たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    2020年10月

     『ウルトラマンタイガ』(2019)に登場するウルトラマントレギア。トレギアが闇堕ちしていった経緯が『ウルトラマンタイガ超全集』(出版:小学館)に収録されている小説「トレギア物語/青い影」に記されている。

     タロウの幼馴染だったトレギア。光のように明るいタロウとは対照的に、暗く内省的である。トレギアとは「狂おしい好奇心」という意味で、その意味の通り、闇に興味を抱いてしまったトレギアは段々と闇に魅入られていき、最終的に邪神を自分のカラータイマーの奥底に封じ込めてしまう。邪神のパワーが噴出しないよう、頑丈な拘束ベルトでカラータイマーを封印し、ウルトラマンであることを捨ててしまう。

     当初は何か決定的な出来事(たとえば、タロウによる裏切り、トレギアの誤解、2人の確執)があって、闇に堕ちていったのかと思っていたが、そうではなく、性格的に好奇心が強すぎて闇を探求していった結果、取り込まれてしまったようだ。深淵を覗く者が深淵から覗かれてしまったのだ。

     しかし、かといって闇至上主義というわけでもなく、「光が正義だなんて誰が決めた?」という台詞に象徴されるように、光を相対化したいだけであって、全ては何の意味もないことなのだという虚無主義の立場に立って物事を見ているように思われる。

     光と闇を探求し、全てを知り過ぎてしまったトレギア。世界に絶望し、生に意味を見出せない彼は、光に闇をぶつけて相殺することで残りの余生を面白可笑しく過ごしたいだけなのかもしれない。トレギアから醸し出されるピエロのような雰囲気は、そういったニヒリズムの表れなのだ。

     その意味でトレギアは、夢も希望もなく現代を彷徨える者たちの象徴なのかもしれない。

    cf.)『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6253725.html

    [参考]
    『ウルトラマンタイガ超全集』(編:てれびくんデラックス 出版:小学館)
    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村

     10月3日(土)『ウルトラマンゼット』後半戦突入スペシャルナイト!オンライン座談会が生配信された。司会はウルトラマン大好き芸人の荒井義久。ストレイジの主要メンバーとメイン監督の田口清隆が出演。

    ・荒井義久は第1話にエキストラとして出演。ゴメスから逃げる人々のシーンで映っている。『ウルトラマンオーブ』第1話でガイが乗ってきたクール便の運転手も演じている。

    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6231535.html

    ・キャストの裏話も多数出た。円谷プロの方からウルトラマンのパンツをもらったハルキ役の平野宏周。バコさん役の橋爪淳とお揃いだったという。因みに橋爪淳は自分で買ったらしい。

    ・第9話の作戦室でのシーンが自粛期間後の初撮影。ハルキ役の平野はヘビクラ役の青柳尊哉から自粛中に連絡をもらったのが嬉しかったという。

    ・第14話での河原のシーン。ハルキと父親が再会、握手をするところで、ハルキ役の平野は長かった自粛期間を思い出しながら演じたという。「父さん」の台詞の前に小さい声で泣きそうになりながら「ん・・・」という声があるが、田口監督が気に入り、編集時MAでこの声の音量を上げたという。

    ・第2話でインナースペースで話すハルキとゼット。ここは身振り手振りはあまり使わず、ナチュラルに会話するよう指示。メダルケースの話は脚本にはなく、現場で追加された台詞だった。「そもそも目立ってない」はスーツアクターの岩田栄慶のアドリブ。

    ・第2話でそのインナースペースがいきなり現れるシーンで、壁が急にピカッと光り「うおー、びっくりしたぁ」とハルキが驚くのは素の演技。ハルキ役の平野には内緒で本番で急にフラッシュ球を数個使って光らせたという。

    ・第9話で登場した超電離ケース。実は10キロ近くあり、かなり重く、ヨウコ役の松田リマは持つのが大変だった。また、ユカが車内で持っていたケースも重く、車から降りられなかったという。

    ・第15話でユカとヨウコの後ろにいきなり「ここだよ」と現れるヘビクラ。このシーンでヘビクラ役の青柳はユカ役の黒木ひかりの足を踏んでいた。しかし、安全靴を履いているので痛くない。以降、足を踏むのが流行ったという。

    ・ダークゼットライザーでゼッパンドンに変身するシーンがキャスト陣で再現された。全員不合格をもらい、ジャグラーに斬られるという羽目に。

    ・第14話に出て来たマグロ丼。実はコロナ対策の一環として出演者全員食べておらず、全て食べる演技だった。青柳曰く「これが本当の生殺しか」映像で見ても本当に美味しそうだったが、全て廃棄処分だったのだろうか。

     前回の配信は放送前だったので、ネタバレを防ぐため、話せないことが多かったと思うが、今回は撮影の裏話がたくさん聞けてよかった。

    [参考]
    ストレイジ集結!『ウルトラマンZ』後半戦突入スペシャルナイト!オンライン座談会
    https://www.youtube.com/watch?v=8BhVAI4J8qM 

    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村

     10月3日(土)放送の『ウルトラマンゼット』第15話「戦士の使命」はグリーザ登場回。脚本は吹原幸太。監督は田口清隆。

    cf.)故・吹原幸太についてはこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6267186.html

    ・グリーザの予兆として「虚空振動」という言葉が出て来た。極めてSF的な設定だ。

    ・八王子ならぬ六王子にグリーザ出現。

    ・ジードとゼットのバリアを貫く程の攻撃を見せるグリーザ。

    ・ヘビクラ=ジャグラーも参戦。トライキングに変身する。しかし、歯が立たないと分かり、ガンQとレイキュバスのメダルも使い、ファイブキングに進化。「闇の力、もうちょっとお借りするゼーット!!」

    ・ジードはグリーザに取り込まれてしまう。

    ・ジャグラーがハルキの前に登場。車の運転をさせ「そこ右」とナビする姿がシュールだ。カブラギを強襲し、ベリアルメダルをゲットする。

    ・ゼロメダルとベリアルメダル。ライバル同士のメダルが共鳴現象を起こし、ゼロビヨンドメダルとベリアルアトロシアスメダルに進化。

    ・しかし、ベリアルアトロシアスメダルがゼットライザーに入らない。このあたりは『ウルトラマンオーブ』(2016)でサンダーブレスターへの初変身時にベリアルカードがなかなか入らないシーンや、『ウルトラマンR/B』(2018)でルーブへの初変身時にベリアルクリスタルがなかなか入らないシーンを想起させる。

    cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6231535.html

    cf.)『ウルトラマンR/B』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6244727.html

    ・レッキングバーストを放つグリーザ。ジードと融合しかけているようだ。声を入れたのはリク役の濱田龍臣。

    ・ゼロビヨンド、ジード、ベリアルアトロシアスのメダルを使ってデルタライズクロー登場。グリーザの中で生まれた「宇宙の穴を縫う針」ベリアロクを取り出すことに成功。ジードの中のベリアル因子がグリーザの中で影響して出来たという。

    ・喋る剣ベリアロク。対して、律儀に挨拶するハルキ。

    ・グリーザの光線を食べて、跳ね返してしまうベリアロク。デスシウムスラッシュでトドメ。「Connect the truth」2番が流れるのも良かった。

    ・ヒカリがジードライザーを直してくれたため、オーブ、ギンガ、エックスのメダルをハルキに託すリク。新たに手に入れたメダルは何に使われるのだろうか。

     テレビシリーズでの最強フォームの演出は今回が初となる田口監督。どうしようかと色々考えたという。簡単には倒せない怪獣グリーザを出し、デルタライズクローの強さを強調。『ウルトラマンエックス』(2015)の最終話で自身が演出した屈指の強さを誇る名怪獣を再び演出し、グリーザの更なる魅力を引き出している。暗黒舞踊を参考にしたというあの独特の動きも健在だった。

     特撮も力が入っており、ビルを突き破って出てくるグリーザとデルタライズクローのカットなどは圧巻だった。

     新武器「ベリアロク」はベリアルの顔を象っている点でやはりインパクトが強い。今後、ベリアロクとの会話も注目ポイントで、「デスシウム歯磨き」はいつ出てくるのか気になるところ。しかしながらその一方で、商戦のためかもしれないが、ジードがやっとの思いで葬ったベリアルを手を変え品を変え、色んな形で復活させてしまう点はどうなのか、という意見も散見される。まぁ、それだけ人気が高かった名悪役であり、あの眼の形が忘れられない程秀逸なデザインだったということだろう。唯一の救いは、ベリアル本人とベリアロクとは別人格らしいというところである。

     次回はユカ中心の回。これまでハルキ以外のレギュラーの登場人物たちを深掘りした回がなく、人間ドラマ的部分で物足りなさもあったので、後半戦は重厚な脚本を期待したい。

    cf.)第14話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7211913.html


    [参考]
    TV『ウルトラマンゼット』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

    にほんブログ村 テレビブログ 特撮へ
    にほんブログ村

    PVアクセスランキング にほんブログ村
    たかの特撮ブログ - にほんブログ村


    このページのトップヘ