露目となった。

     7月17日の本放送に先立ち、一般試写会が豊島公会堂など都内の各会場で開催された。その最終会場である杉並公会堂での試写会は、第1・2話の上映の他、円谷英二、科特隊のメンバー、ナンセンストリオなどのゲストが登場。ウルトラマンや怪獣たちの立ち回りが披露され、豪華な内容となった。

     この模様が7月10日に『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』のタイトルで、第3話の特撮シーンの紹介とともに放送され、30%を超える高視聴率を記録した。7月10日が「ウルトラマンの日」とされているのはこのためである。

     TBSから支給された製作費は1クールにつき7000万円(1本につき約538万円)という破格の額であったが、ミニチュアを使った巨大特撮は莫大な費用が掛かり、妥協を許さぬ円谷英二のダメ出しによる撮り直しも相俟って赤字であった。毎週放送するのは予算的にも時間的にも余裕がなく、協議の結果、3クール39本の放送で一旦放送終了することが決定した。

     製作陣の苦悩はさておき、視聴率はほとんどの回で35~40%をキープする大ヒットとなり、第37話「小さな英雄」では最高視聴率42.8%という伝説的記録を叩き出した。

     最終回「さらばウルトラマン」でも37.8%をマーク。ウルトラマンがゼットンに倒されるという衝撃シーンに影響を受けた著名人も多く、大仁田厚や前田日明は「大人になったらゼットンを倒してウルトラマンの仇を取ろう」と格闘技を始めるきっかけになったと語っている。

     また、ゾフィーに命をもらってハヤタと分離し、宇宙に還っていくウルトラマンのラストシーンでは、当時の子どもたちがウルトラマンを一目見ようと窓を開けて夜空を見上げた、という逸話も残っている。

     特撮では、製作費の問題からか、都会の街中での戦闘・破壊は全体的に少なく、山や海、雪原、といった自然の中での戦闘シーンが多い。牧歌的で明るい作風のため、シリアスな内容に寄せた次作『ウルトラセブン』(1967)とファンの好みがよく分かれる。

     『ウルトラQ』を発展させ、今日まで続くウルトラシリーズの礎を築いた画期的作品である。


    cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7747851.html


    cf.)前作『ウルトラQ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6654971.html


    cf.)次作『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマン
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     『ウルトラマン』第10話「謎の恐竜基地」はジラースの登場回。脚本は金城哲夫。監督は満田かずほ。特殊技術は高野宏一。

    モンスター博士の異名を持つ中村博士は北山湖で密かにジラースを飼育していた。

    ・北山湖で釣りを楽しむ釣り人・林を演じるのは西條康彦。
    『ウルトラQ』(1966)で戸川一平役を演じたことで有名。他にも、
    『ウルトラセブン』(1967)第7話「宇宙囚人303」のガソリンスタンド店員役、
    『怪奇大作戦』(1968)第5話「死神の子守唄」の楽屋番役、
    『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』(1994)のサイジョウ・ヤスヒコ役、
    『ウルトラマンマックス』第29話「怪獣は何故現れるのか」の西郷保彦役も演じている。

    因みに、奥の方に映っていた眼鏡をかけた釣り人は特殊技術の高野宏一。

    ・特殊潜航艇S21号がビートルから切り離され、水中へ。

    ・操縦者はアラシ。コックピットはすごく狭そうだ。


    ・チラッと映るジラースの尻尾。アラシに見つからずに済んだ。

    ・下田温泉ホテル。イデ、ハヤタ、アラシはキャップから特別休暇をもらい、ここで疲れを癒す。

    ・イデはシャワーを嬉々として浴びる。気持ちよさそう。

    ・ハヤタはなにやら記録を付けている模様。こんなところでも仕事とは、真面目な隊員っぷり。

    ・アラシは食事を口一杯に頬張る。大食漢のようだ。

    ・「少年グラフ」の雑誌記者。車の改造が独創的すぎる。。。この車は「ヨタハチ」の愛称で有名な「トヨタスポーツ800」。

    ・モンスター博士の取材中、ライターに仕込んだカメラを見抜かれ、フィルムのようなものを抜かれてしまう林一郎カメラマン。演じているのは岡村春彦。
    『ウルトラセブン』第4話・第6話の通信隊員役、
    『ウルトラマンタロウ』第20話「びっくり!怪獣が降ってきた」の米吉役も演じている。

    ・ホテルのボーイ役でチラッと映るのはウルトラマンのスーツアクター・古谷敏。

    ・イデと女性記者・久保友子は夜釣りの最中、怪しい男を追う。木にワッペンを貼り付けて目印を作るイデ。意外と利口だ。
    久保友子を演じたのは谷育子。声優としても数々の役をこなしている。

    ・モンスター博士の研究室へと通じていた通路。秘密を知られた博士は2人を監禁する。
    中村博士を演じたのは森幹太。二階堂教授の声も当てている。
    『怪奇大作戦』(1968)第3話「白い顔」の水上幸一郎も演じている。
    2000年に亡くなっている。享年76歳。

    ・ジラースが夜の北山湖に出現。エリマキが垂れ下がっていてかわいい。

    ・カーバイドを湖に投げ込む心ない釣り人。カーバイドとは炭化カルシウム。水と混合すると爆発する。この爆発の衝撃で気絶した魚を獲ろうという魂胆だ。現代では誰もやらないが、昔はこんなことをする人もいたようだ。


    ・おそらくカーバイドの爆発の衝撃を喰らったのだろう。怒ったジラースが出現!

    ・モンスター博士は実は15年前にネス湖で失踪した二階堂教授だった。ネス湖からジラースを持ち帰り、密かに飼育していたのだ。「ジラースは俺の作り上げた芸術品だ」

    ・しかし、飼い犬ならぬ飼い怪獣であるジラースに踏みつぶされてしまう。


    ・博士に壊された通信機を直し、救助を請うイデ。ワッペンの目印がここで役に立つ。

    ・救助に行くフリをしてサッと抜け出し、変身するハヤタ。第3話のネロンガ回のときのように、ベータカプセルの光がくるくると全身を包む演出。

    ・投げ上げた岩を熱線で破壊するジラース。ウルトラマンも投げ上げた岩2つをスペシウムで破壊してみせる。何の張り合いだろうか。
    ジラースのスーツアクターはゴジラのスーツアクターでもある中島春雄。
    着ぐるみも円谷英二が東宝から借りてきたものの流用で、鳴き声もゴジラの早回し。
    名前は金城哲夫が考えた。沖縄方言で「次郎叔父さん」を意味する「ジラースー(次郎主)」から。


    ・ふっとばされたジラースを笑うウルトラマン。シュワッハッハッハッハ。

    ・ジラースの熱戦三連射をかわすウルトラマン。

    ・ついにエリマキを取られゴジラになったジラース。闘牛士のようにジラースの突進を捌くウルトラマン。監督の満田かずほによると、ゴジラの状態で東宝に返す予定だったため、意図的に劇中でエリマキを取る演出をしたという。


    ・ウルトラかすみ切り。すれ違いざまの手刀で急所を斬っているのだろうか。

    ・口から血を流し、ジラースは倒れる。

    ・二階堂教授の最期。演じているのは灰地順。
    第38話「宇宙船救助命令」で宇宙ステーションV2の吉野隊員役も演じている。


     熱狂・執着が身を滅ぼす結果となった二階堂教授。ゴジラVSウルトラマンの疑似戦という娯楽イベント回でありながら、怪獣の出現も暴走もすべて人間の業が生んだことであったという怪獣特撮の王道パターンを踏まえている。

     沖縄出身で綺麗な海を愛する金城哲夫からすれば、当時行われていたカーバイドで自然を荒らす釣り方などは憎むべき所業であったろう。怪獣=自然とするならば、「いまに自然からのしっぺ返しが来る。」そんなメッセージも含まれているのではないか。

     ちょうどジラース(次郎おじさん)が近所の悪ガキを怒っているイメージだ。

     2020年の『ウルトラマンゼット』第4話ではジラースのウルトラメダルで強化され、エリマキを付けたテレスドンが登場する。エリマキから光線が出たり、汎用性の高い機能が盛り込まれていた。もし元祖であるジラースのエリマキにもそんな機能が備わっていたら、ウルトラマンはもっと苦戦していただろう。

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラマンゼット』第4話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6535953.html

    [参考]

    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/西條康彦
    https://ja.wikipedia.org/wiki/岡村春彦
    https://ja.wikipedia.org/wiki/谷育子
    https://ja.wikipedia.org/wiki/森幹太
    https://ja.wikipedia.org/wiki/灰地順
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ジラース
    https://ja.wikipedia.org/wiki/カーバイド
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     『牙狼〈GARO〉-GOLD STORM-翔』(2015)に『ULTRASEVEN X』(2007)でエージェント・ケイ役を演じていた脇崎智史(ともひと)が出演していた。

    役名は秋月ダイゴ。獣身騎士ギガとなる魔戒騎士。斧を武器に豪快に戦う。
    クールだったケイの役とは違い、髭を生やした豪胆なキャラ。

    髭を生やすとまったくの別人に見えるが、声で脇崎だと分かる。
    修練場で子どもたちに指導もしているという役。

    いつかウルトラシリーズに戻ることはあるのだろうか。

    cf.)『ULTRASEVEN X』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6039941.html

    [参考]
    DVD『牙狼〈GARO〉-GOLD STORM-翔』©雨宮慶太/東北新社
    https://ja.wikipedia.org/wiki/脇崎智史
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     『ウルトラQ』(1966)第14話「東京氷河期」は2回目のペギラ登場回。脚本は山田正弘。監督は野長瀬三摩地。特技監督は川上景司。

    ・約150tもある旅客機・ボーイング707型機が空中で止まり、墜落!

    ・管制塔を横切る黒煙。これはまさか。

    ・羽田空港が氷漬け。「レーダー不能です!」「真冬になってしまったんです!」と連絡する管制官を演じるのは杉裕之。
    『怪奇大作戦』(1968)第2話「人喰い蛾」で倉本役、第20話「殺人回路」で岡役を演じている。
    インテリ風な髪型が印象的だ。

    もう一人奥にいる管制官は伊藤実。第15話「カネゴンの繭」の銀行員役や第27話「206便消滅す」の管制官役でも出演している。
    『ウルトラマン』(1966)第30話「まぼろしの雪山」の猟師役、第32話「果てしなき逆襲」の現場主任役、
    『ウルトラセブン』(1967)第7話「宇宙囚人303」のハンター木村役、第31話「悪魔の住む花」の高田医師役、
    『帰ってきたウルトラマン』(1971)第4話「必殺!流星キック」の警察官役も演じている。


    ・日曜版のネタを探す由利子は上野駅に来ていた。
    一緒にいる秀山記者を演じるのは野本礼三。『ウルトラマン』(1966)第13話「オイルSOS」でタンクローリー運転手役も演じている。2006年に亡くなっている。享年75歳。

    ・「僕にはただ死ぬためにだけ集まってくるアリのように見える」というリルケの台詞を用い、「東京は苦い砂糖なのよ」と語る由利子。塀から落ちた由利子を笑う少年・沢村治夫。蒸発した父の捜索記事を書いてもらう為、毎日新報を探しているという。

    ・一方、星川航空ではセスナには見知らぬ男が乗り込んで眠っていた。どうやら酔っ払いのようだ。季節労務手帳を発見。農閑期に都会に働きに出る季節労働者らしい。


    ・大寒波の原因を追って、南極探検の経験がある万城目を訪ねる由利子。万城目はペギラの仕業ではないかと推測する。

    ・デスクに一旦ペギラ説を否定され、治夫少年の取材にあたる由利子。父の名前は沢村照男。元ゼロ戦のパイロットで、今は出稼ぎ労働者。

    ・ペギラ出現!窓ガラスの割れ方とそこから覗く由利子の構図が最高に良い。


    ・百貨店ビルを粉砕するペギラ。大迫力の破壊シーンだ。このときの泣き声は『大怪獣バラン(1958)』の流用。

    スーツアクターは清野幸弘。クレジットは弘幸となっているが、誤り。
    清野幸弘は『ウルトラマン』(1966)ではチャンドラー、ドドンゴ、ペスター、再生テレスドンを演じた。中でもペスターは、一緒に着ぐるみに入った荒垣輝雄と共に、特撮プール内で大量の弾着を浴び、火の海ともいうべき状況で撮影。死ぬ思いだったそうだ。

    南極が原発事故で温暖化してしまったため、北極へ移動をする途中、東京で休憩しに来たと推測されている。この件にも原発が一枚噛んでいる。


    ・冷凍ガスで車ごと宙に舞ったが、なんとか助かった由利子たち。わずかに開いた車のドアから治夫少年を出し、星川航空へ急がせる。

    ・途中、治夫少年はペギラに襲われてしまう。ペギラとの合成カットや雪の坂に滑り落ちる特撮もインパクトがある。

    ・眠っていた男は沢村照男。銃と(盗んだ?)宝石を持っていた。ペギミンHでペギラを追い払う作戦にセスナを使わなければならないのに、沢村は銃で脅しながらセスナを逃亡に使おうとする。「あんな東京なんか一回氷詰めになって、消毒された方が住みよくなるぜ」

    しかし、突如星川航空に現れた自分の息子・治夫と運命の再会を果たすこととなる。治夫は寒さで瀕死の状態。それを見た沢村は万城目に治夫を預ける。態度の変わり様が凄い。


    ・「見ろ!あの空を。この天候で飛べるのは俺だけだ」暗雲たれこめる空を指差す沢村。まるでこの先の死を暗示するかのようだ。
    沢村照男を演じるのは有馬昌彦。
    『ウルトラマンレオ』(1974)第32話「日本名作民話シリーズ!さようならかぐや姫」で弥生の父親役も演じている。
    特撮や時代劇への出演が多い。1991年に膵臓癌で亡くなっている。享年66歳。

    ・セスナ内部からの合成カット。眼玉の裏から黒目を描いているため、光の加減や角度で黒目が光に溶けて白目がちになるペギラの形相が凄まじい。

    ・「治夫・・・」とつぶやき、ペギラに正面衝突をする沢村照男。ペギミンHは見事爆発した。ミサイルでもびくともしなかったペギラだが、この特攻により、耐えかねて東京を飛び去る。


    ・去り際にも黒煙を撒き散らすペギラ。まるで原爆の煙のようだ。「自分なりのゴジラを撮りたい」という想いだった野長瀬三摩地。ゴジラも原爆が原因だったため、ペギラにも原爆を連想させる要素を採り入れたと思われる。

    ・電車で万城目一行に笑顔でさよならを言う治夫。

    ・その隣の席には父の遺骨が。


    ・ほぼ無表情で遺骨を見つめる治夫。だが一瞬、泣きたいのを堪えるような表情を見せる。この匙加減がたまらない。
    沢村治夫少年を演じたのは佐藤英明。脚本の山田正弘お気に入りの名子役である。
    『ウルトラマン』(1966)第9話「電光石火作戦」で少年キャンプ団の一員も演じている。


     「自分なりのゴジラ」を追究した野長瀬三摩地監督がもう一度ペギラを使って描いた渾身の1話。製作順も後半期のため、特撮スタッフの技術が確立されつつあり、なかなか見応えがある。大都市の破壊が映画のスクリーンではなく、テレビのブラウン管で行われるため、アップを意図的に多用したカットが多いのも特徴だ。

     東京を雪で覆うということを説得力ある特撮映像として、しかも映画ではなくテレビで見せているところが素晴らしい。

     原発、黒煙、ミサイル、ゼロ戦、特攻・・・と「戦争の傷跡」を忘れまいとするピースが散りばめられている。歯科医・小林晋一郎が「微睡の客」と称したペギラだが、繁栄を謳歌する東京の象徴・百貨店ビルを豪快に破壊する様は、行き過ぎた成長主義への警鐘のようにも見える。かつてはゼロ戦パイロット(ゼロ戦パイロットといえばなかなかなれない。操縦士の中ではエリート中のエリート扱い)だったが季節労働者になり悪事に手を染め落ちぶれた父親が出てくる点も「格差の告発」という点で見逃せない。実際、高度成長期には自分を見失い蒸発する父親が多かったという。「蒸発」に関しては最終話の「あけてくれ!」の方でもクローズアップされている。

     因みに、この「東京氷河期」の放送は航空機事故の影響で2度も延期となっている。

    cf.)延期の詳細についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6366088.html

    cf.)『ウルトラQ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6654971.html

    cf.)ペギラ初登場回「ペギラが来た!」はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6605555.html

    cf.)ペギラ登場の『ウルトラマンゼット』第5話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6593557.html


    [参考]
    DVD『ウルトラQ』©1966円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラQ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/杉裕之
    https://ja.wikipedia.org/wiki/伊藤実
    https://ja.wikipedia.org/wiki/野本礼三
    https://ja.wikipedia.org/wiki/清野幸弘
    https://ja.wikipedia.org/wiki/有馬昌彦
    https://seesaawiki.jp/w/ebatan/d/%a5%da%a5%ae%a5%e9

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