『ウルトラマングレート』(1990)に続く海外企画として1993(平成5)年にアメリカ・ハリウッドで製作されたのが『ウルトラマンパワード』である。ビデオシリーズとして発売され、後の1995(平成7)年にTBSから放送された。

 円谷プロダクションとメジャー・ハヴォック・エンタテイメントの共同製作。英題は『Ultraman The Ultimate Hero』。当時、円谷プロの取締役営業部長であった円谷一夫がプロデューサーを務め、営業部主導で製作が進められた。

 「『ウルトラマン』をアメリカの最新映像技術でリメイクしたらどうなるか」という試みもなされており、企画発端当初はウルトラマンも怪獣も原典のデザインそのままを使用する予定だったが、新たなデザインにすることが決定。設定・デザインともに現・アニメ監督の前田真宏や現・映画監督の樋口真嗣らによって設立されたアニメーション製作会社ゴンゾが手掛けた。前田真宏によると、コンセプトは「生物感」で、パワードは「仮面としてデザインされた初代のウルトラマンを生き物として置き換えた」という。バルタン星人やドラコ、ゼットンには「昆虫のイメージ」を採り入れている。

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 造型はアメリカ側。造型チーフは映画『プレデター2』を手掛けたケビン・ハドソン。パワードのスーツは、『グレート』以前に使われていたウエットスーツではなく、「フォーム・ラテックス」が使われたが、非常にスムーズに動ける反面、傷みやすかったため、全13話で合計13着のスーツが作られた。

cf.)「特撮のDNA」での展示はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8076514.html

 脚本は、後に「平成ガメラシリーズ」を手掛ける伊藤和典や、ゴンゾ設立者のひとり山口宏によって書かれ、最終的にはアメリカ側のスタッフによって改稿された。

 SFXスーパーバイザーに、映画『ターミネーター2』などで知られるジョセフ・ビスコーシルを招き、本場ハリウッドならではの映像表現が目指された。その爆発表現などは素晴らしかった、と三池敏夫が語っている。

 一方、建物などのミニチュアの作りや扱いが粗末で、第1話を見て危機感を覚えた樋口真嗣らは現地から日本にSOSを出し、追加予算を要請。現地でミニチュアセットの補強や細部に至るまでの作り込みを行った。その出来栄えを写真に撮り、三池敏夫が現地スタッフに見せたところ、「どこに行ってきたんだい?」と聞かれ、実景であると騙せたという。

cf.)『ウルトラマンUSA』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5950915.html

cf.)『ウルトラマングレート』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5948869.html

[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
Blu-ray『ウルトラマンパワード』©円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンパワード
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