1979(昭和54)年放送の『ザ☆ウルトラマン』はシリーズ初のアニメ作品。
1975(昭和50)年に『ウルトラマンレオ』が放送終了となり、第2期ウルトラシリーズは幕を閉じたが、過去シリーズの再放送が高視聴率を獲得。雑誌の特集や玩具の好評が後押しし、シリーズ再開の機運が高まっていた。
これを受けて、「愛と夢とロマンのシリーズ ウルトラマンⅢ」という企画が立案された。これは、新たなウルトラマンがM78星雲出身とされ、『ウルトラマン』や『セブン』に出演した毒蝮三太夫が防衛隊メンバーで登場するなど、過去作と共通の世界観を持つ実写作品として考えられていたが、製作局のTBSから提示された製作費では実現困難だったため、アニメ作品に変更されることになった。
新たに書かれた企画書「愛と夢とロマンのシリーズ ザ・ウルトラマン」には、新ウルトラマンはエスメラルダ星雲U30(後にU40に変更)星の出身であり、それまでのシリーズとはまったく別の世界観を持つことや、過去作の人気怪獣を登場させることなどが盛り込まれている。
さらに続く企画書「愛と夢とロマンのシリーズ 新・ウルトラマン(仮)」には、「映像表現の拡大」、「実写のような制約のない舞台設定や怪獣デザイン」、そして「神秘性」がスローガンに挙げられている。これは、当時大ヒットした映画『未知との遭遇』(第1-3種接近遭遇など)や『スター・ウォーズ』の影響を受けており、U40の描写や、ギリシャ神話を連想させるウルトラ人の描写に表れている。
また、流行していたアニメ作品『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』といった松本零士のSFアニメに影響も受けており、ヤマトに似た「戦艦ウルトリア」やメーテルに似た「アミア」が生み出された。
アニメ製作は、円谷プロ作品『恐竜探検隊ボーンフリー』(テレビ朝日(当時はNET)系)でアニメーション部分を担当したサンライズ(当時は日本サンライズ)が担当。チーフディレクターとしてタツノコプロ作品『科学忍者隊ガッチャマン』(フジテレビ系)を手掛けた鳥海永行が起用され、2クール目からは『超電磁ロボ コン・バトラーV』(テレビ朝日系)で演出を担当した神田武幸に引き継がれた。
脚本は若槻文三に加え、『ルパン三世』や『天才バカボン』(日本テレビ系)などを担当した吉川惣司や、『ムーミン』(フジテレビ系)や『ド根性ガエル』(TBS系)などで活躍していた星山博之がメインライターとして参加。実績のある製作陣が整った。
スーパーマードック号などの主要メカニックデザインは美術担当の山口修が原案を描き、『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)に参加していた大河原邦男が仕上げていたが、多忙のためシリーズ中盤で降板。後任に河森正治が抜擢された。河森正治はまだ10代の若さであったが、ウルトリアなどのデザインをこなし、シリーズ後半のスペースオペラの盛り上がりに一役買った。後に『超時空要塞マクロス』(TBS系)のデザインなどで脚光を浴びることになる。
ウルトラマンジョーニアスのデザインは美術担当の山口修の原案を元に、キャラクターデザインの二宮常雄がアニメーションとして描きやすい体型に修正した。
主人公・ヒカリ超一郎は正統派二枚目キャラ。ヒーローとして葛藤する姿や、アミアやムツミとの淡い恋愛模様、ジョーニアスとの友情、ウルトラマンの神秘性、といった魅力溢れる作品に仕上がった。
因みに、企画段階でのエスメラルダは映画『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』(2010)のエスメラルダ王家の設定に受け継がれている。
cf.)『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6117436.html
また、近年のウルトラシリーズで脚本や設定監修などを務めている足木淳一郎は『ザ☆ウルトラマン』の大ファン。『ウルトラマンタイガ』(2019)でU40出身のウルトラマンタイタスが登場したのも彼が一役買っているのではないかと思われる。
cf.)前作『ウルトラマンレオ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5936832.html
cf.)次作『ウルトラマン80』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6276509.html
cf.)『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6253725.html
[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
DVD『ザ☆ウルトラマン』©1979円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ザ☆ウルトラマン
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