2007年に放送された『ULTRASEVEN X』は深夜枠に放送されたウルトラセブン40周年記念作品。


 監督は『ウルトラQ dark fantasy』(2004)や『ウルトラマンマックス』(2005)でメイン監督を務めた八木毅。自身のリスペクトする『セブン』のリメイクではなく、「新しい発想と新しい価値観で作らなければ、やる意味がない」と考え、21世紀にふさわしい新たな「セブン」の創造を目指した。

cf.)『ウルトラQ dark fantasy』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5984914.html

cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html


 さらに、深夜枠で放送されることが決まり、「海外のSF映画やTVドラマに近い感覚で、大人も楽しめる作品」というコンセプトで企画が進行。ホラー要素や怪奇要素が盛り込まれた。本作も他の監督や脚本家に自由な発想で取り組んでもらう「作家主義」を採用、小中和哉、梶研吾、鈴木健二、小林雄次、太田愛、福田卓郎、長谷川圭一、林壮太郎、といった様々なクリエイターが参加している。



 世界観は、エイリアンが潜伏している近未来都市。政府によって人々が常に監視されている高度な管理社会であるが、その一方で、名画座風の映画館や大正ロマン風の洋館が存在するなど、独特の雰囲気が作品を貫いている。アクションにはウルトラシリーズで初めて本格的なワイヤーアクションが用いられた。


 SEVEN Xのデザインを担当したのは酉澤安施。「アダルトなデザイン」というオーダーを受け、プロテクターなど戦闘的な原典デザインをもとに、筋骨隆々で人間離れした宇宙人というイメージで作成。初代ウルトラマンのCタイプスーツの筋肉表現を意識した。

 マスクは原口智生が造型。強い意志や精悍さを表現するため、デザインよりも眉間をシャープにし、目の表現に力を入れた。さらに、プロテクターの下部やアイスラッガーの先端にメッシュ生地を入れるなど、繊細な描写もなされている。ボディ造型は香西伸介。割れた腹筋や肩の盛り上がりを見事に表現した。

 「並行世界」というSF設定を用いることによって原典『セブン』と繋がりを持たせ、最終回では森次晃嗣とひし美ゆり子の客演も実現した。

cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

 情報社会・管理社会といったテーマ、そして大人向きでハードボイルドな作風がシリーズに新たな風を吹き込んだ意欲作である。

cf.)前作『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html

cf.)次作『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6058390.html

[参考]
『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
DVD『ULTRASEVEN X』©2007円谷プロ/ULTRASEVEN X PROJECT
https://ja.wikipedia.org/wiki/ULTRASEVEN_X
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