たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年09月

     『ゼロVSベリアル 10周年記念読本』(出版:実業之日本社)を読んだ。

     映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009)で劇的な登場を果たしたゼロとベリアル。10周年を記念して、その系譜、因縁の対決の数々を振り返り、関係者のインタビューも多数掲載、デザイン画等のビジュアルも豊富で、ゼロ愛に満ちた作りとなっている。

     初登場時は強いだけで、師匠に「ごたごた言ってんじゃねぇ!」と礼儀知らずの台詞を吐いていた、口の悪い不良少年的なイメージしかなかったゼロ。それが経験を積むにつれ、数々の人間たちとの出会いを経て精神的にも立派に成長していく。各作品の監督たちが、今度はゼロに何を経験させるか、どんな要素を追加するか、何を考えさせるかを検討し、大切に育ててきたことが如実に伝わってきた。

     また、現在放送中の最新作『ウルトラマンゼット』(2020)ではついにマントを羽織り、弟子(ゼロは認めていないが)を持つようになったゼロ。メイン監督の田口清隆のインタビューでは、企画発端となる北浦嗣巳プロデューサーとの話の内容まで書いてあり、ゼットファンにとっても一読の価値ありの内容だ。

     ベリアルも『ウルトラマンジード』(2017)で息子のジードによって葬られてからも、ベリアルメダルやベリアル因子という形で根強い存在感を示している。ゼットの最終形態「デルタライズクロー」ではベリアルの顔を象った剣「ベリアロク」となって登場。ベリアル本人と人格は違うのだろうが、あの声で「デスシウム歯磨き!」などと喋るという、半ばギャグ的な要素を持つまでに至っている。

     事情により『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009)製作の重要人物であるプロデューサー岡部淳也のインタビューがないのは残念だが、ゼロとベリアルをより深く理解するには欠かせない一冊となった。


    cf.)『ウルトラマンゼロ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6085844.html


    cf.)『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6117436.html

    [参考]
    『ゼロVSベリアル 10周年記念読本』(出版:実業之日本社)

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     小説『ウルトラマンF』(著:小林泰三 出版:ハヤカワ文庫)を読んだ。(※以下ネタバレあり)

     舞台は『ウルトラマン』(1966)の世界に設定され、ウルトラマンがハヤタと分離して地球を去ってからの後日談。

     しかし、登場する怪獣は各シリーズからチョイスされており、名場面へのオマージュ描写も多々垣間見られた。

     作者は巨大フジ隊員が大好きなようで、フジ隊員が巨大化し、ちょうど女性版ウルトラマンサーガのような最終形態にまで進化する。それをサポートしたり、科学的に説明したりするのは専らイデ隊員の役割で、まるで主人公のような活躍を見せる。原典『ウルトラマン』(1966)本編でのコメディリリーフ的な立ち位置ではなく、フジ隊員を愛するひとりの男として、アツイ部分がクローズアップされている。

     敵対勢力としては、鬱鬱と躁躁。そして科学者インペイシャントが存在するが、思うに、この3人の組み合わせ、『三酔人経綸問答』(著:中江兆民)になんとなく似ている。

     初代『ウルトラマン』を中心とした各シリーズへの愛に溢れた作者の分析力や考察力には舌を巻く。同時に、それを会話の中に上手く混ぜ、物語に説得力を持たせているところも評価できる。

     ただ、ちゃんと物語を楽しむには、『ウルトラQ』(1966)、『ウルトラマン』(1966)、『ウルトラマンA』(1972)、映画『ULTRAMAN』(2004)、『ウルトラマンネクサス』(2004)、『ウルトラマンメビウス』(2006)、劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(2006)、映画『ウルトラマンサーガ』(2012)を把握してなければならないため、ファンの読み物としてはウルトラ初心者にはオススメできない。

    cf.)『ウルトラQ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6654971.html

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html

    cf.)『ウルトラマンネクサス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5869472.html

    cf.)『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html

    [参考]
    『ウルトラマンF』(著:小林泰三 出版:ハヤカワ文庫)
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     『ウルトラマンオーブ』(2016)には「エピソード10構想」というものが存在する。これは、メイン監督・田口清隆とシリーズ構成の中野貴雄によってまとめられた私案である。中には映像化されていないものもあり、『ウルトラマンオーブ 完全超全集』(出版:小学館)にあらすじだけ収録されている。

    第1章「命の木」編は『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』で映像化されている。

    第2章「俺は銀河の渡り鳥」編は未映像化。ガイは4つのエレメントをオーブカリバーに集めるミッションを与えられ、宇宙を渡り歩く。一方、ジャグラーは傭兵として様々な惑星の戦争に関わり、心の闇を深めていく。

     エピソード2-1「宝石惑星は永遠に」宝石惑星コボルでの出来事。スリの少年ショーティーや女預言者ムルナウが登場する。土のエレメントを入手。

     エピソード2-2「深淵より出づる者たち」水の惑星ヌオックでの出来事。ギブリ族とシロッコ族が争う中、海底怪獣が出現する。水のエレメントを入手。

     エピソード2-3「ファイアーボール作戦」火山惑星ガヌン・アピでの出来事。オルロック伯爵やガピヤ星人サデス、そしてマグマ怪獣ゴラが登場。火のエレメントを入手。

     エピソード2-4「風の星の用心棒」風の惑星ギレルモでの出来事。ザルタナ星人、ナックル星人・ラモン兄弟が登場。ダイヤモンド新星の爆発の下、ガイとジャグラーが一戦交える。風のエレメントを入手。

    第3章「ブラックホールを盗んだ男」編は未映像化。刑務所惑星484での出来事。ジャグラーと危険な能力を持つ少女ビランキが登場。ジャグラーの作ったバルンガボムを巡り、黄金の銀河に浮かぶオーロラの下で戦いが巻き起こる。その後、ガイとジャグラーの元にオーブリングとダークリングがそれぞれもたらされる。

    第4章「激闘!イシュタール文明」編は未映像化。イシュタール文明に魔王獣マガタノゾーアが出現。ガイはこれを倒し、オーブリングでカード化。

    第5章「ルサールカより愛をこめて」編は未映像化。(一部はテレビシリーズで回想シーンあり)

     エピソード5-1「ルサールカより愛をこめて」ガイとナターシャの物語。キングザウルス二世や超コッヴ、プリズ魔、そしてマガゼットンが登場。ガイは戦いの末に、オーブカリバーもオーブオリジンの姿も失ってしまう。

     エピソード5-2「空飛ぶ円盤の謎を追え!」バーレスク諸島・コーラルビーチでの出来事。スカダー大尉、ビランキ、ジャグラーが登場。円盤生物ハングラーをスペシウムゼペリオンが倒す。

    第6章「さすらいの太陽」編はテレビシリーズ『ウルトラマンオーブ』で映像化されている。

     エピソード6-0「オーバーチュア=序曲」セーヴェル諸島にペギラが登場。

    第7章「宇宙魔女賊ムルナウの逆襲・サデスの帰還」編は『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』(2017)で映像化されている。

    第8章「超空大凶獣デザストロ」編は未映像化。ゼロ、エックス、そしてデザストロが登場。

    第9章「冥府魔道の使者」編は『ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!』で映像化されている。

    第10章「渡り鳥、宇宙(そら)を行く」編は未映像化。ガイ、ジャグラー、ビランキ。三者三様の思惑をはらんで、冒険は果てしなく続く。

     以上の10構想は『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』製作が決まり、テレビシリーズとの間に起こった出来事を補完したいという思いから、中野貴雄が経営する「大怪獣サロン」で酒を飲みながら1日で10本分の構想を2人で作ったという。

     テレビシリーズの最終話でジャグラーの台詞に出てくる「ダイヤモンド新星の爆発」や「黄金の銀河に浮かぶオーロラ」とはこのことだったのか、という伏線回収もある。

     ガイとジャグラーがどういう経験を経てあのようなキャラクターになったのかが分かる仕立てになっており、できることならぜひ映像化してほしいエピソードばかりである。とくに、ジャグラーに恋する少女ビランキを映像化するとしたら誰がキャスティングされるのか、気になるところ。。。

     未映像化のエピソードに関しても、なかの☆陽による絵コンテは存在する。映像化が難しいのであれば、せめてボイスドラマで聴いてみたいものだ。

    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html

    [参考]
    『ウルトラマンオーブ 完全超全集』編著:てれびくんデラックス 出版:小学館

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     『ウルトラマンティガ』(1996)はウルトラシリーズ30周年記念作品であり、平成テレビシリーズ最初のウルトラマン。

     主人公・ダイゴ隊員を演じたのはV6の長野博。実は撮影期間中、手を骨折していた。

     主題歌である『TAKE ME HIGHER』(V6)の振り付けにバック転があり、うまくできなかったために毎回練習していたが、あるとき楽屋で練習中に着手を誤り、左手を骨折。

     後日、撮影現場で「ごめんなさい、折っちゃいました!」と話したところ、脚本を書き換えてもらえたとのこと。

     第15話「幻の疾走」の冒頭でガッツウィングが墜落し、乗っていたダイゴ隊員(長野博)とシンジョウ隊員が怪我をする展開になっている。ダイゴ隊員は左手に包帯を巻いており、痛々しい様相。

     ガゾートⅡとティガとの闘いでは、ティガに変身後、左手をグーパーと動かして頷く仕草をしている。スーツアクターの権藤俊輔が本編に合わせて演技してくれたという。

     第16話「よみがえる鬼神」でも、ティガに変身後、左手をグーパーと動かして首を傾げる仕草が。因みに、このときのスーツアクターは中村浩二。

     忙しいアイドル業の傍ら、撮影に参加していた長野博。かなり大変だったと思うが、今年発売された『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.03 ウルトラマンティガ』でインタビューに快く答えており、今でも大切な思い出として想ってくれていることがファンとしては嬉しい限りである。

    cf.)『ウルトラマンティガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5966349.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンティガ』©1996円谷プロ
    『ウルトラ特撮 PERFECT MOOK vol.03 ウルトラマンティガ』出版:講談社

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     9月26日放送の『ウルトラマンゼット』第14話「四次元狂騒曲」はブルトン登場回。脚本は吹原幸太。監督は田口清隆。

    cf.)故・吹原幸太についてはこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6267186.html

    ・キングジョーストレイジカスタムの勝利を祝って祝勝会が開かれる中、初代の特空機セブンガーは退役。博物館行きとのこと。このセブンガー人気を考えると、今後強化改造して復活、という展開もあるのではないか。

    ・チャリ通だったヘビクラ=ジャグラー。ぜひ魔人態で乗ってみて欲しい。

    ・有給休暇中のバコさんがマグロを片手に登場。「マグロ、ご賞味ください」さすがにマグロは合成だろう。刺身が振舞われる。鮮やかに捌いたバコさん、包丁が似合う。「昔、ちょっとな」

    ・OPは2番歌詞。シリーズ後半戦突入ということか。

    ・ひとりポツンと隅に座るハルキを気にするヨウコ「実はさ、私もちょっと考えちゃってるんだよね」とキングジョーの強すぎる力に戸惑ってることを明かす。

    ・トイレに「行っトイレ」のオヤジギャグをかますユカ。実はこれが伏線。

    ・久々のカブラギ登場。ブルトンの元となる赤と青の隕石をPPAPのように「ア~ン」と合体させる。完全にギャグだ。

    ・マジックも得意なバコさん「昔、ちょっとな」秘められた昔エピソードがありすぎる。バコさんの人生をスピンオフ作品として1話観てみたい気もする。このカードマジックも伏線。

    ・無限ループや時間遡行など、ブルトンが引き起こす現象が巻き起こる中、基地の外ではカブラギとジャグラーが対峙。「コシ カレカレータ」

    ・ブルトン効果でトイレに飛ばされたジャグラー。伏線回収。「せっかくだからちょっとしてくか・・・」

    ・ストレイジ内では無重力現象が。落ち着いて読書するバコさん。何の本だろうか。

    ・ブルトンが引き起こした現象には深層心理が影響していた。つまり、ヨウコの中には「キングジョーに乗りたくない」という気持ちがあったことが判明。

    ・そんな中、ハルキは過去に飛んで父親に再会。質問する形で悩みをぶつける。「手の届く範囲で全力で守る。犠牲は決して忘れない」という答を得る。第11話での回想シーンで放られたボールを拾いにいった父親がなかなか戻ってこなかったのは、このとき未来のハルキと対話していたからだった。また、怪獣出没の際に「また会える」と言ったのも伏線だったことが判明。

    cf.)第11話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7042263.html

    ・どこかの会社オフィスの内引きカット。部屋が傾いて机が壁に流されるところから、無重力現象で物が全て浮いてしまう。今回の目玉特撮カット。圧巻だった。

    ・転がるのではなく、跳ねて移動するブルトンもかわいい。昔の音響を再現しているところもたまらない。

    ・光明を得て悩みが晴れたハルキ。ガンマフューチャーに変身。カード型の光線やバリア、針状の光線などを駆使してトリッキーな闘いを展開する。CG量が凄い。。。SEも当時のものを再現しており、こだわりが見受けられる。カード型の光線も伏線回収。

    ・地面に埋められ、首だけが地上に出た状態のガンマフューチャー。それを轢き倒していくブルトン。『帰ってきたウルトラマン』(1971)第33話「怪獣使いと少年」で少年が不良中学生にいじめられるシーンを彷彿とさせる。

    cf.)『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6315068.html

    ・ベータスマッシュの力技で強引に窮地を脱したゼット。ブルトンの端子(?)を引っこ抜き、「とったどー!!」無人島生活の濱口オマージュだ。

    ・ゼットランスアローが久々の登場。しかしブルトンに突き刺すだけの使用に留まる。ムチ状の光線でブルトンを捉え、そのまま振り回し、砲丸投げ。さながら室伏広治だ。

    ・トドメはM78流・竜巻閃光斬。最後、夕焼けの空に浮かんだ空間の歪みは次回への引きだろう。

    ・畠中佑による新ED「Promise for the future」も良い。

     散りばめられた伏線を鮮やかに回収、クスッとさせるギャグの応酬、そして、特撮の内容も充実。さらに3週引きずった悩みを解決した重要なタテ軸回でもあるという、吹原幸太と田口清隆の化学反応が真骨頂を見せた大娯楽回となった。こんなに面白いタテ軸回があっていいのだろうか。

    cf.)第15話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7280817.html

    cf.)第13話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7173816.html

    [参考]
    TV『ウルトラマンゼット』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
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