『ウルトラマンネクサス』にはネクサスの対をなす悪の巨人が登場する。

 まずはダークファウスト。変身する斎田リコは主人公・孤門一輝の恋人。実は最初から死んでいた存在であったことが後に判明する、難しい役柄を演じたのは中丸シオン。
 左右非対称のデザインが印象的なダークファウトのモチーフはピエロだ。デザインを担当した丸山浩は「詳しい設定を聞かされておらず、造型段階で女性が変身することを知って、マスクに中性的なイメージを持たせることによって対応した」と語っている。

 次にダークメフィスト。変身する元隊員・溝呂木眞也を演じたのは俊藤光利。後の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』でのクマノ役としても有名。
 ダークメフィストのモチーフは死神。背骨や肋骨をイメージした白いラインが入っている。デザイン担当の丸山浩は漫画『北斗の拳』に出てくるラオウのように、額が割れているマスクデザインを考案した。
 丸山浩は「メフィストが味方になったときに目を発光させる」つもりだったが、そのアイデアはメフィストツヴァイに受け継がれ、「より凶悪な敵」としてツヴァイの目が赤く発光する設定となった。

 脚本段階では、第三の暗黒巨人が登場していた。その名も「ルシフェル」。酉澤安施が描いたルシフェルのデザイン画では、首の左右にファウストとメフィストのマスクが配置され、映画『ULTRAMAN』に登場したビースト・ザ・ワンの要素も採り入れ背中に突起を持たせている。黒を素体とし全身に赤いラインが走るが、青いラインのバージョンも検討されていたという。残念ながら幻の存在となってしまった。

 最後に登場するダークザギ。変身するのは石堀光彦隊員。演じたのは加藤厚成。後に『ウルトラマンメビウス』でのヒルカワ役や、『ウルトラギャラクシー大怪獣バトルNEO』でのダイル役でもお馴染み。ダークザギは「ウルトラマンノアにライバルがいた方が、イベント展開上分かりやすい」というバンダイの要望で製作された。バンダイ側の提案により、背中のノア・イージスという翼のようなパーツを取って、全身を黒くしたノアに、赤いラインを加え、微調整を施し完成した。設定もノアの対であり、製作もノアがベースだったのだ。まさに「光あるところ、闇あり」である。

↓ウルトラマンノア。後に映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』でゼロにウルティメイト・イージスを授けている。


cf.)『ウルトラマンネクサス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5869472.html

[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS