『ウルトラQ』(1966)第5話「ペギラが来た!」はペギラの初登場回。脚本は山田正弘。監督は野長瀬三摩地。特技監督は川上景司。
・南極基地へ向かう極地観測船・「鷹丸」。割れた氷河の表現が素晴らしい。現代では予算等の問題でなかなかこれほどのセットは実現できないのではないか。
・突如黒煙が流れ吹く。これが実はペギラ。
・船が揺れ怪我を負ってしまう万城目。失踪した野村隊員の調査で船に乗り込んでいた。
・南極基地へ向かう極地観測船・「鷹丸」。割れた氷河の表現が素晴らしい。現代では予算等の問題でなかなかこれほどのセットは実現できないのではないか。
・突如黒煙が流れ吹く。これが実はペギラ。
・船が揺れ怪我を負ってしまう万城目。失踪した野村隊員の調査で船に乗り込んでいた。
・転んだ拍子に久原羊子隊員と接触。転び方がわざとらしく、故意に抱いているように見えなくもない。
・突然の大寒波に「予想外に早く冬が来た」という認識の乗組員一同。機材も食料も不十分で越冬はできない見立て。雪上車での輸送に切り替える案が出、「私がやります」と伊東隊員が立ち上がる。イケメンだ。
・ペギラの冷凍ガスの影響で4tもある雪上車が舞い上がる。伊東隊員は無事だろうか。これは当時、「超低温の状況下では無重力現象が発生する」という学説があったためのアイデアだと思われる。いわゆるトンデモ学説である。
・外は寒すぎ、雪上車が舞い上がる怪現象もあったため、伊東隊員の捜索は見送られる。3年前行方不明になった野村隊員も伊東隊員のような目に遭ったのではないかと推論する万城目。それに現実的な点から反論する鈴木副隊長。髭がダンディだ。声を当てているのは内海賢二。
・外に出ようとして断念した久原隊員の目前で、雪上車が浮かぶ。ドアの隙間から入ってきた風に無重力化の作用があるらしい。
・一瞬、ペギラが悪魔のように見えるシーン。この顔は子どもにはトラウマになりそうだ。
・瀕死の状態で還ってきた伊東隊員。「怪物だ。氷の化け物。いや動物だ。とても大きい。」と、うわ言を言う。心配そうな顔で見下ろす天田隊長を演じるのは松本克平。1995年に亡くなっている。享年90歳。
・久原隊員が振り返るとすぐ後ろに凄い形相の伊東隊員が。「野村だ・・・」
伊東隊員を演じたのは伊吹徹。
東宝俳優で、ゴジラシリーズへの出演も多い。
・暴れる伊東隊員を押さえつけて再び寝かせる。久原隊員が鎮静剤を打ったようだ。
・密かに野村隊員の捜索に出る久原隊員。
・雪上車で久原隊員の跡を追う一同。
・気を失った久原隊員と、氷漬けになって死んでいる野村隊員を発見。
・氷山の山影からペギラ出現!「自分なりのゴジラを目指したい」という想いだった野長瀬三摩地監督。『ゴジラ』(1954)で大戸島にゴジラが出現するシーンと似ており、オマージュだと見る人もいる。
・思わずあとずさりする一同。足音を立てないように後ろに下がる動作がいかにもリアル。
・ペギラの冷凍ガスで雪上車が舞い上がる。万城目や隊員たちも舞い上がる。よく見ると、人間が雪上車にぶつかっている。飛んでいるのはもちろん人形。
・氷原で意識を取り戻す万城目と久原隊員。実は野村隊員の婚約者だった久原隊員。野村隊員の傍で生きながらえていた犬の三郎が食べていた苔から、ペギラの弱点を推測する。
・ペギラがマイナス130度の冷凍光線を吐くことや、その際、反重力現象が起こることが判明。
・三郎が食べていた苔をアザラシに食べさせたら死んでしまったという。苔から採取したペギミンHを開発した久原隊員。
久原羊子隊員を演じたのは田村奈巳。
本作の江戸川由利子役や『ウルトラマン』の女性隊員役の候補にも名前が挙がっていた人気女優。
『ウルトラマン』(1966)第35話「怪獣墓場」の月ロケットセンター職員役や、
『ウルトラセブン』(1967)第26話「超兵器R1号」の前野律子博士役、そして
『怪奇大作戦』(1968)第8話「光る通り魔」の林洋子役を演じている。
・ペギラの表情がいい。眼玉の裏から黒目を塗っているため、目の光の加減や角度によって、黒目が光の中に溶け、白目がちな凄みのある表情となる。牙の形状や左右非対称の鼻の孔の形、体の表面に生えている産毛なども生物らしさがあって秀逸。
スーツアクターは清野幸弘。
名前の由来はペンギンから。アザラシとペンギンを掛け合わせた成田亨のデザイン画に牙や角が付け足された。
怪獣といえばゴジラのような前傾・猫背の体型を創造しがちだが、スッと背筋の通った怪獣は当時としては新鮮だった。異様な存在感を醸し出している。飛行速度はマッハ80にも達するという設定。この第5話での鳴き声は『妖星ゴラン』(1962)に登場する南極怪獣マグマのアレンジ。後の第14話では違う鳴き声になっている。
・観測用ロケットにペギミンHを詰め、100mまで引き付けてから発射。発狂して発射役を下ろされる隊員役を演じたのは今井和夫。第6話「育てよ!カメ」の教師役や、
『ウルトラマン』第9話「電光石火作戦」の高原少年団団長役も演じている。
・見事命中し、ペギラの撃退に成功。去るときも黒煙を撒き散らしていくペギラ。
・東京の土を野村隊員の墓前に撒く久原隊員。
雪景色の特撮セットが非常に豪華で、そこに降り立つペギラの造型美と凄みのある表情が印象的。ウルトラ最初期の作品なのに、映画ではなく、テレビで「南極を描く」という快挙を見事に成し遂げている。
成田亨デザイン・高山良策造型のタッグが最初に生み出したこの傑作怪獣はその後、第14話にも登場し、続く『ウルトラマン』では耳を付けて細部が改造され、チャンドラーとして復活する。
極限の危機的状況の中で打開策を考案し、壁を乗り越えていく。ウルトラマンがいない中、人間の力だけで怪獣を撃退し、知恵と勇気で勝利を収めた。
ペギラは近年、『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(2019)や『ウルトラマンゼット』(2020)第5話にも登場。眠たそうな目がチャームポイントで、今後も愛されていくこと間違いなしの怪獣だ。『Dr.スランプ アラレちゃん』第42話に登場したこともあるようだ。
cf.)ペギラ2回目の登場回「東京氷河期」はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6614835.html
cf.)『ウルトラQ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6654971.html
cf.)ペギラ登場の『ウルトラマンゼット』第5話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6593557.html
[参考]
DVD『ウルトラQ』©1966円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/田村奈巳
https://ja.wikipedia.org/wiki/伊吹徹
https://ja.wikipedia.org/wiki/内海賢二
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラQの登場怪獣
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/40459.html
https://seesaawiki.jp/w/ebatan/d/%a5%da%a5%ae%a5%e9
怪獣グルメな狭霧の誘拐怪人 Twitter(@yukaikaijin)
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