『ゴジラ』や『帰ってきたウルトラマン』などの怪獣造型で知られる開米プロダクション代表取締役会長・開米栄三が2020424日に白血病で亡くなった(享年90歳)


 もともとはお化け屋敷や遊園地、博覧会の仕事をしていた。映画では戦争ものを取り扱っていたが、1954(昭和29)年に『ゴジラ』の着ぐるみの造型を担当。以来、東宝でゴジラシリーズの造型に携わっていたが、円谷プロの『ウルトラQ』(1966)のマンモスフラワーやガメロンの造型に携わり、続く『ウルトラマン』(1966)でも造型が「間に合わないんで手伝ってほしい」と依頼があり、着ぐるみ製作を手伝うようになった(ただし、クレジットはされていない)。


『ウルトラマン』で一番最初に手掛けたのはジラース。ゴジラを転用してエリマキをつけた。

cf.)ジラース登場回の『ウルトラマン』第10話「謎の恐竜基地」はこちら→
http://ultra-7.blog.jp/archives/6636518.html



 開米プロダクションを設立、1971(昭和46)年には『帰ってきたウルトラマン』の造型を前作担当の高山良策から引き継ぎ、メインで担当することになる。以後、『ウルトラマン80』(1980)までウルトラシリーズの怪獣全般の造型を務めた。因みに、同じ円谷プロ作品では『ミラーマン』の怪獣造型も担当している。「怪獣の表皮にサラシを貼り付けラテックスを塗る」という手法を考案。型崩れせず長持ちする着ぐるみ作りを行った。一番製作で苦労したのは、ウルトラマンの造型。製作費もそうだが、膝や肘の部分がすぐ破けるので、メンテナンスをしたり、銀色の艶を保持するのが慣れるまで大変だったという。

 プロダクションとしては平成ウルトラシリーズの造型にも携わり、晩年は若手の育成にも力を入れた。「(依頼が)来たものは100%作る。できないものはない」「お金のためではなく、いいものを作る」という物づくりの精神を貫いた本物の職人だった。


cf.)『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6315068.html

[参考]
DVD『ウルトラQ』©1966円谷プロ
DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
DVD『帰ってきたウルトラマン』©1971円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/開米栄三
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