たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年08月

     8月22日(土)放送の『ウルトラマンゼット』第10話「宇宙海賊登場!」はバロッサ星人登場回。脚本は中野貴雄。監督は中川和博。特技監督は尾上克郎。

    ・前回登場したキングジョーを手に入れたストレイジ。宇宙由来の技術に興奮するユカたちだったが、バコさんは警鐘を鳴らす発言をする。これは後にキングジョーが暴走することの伏線か。

    ・盆栽に興じるヘビクラ隊長。ハルキとヨウコの腕相撲の拍子に誤って余計なハサミを入れてしまう。これは『ウルトラマンマックス』(2005)第31話「燃えつきろ!地球!!」でのトミオカ長官のオマージュか。

    cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html

    ・バロッサ星人との等身大対決で登場したサータンの毛で編まれた透明マント。『帰ってきたウルトラマン』(1971)第19話「宇宙から来た透明大怪獣」で登場した忍者怪獣サータン。こんなマイナー怪獣ネタを持ってくるとは。

    cf.)『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6315068.html

    ・バロッサ星人に人質に取られたヨウコ。「死にたくない!私がどうなってもいいのっ?」とユカに訴えたのは少し意外だった。自らの命を顧みず、キングジョーを死守しようとするかと思っていた。

    ・ジャグラーをトゲトゲ星人と呼ぶハルキ。たしかにトゲトゲだが、もう少しカッコいい呼び名はなかったのだろうか。ジャグラーが名乗らない限り、この先ずっと「トゲトゲ星人」と呼ばれ続けることになる。

    ・バコさんが男気を見せ、弁当を犠牲にした作戦でバロッサ星人に電撃を加えることに成功。弁当の中身がただの白ご飯に梅干し1個という寂しい内容だった。栄養状態は大丈夫だろうか。

    ・ダダの縮小光線銃の反対の効果で巨大化し、今までに手に入れた武器を地面に突き刺すバロッサ星人。『ウルトラマンメビウス外伝 ゴーストリバース』に登場したメカザムの剣・ソードザンバーもあった。途中からマグマサーベルを使っている。

    cf.)『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html

    ・「剣の舞」が流れる中、ガンマフューチャーの顔に土を投げるバロッサ星人。また、掌の渦巻き模様で眩暈を起こさせたり、今回はコミカルに寄せた感じだった。

    ・ジャック、ゾフィー、ウルトラの父のメダルの力で、ゼットライザーから光の剣が伸びる。「M78流・竜巻閃光斬」で切り刻まれ、上空で花火と化すバロッサ星人。

    ・ラストでユカの「解剖したい!」の台詞とヘビクラ=ジャグラーの表情とフレームワークがいかにも昭和チックで、懐かしさを感じる。

     バロッサ星人の名前の由来は実在した海賊「バルバロス兄弟」かと思われる。バロッサ星人は1度に卵を1万個も産むため、今回の個体を兄とすると弟が9999人もいるという設定なので、今後のシリーズで「復讐に来た!」と再登場する可能性が高い。(人型なのに卵での繁殖なのか・・・)

     ヨウコは仕事に対してプロ意識を持ってはいるが、組織のために個人を犠牲にするような昔の価値観ではなく、自分の命があってこその仕事、という価値観の持ち主であることが分かった。バロッサ星人の不気味さやコミカルさが目を引く回ではあったが、脚本上の一番のポイントはヨウコが人質になる場面だったのではないか。

    cf.)第11話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/7042263.html

    cf.)第9話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6847503.html

    [参考]
    TV『ウルトラマンゼット』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村

     いつだって物語は時代に寄り添うものである。ウルトラシリーズといえどその例外ではない。ウルトラマンの前に度々姿を現してきたバルタン星人もまた、時代の変遷とともに、その描かれ方も移り変わってきた。

     ここでは、飯島敏宏が監督したバルタン回のみを扱い、『ウルトラマン』(1966)第2話・第16話でのバルタン回を昭和、『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001)・『ウルトラマンマックス』(2005)第33・34話のバルタン回を平成、と便宜的に呼ぶことにする。そして、「危機意識」「犠牲者数」「子ども」の3点から考察してみたい。

    ・危機意識

     まず、昭和では核兵器への危機意識が強く感じられる。バルタン星人の母星は科学者の核実験のために滅んでしまった。また、ラストでは彼方での爆音と光、という原爆を想起させる演出に、不穏なBGMを被せている。これは、昭和の放映当時はまだ戦争の記憶が色濃く残っていたことや、冷戦下でのキューバ危機など、核戦争勃発の恐れを身近に感じていたことが大きい。

     対して、平成では環境破壊への危機意識が強く感じられる。環境を顧みずに経済を推し進めてきた結果、地球を汚してしまった人間。地球環境を蔑ろにしたまま、いま月や火星といった宇宙にまで汚れた手を伸ばそうとしている。宇宙から見たら、そんな人間は害悪である、というのがバルタン側の大義名分である。核戦争で母星が滅んだという設定は残しつつも、その部分は演出上あまりフィーチャーされていない。昭和期に高度経済成長を遂げ、環境を無視してきたツケが温暖化やゴミ問題、絶滅危惧種、公害、その他色々な形で顕在化してきた平成。明らかに問題意識がシフトしている。

    ・犠牲者数

     昭和では、バルタン側は全滅に近い被害を被る。第2話では約20億3千万のバルタンを乗せた宇宙船ごと爆破され、生き残ったバルタンたちが第16話で復讐するが、これも返り討ちに遭っている。一方、平成では、犠牲者数が格段に減る。『コスモス』ではネオバルタンが自爆を遂げただけに留まり、『マックス』では侵略してきたダークバルタンですら、元の姿を取り戻して生還。犠牲者ゼロという結果となった(人間側の犠牲に関しては描かれていないだけかもしれないが)。

     ただし、昭和の第2話のラストにおいても宇宙船の破壊をそのまま描くのではなく、ウルトラマンが彼方へ運び去ってからの爆音と光、という幾分マイルドな表現になっている点も見逃せない。これは飯島敏宏の持つ優しさの表れではないだろうか。飯島敏宏本人も、「あれは宇宙船をワープさせた衝撃音だった、と解釈してほしい」と弁解し、大量殺戮とも捉えることのできる演出を後悔したという。

     昭和の第2話は製作第1話。様々な設定を脚本に反映させなければならず、科特隊のキャラクター付けも任され、前代未聞の喋らない銀色仮面のヒーローを格好よく演出しなければならない、という逼迫した状況下、どうしても悪役の扱いを丁寧に収めるところまで手が回らなかったのだろう。とはいうものの、バルタン星人の「生命とは何か」という問いや、宇宙語、分身、光線、脱皮…といった演出の数々は、宇宙人として十分にセンス・オブ・ワンダー溢れるものだったし、子どもたちを惹きつける魅力に満ち満ちていた。

     平成ではCG技術とアナログ特撮の融合を図り、そんなセンス・オブ・ワンダーをさらに膨らませつつ、昭和では描き切れなかったバルタン星人にスポットを当て、視聴者とともに理解を掘り下げ、「本当は敵なんかいない」というバルタン問題の理想的解決へと近づけた。昭和の第16話でバルタン殲滅のために新兵器「マルス133」を使用した二瓶正也(イデ隊員)が、平成の『マックス』第34話ではダテ博士として「メタモルフォーザ」を開発、ダークバルタンの身体を元の姿に戻す活躍をしたのは実に感慨深い。

     もし令和となった今、再び飯島敏宏がメガホンを取りバルタン回を演出するなら、「バルタンと人類が友好関係を結び、共存している世界」というような、より理想的なビジョンを見せてくれるかもしれない。

    ・子ども

     昭和では、ホシノ少年が登場するが、大した活躍は見せていない。これは、科特隊のキャラ付けの方に比重を置いたため、ホシノ少年にまで手が回らなかったためであろう。バルタンとの折衝はすべて科特隊、つまり大人たちで行われる。イデの宇宙語は挫折し、ハヤタとの交渉は決裂してしまう(第16話ではイデが開発したパン・スペース・インタープリターが登場するが、バルタンの宣戦布告を翻訳するのみで、交渉は出来ていない)。

     一方、平成では、子どもたちが主体性を持って活躍する。『コスモス』では子どもの夢・願い・希望の象徴としてコスモスが登場し、バルタン側の子ども・シルビィと子どもたちの友好が描かれる。『マックス』においても、「嘘つき少年」と蔑まれながらも諦めずに訴え続けた子どもの活躍が、大人たちを動かす。バルタン側の子ども・タイニーと子どもたちの活躍により、マックスが復活し、銅鐸のようなアイテムによりダークバルタンを止めることに成功する。

     このことから、飯島敏宏が子どもたちに寄せる想いを感じ取ることが出来る。つまり、地球の未来を絶望するのではなくて、明るい未来を信じて夢を持ち、そこに向かって進むこと。他人任せではなく、主体性を持って自分たちで考え続けること。その中で打開策が生まれ、平和問題や環境問題が改善していくことを期待しているのではないだろうか。警鐘や風刺に満ちた作品の中に、ある種の希望が垣間見えるのは、子どもたちへ託した一縷の望みなのだ。

     センス・オブ・ワンダー溢れる空想科学で子どもたちの想像力を刺激し、夢を見せてくれた飯島敏宏。考えるきっかけを与えられた我々は、考え続け行動し続けることによって、ウルトラマンとバルタンが戦わなくて良い未来を迎えたいものだ。できれば彼が存命のうちに。

    cf.)前編はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6859305.html

    cf.)戦時中を生きた子ども時代の自伝的小説『ギブミー・チョコレート』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/7207373.html

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

    cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    DVD『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』©2001円谷プロ/映画ウルトラマンコスモス製作委員会
    DVD『ウルトラマンマックス』©2005円谷プロ
    Blu-ray『ULTRAMAN ARCHIVES 侵略者を撃て』©円谷プロ
    『「ウルトラマン」の飛翔』著:白石雅彦 出版:双葉社
    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村



     『ウルトラマン』(1966)第2話「侵略者を撃て」はバルタン星人の初登場回。監督・脚本はともに飯島敏宏(脚本クレジットの千束北男は飯島敏宏のペンネーム)。特殊技術は的場徹。

     放映では第2話だが、製作順としては第1話。金城哲夫から企画や未確立だった設定を聞かされた飯島敏宏が、暗中模索の中、筆を走らせた脚本から生まれた。

     核実験で滅亡してしまった母星から逃れてきたバルタン星人。地球への移住を希望するが、人間との交渉は決裂し、侵略に走る。巨大化したバルタン星人を倒したウルトラマンは、バクテリア程の大きさになって宇宙船に留まっている約20億3千万のバルタン星人を、宇宙船ごと彼方へ運び去る。遠くで爆発の音と光。とくに説明はされていないが、大量殺戮ともとれる描写がなされている。

     続く第16話「科特隊宇宙へ」も飯島敏宏が監督・脚本を担当。二代目バルタン星人や小型のバルタン星人の群が登場し、陽動作戦を駆使して人類に復讐を仕掛けてくる。その際、前回の戦いで「ほとんど全滅してしまった」という説明が二代目の口からなされている。やはりウルトラマンと科特隊の活躍によりバルタンを倒すことに成功。

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

     その後も幾度となくバルタン星人は登場するが、しばらく飯島敏宏は携わっていない。

     そして時は経ち、2001年。円谷英二生誕100周年であり、ウルトラマン誕生35周年となったこの年、飯島敏宏は再びバルタン星人を演出することとなる。『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』である。7月20日に公開となったこの映画は、ウルトラマンと少年の出会いに力点が置かれた。世界観や設定が一新されたこのシリーズでは、バルタン星人の描かれ方も改められている。争いを繰り広げるバルタンと人間(=大人社会)に対して、子どもたちの夢や願いの形としてコスモスが登場する。バルタンの侵略を止めに入るコスモスであったが、バルタン星人は自爆という道を選び、残されたチャイルドバルタンたちは自分たちが汚してしまった星に帰ってやり直す、という結末を迎えている。

    cf.)『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

     同年の9.11を経て、2006年、『ウルトラマンマックス』(2005)第33・34話「ようこそ!バルタン星人」(前後編)が現時点で最後のバルタン星人演出となっている。

     バルタン星人は穏健派と過激派に分かれ、過激派のダークバルタンが地球に攻めてくる。バルタン星人の設定が掘り下げられ、より空想科学色の強い回となった。マックスやタイニーバルタン、そして子どもたちの活躍により、ダークバルタンを止めることに成功し、ダークバルタン自身も元の姿を取り戻し、タイニーバルタンと共に母星に帰っていく。

    cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html


     さて、飯島敏宏がバルタン星人を通して我々に言いたいこととは何だったのだろうか。

     飯島敏宏は1932年9月3日生まれ。終戦の1945年8月15日の時点では12歳だった。戦前と戦後を経験したことにより自身の中に相反する2つの価値観を持ち合わせるに至り、そうした境遇が『ウルトラマン』の中に「科学への憧れと懐疑」といった二律背反の傾向を持たせることになる。

    cf.)戦時中を生きた子ども時代の自伝的小説『ギブミー・チョコレート』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/7207373.html

     たとえば、初代『ウルトラマン』における科特隊の活躍。科学の力を以て怪獣や宇宙人に応戦していく彼らは、基本的に科学の力を信じている。イデ隊員が発明する翻訳機や最新兵器は目を見張るものがあり、科特隊だけで怪獣を倒す描写もしばしば存在する。また、第2話においては、防衛軍がバルタン星人に対し、核ミサイル「はげたか」を発射する。これは飯島敏宏によると、限定核であり、原爆のようなものではなく、小さい範囲だけに多大な破壊力を発するような代物として描かれている。科学が発達した近未来ならそんなことも可能であろう、という、科学に対してオプティミストであったと述懐している(核実験で滅亡した星から来たバルタンに対し核を使ってしまったという点は後悔したという)。また、『コスモス』ならSRCの活躍。『マックス』なら重力バランス操作を理由とした『E.T』や『ハリー・ポッター』のようなファンタジー的描写。これらも科学に対する憧れと捉えることができる。

     その一方で、第2話においてはバルタン星の滅亡理由は核によるものとされ、ラストでは彼方での爆音と光、という原爆を想起させるような演出に不穏なBGMを被せている。『コスモス』や『マックス』では行き過ぎた科学と経済活動を原因とした環境問題が取り沙汰されている。こうした科学に対する懐疑といった面も垣間見えるのである。

     このように、科学へのアンビバレントな態度の象徴として、バルタン回は存在する。つまり、バルタン星人とは、我々人類の反面教師であり、科学や経済の進め方を一歩間違えればこうなりかねない、という未来の姿なのだ。実際に、『マックス』第34話では、バルタンたちが実は元々人間と同じ姿形をしていて、行き過ぎた科学と経済の果てに醜い体質変化を遂げてしまった旨が説明されている。

     彼らは「悲劇の宇宙人」であると同時に、「未来の地球人」でもあったのだ。上半身はゴツゴツとして手には大きなハサミを持っているにも拘らず、意外にも下半身はあっさりとした、ある種の知的さをも感じさせるフォルムからは、望まぬ進化を遂げてしまった悲哀すら漂ってくる。あの異形の姿そのものが我々への警鐘なのだ。

    後編に続く。

    cf.)後編はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6867426.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    DVD『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』©2001円谷プロ/映画ウルトラマンコスモス製作委員会
    DVD『ウルトラマンマックス』©2005円谷プロ
    Blu-ray『ULTRAMAN ARCHIVES 侵略者を撃て』©円谷プロ
    『「ウルトラマン」の飛翔』著:白石雅彦 出版:双葉社

    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村

     8月15日(土)放送の『ウルトラマンゼット』第9話「未確認物質護送指令」はキングジョー登場回。脚本は鈴木智。監督は中川和博。特技監督は尾上克郎。

    ・防衛軍が密かに回収していたメダルがキングジョーを操る何者かに強奪されてしまう。メダルはおそらくウルトラの父、ジャック、ゾフィー。

    ・バロッサ星人に操られた研究員のメイクと目が怖い。不気味でハードな雰囲気はやはりセブンオマージュか。

    ・ユカが終始ニコニコ嬉しそうだった。宇宙ロボットや宇宙人といった未知との遭遇に、恐怖心より好奇心の方が勝っている。

    ・地図を持ち出して作戦会議をするあたりもセブンっぽい。

    ・免許を取っていたヘビクラ=ジャグラー。防衛隊の隊長になるんだから自動車免許くらいは当たり前か。真面目に教習所に通ったのだろうか。

    ・車がカーブに差し掛かったところで「ぬっ」と出て来て手を伸ばしてくるキングジョー。このカットは良かった。

    ・今回はハルキがウィンダムに搭乗。『ウルトラセブン』(1967)では実現し得なかったウィンダムvsキングジョーという夢の対戦カードが実現した。ウィンダムの蹴りがシャープで、ハルキの空手の腕前が反映されているのが分かる。

    ・キングジョーの最上部のパーツが外れる「カポッ」という音が意外で面白い。

    ・シークレットハイウェイを想起させるトンネルの中を追ってくる腰部パーツ。このシーンはすぐ終わってしまったが、もう少し長くしてあおり運転的にプレッシャーを掛けてきたり、ぶつかってきたり、光線を出してきたりすれば、もっとスリリングなシーンになっただろう。しかしながら、いくら一番小さい腰部パーツでも、トンネルをくぐるのは大きさの設定的に少し無理があったのではないか。

    ・4パーツに囲まれるヘビクラ隊長とユカ。『セブン』(1967)第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」に出て来た原子力潜水艦・アーサー号のようだ。正面の胸部パーツの色彩が原典よりはっきりしていて綺麗。オマージュにするならもう少しぼかしてもよかったかもしれない。

    ・カブラギが初めて狂気的に笑った。しかも去り方が小走りで、省エネで無駄のない足運び。カブラギらしいといえばカブラギらしい。ピッチ走法だ。

    ・キングジョーに襲われるヨウコ。ゼットに変身して助けに行くハルキ。自然の景色の中に桜が映っていたので、おそらく撮影時期は3月だろう。

    ・ゼスティウム光線を受けて脇が赤くなるがすぐ元に戻るキングジョー。瞬間的に自己修復したのだろうか。

    ・よく見ると、キングジョーの頭部のT字部分に黒いメッシュが入っている。
    原典のキングジョーのT字は銀色だった。成田亨のデザイン、高山良策の造型。
    当初は無数の部品が合体してキングジョーになる予定だったが、4パーツに絞られた。
    着ぐるみ納品の際、高山良策が膝当てを渡し忘れ、後から届けに行ったが、撮影開始後だったのでいらないと言われ、そのまま撮影続行となったという。

     名称は脚本を書いた金城哲夫の父がアメリカで「キング・ジョー」と呼ばれていたことが由来。放映当時は「ペダン星人のロボット」と呼ばれていたが、1968年頃からキングジョーの名称がついたという。

    ・アルファエッジにマウントポジションを取り、お約束の顔面鷲掴みをするキングジョー。

    ・今回のゼットは「ウルトラ面目ない」とか「ダメだぁ、どうしよう~?!」とか3分の1人前的な発言が目立った。

    ・ガンマフューチャー登場。ガンマイリュージョンで2週連続のティガ、ダイナ、ガイア出現。TDGファンも歓喜。今回のガイアはヴァージョンアップせず、V2のまま、クァンタムストリームを放っていた。

    ・ガンマミラクルホールドで4パーツに分かれたキングジョーを拘束。さらに、コスモス、ネクサス、メビウスのメダルで発動する新技・ライトニングジェネレードで破壊した。4分割された状態で倒すのも新鮮だったが、あっけなさもあった。

    ・メダルはそのままハルキのメダルケースの中に。ハルキとしては提出しなければならないところだが、ゼットが止めたのだろう。


     『ウルトラセブン』(1967)第28話「700キロを突っ走れ!」のオマージュ展開に、元祖合体変形ロボット怪獣であるキングジョーを絡めた、セブンオマージュに満ちた回だった。今回の監督陣は余程のセブンファンと見た。とくに特撮監督を務めた尾上克郎は60歳の大ベテラン。戦隊ものの操演も長く担当している。巨大ロボットが眼前に迫ってきたり、分離して追い掛けてきたときのスリルが表現されており、どちらかと言えば直球勝負の、正統派というか、昭和勢の琴線に触れる硬派で味のある回だった。

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

     次回はバロッサ星人と対決。

    cf.)第10話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6974648.html

    cf.)第8話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6782696.html

    [参考]
    TV『ウルトラマンゼット』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンZ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/キングジョー
    DVD『怪獣のあけぼの』©USEN/TLIP/ADK/円谷プロ/角川ヘラルド映画/ピープロ/高山利子
    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村

     引き続き「怪獣酒場 新橋蒸溜所」レポ。


    ・酒造工程が絵で説明されている。ミロガンダのクロロフィル、マシュラの元となったキノコなど、ありとあらゆる素材を乾燥・発酵させるという。素材のネタがマニアック過ぎる。。。

     ゼットンの炎を使っているようだ。1兆℃の火球を出したら工場爆発どころではない。

    FullSizeRender

    ・蒸溜はケムール人たちが行っているらしい。マシンの形もケムール風だ。「NO RUNNING」の貼り紙も良い。

     ケムール人の吐く液体は可燃性だが、もしかしたら成分の中にアルコールも入っているのかもしれない。

    FullSizeRender

    ・熟成・貯蔵。力持ちのレッドキングとブラックキングが働いている。

     レッドキングは樽を足元に落としてしまいそう。逆にブラックキングは力が入り過ぎて樽を破壊しそう。

    FullSizeRender

    ・並ぶフィギュアや指人形。よく見ると「怪獣酒場カンパ~イ」のキャラもいる。

    FullSizeRender

    ・カレンダー。ギンガの顔に落書きなんて。誰だろう。ビニル越しなのが救い。

    FullSizeRender

    ・飯島敏宏監督のサインを発見!

    FullSizeRender

    ・ここにもケムールの「NO RUNNING」が。

    FullSizeRender

    ・シルバーブルーメ。その隣には「超闘士激伝」の絵入り色紙が。

    FullSizeRender

    ・『ネクサス』(2004)の溝呂木眞也(俊藤光利)のサインも。ダーウメフィストが「始めようぜ、デスゲームを!」と言っている。

    FullSizeRender


     平日の昼間だったので、先客はひと組しかおらず、そのひと組が帰ったあとは店内をひとり占めできた。至福のひとときだった。

    cf.)その7はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6983124.html

    cf.)その5はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6831264.html

    [参考]
    怪獣酒場 新橋蒸溜所

    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村

    このページのトップヘ