今年(2020年)は『ウルトラマン80』(1980)放送40周年。CGのない時代の特撮技術の粋を集めた最高峰傑作というファンも多いこの作品。その魅力を少しずつ思い出していきたい。

桜ヶ丘中学校の先生として生徒と関わりながらUGM隊員としての仕事もこなす2足の草鞋(わらじ)生活を送る先生編から始まる。当時流行していた学園ものの影響を受け、先生がウルトラマンという設定。しかし、スケジュールや予算の関係のためか、途中からUGM編として隊員姿のみ描かれるようになり、学校がパッタリと出てこなくなってしまう(それでもゲストで子どもが出てくる回は多かったのだが)。

『ウルトラマンメビウス』(2006)第41話「思い出の先生」では、矢的猛として長谷川初範が再演し、桜ヶ丘中学校の同窓会に出る。そこで、先生を辞めざるを得なかった理由として、相次ぐ怪獣の出現により2足の草鞋が難しくなってしまったことが語られる。

プロデューサーの渋谷浩康はオファーの際、「矢的猛先生へ」という題で手紙を書き、出演の快諾を得た(ただ、当時の子役ひとりひとりまでは再演は実現できず、代役の俳優が演じている)。また、特技監督を務めた鈴木健二は、80放送当時、助監督としてカチンコを叩いており、感慨深いものがあると語っている。

劇中で80が語る「遠く離れたとはいえ、私の心には、常に彼らがいる…。」という台詞は長谷川初範の提案を受けた佐野智樹監督が、その想いを汲んで追加で挿入した言葉である。この先生としての復活はリアルタイム世代の心を打ち、反響が凄まじかったという。生徒たちが80に向かって「仰げば尊し」を唄うシーンは涙なしではいられない程である(このあとで人間体の矢的猛として現れ、生徒たちに自分の口で謝る決意をする)。

この一話で80が再び脚光を浴びるようになったのは間違いないだろう。

cf.)『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html

[参考]
DVD『ウルトラマンメビウス』(2006)第41話「思い出の先生」©円谷プロ・CBC
作品解説書「MEBIUS FILE ⑪」

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