2015年に放送された『ウルトラマンエックス』は「つながる力」をテーマにしており、サイバーモチーフを採り入れたウルトラマン・エックスと主人公・大空大地のコミュニケーションを通したバディもの。

 メイン監督は田口清隆。『ウルトラゾーン』(2011)や『ギンガS』(2014)での実績が認められメイン監督に抜擢された。また、実績のあるアベユーイチ、坂本浩一、『ウルトラゾーン』以来の参加である辻本貴則、そして監督デビューとなる冨田卓、が監督陣として名を連ねている。脚本家は10名もおり、そのうちシリーズ構成を務めたのは小林雄次、中野貴雄、小林弘利、黒沢久子の4名。

cf.)『ウルトラゾーン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6055472.html

 防衛チームXio(ジオ)の描写は田口監督の意向で「プロの防衛隊らしさ」が目指され、元自衛官の指導のもと銃器の扱いや敬礼などの演出が本格的になっている。

 また、前作『ギンガS』(2014)に引き続き日産自動車との共同プロモーションが行われており、戦闘車両は日産の100%電気自動車。戦闘機等の設定も復活した。

 因みに、当初はスカイツリーを基地として設定し、星間バズーカにもなり、空を飛ぶという案もあった。

 「怪獣との共存」もシリーズを通したひとつのテーマであり、第19話「共に生きる」にテーマ性が如実に表れている。

cf.)第19話「共に生きる」についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5932692.html

 『ガイア』(1998)や『コスモス』(2001)等でも同様のテーマを扱っているが、本作では現実の自然保護区や猛獣対策のように、やむを得ない場合は殺処分もあり得るという描かれ方をしている。『ギンガ』(2013)からのスパークドールズ設定も引き継いでいるので、エックスの必殺技ザナディウム光線は怪獣をスパークドールズ化するという効果をもつ。

cf.)『ウルトラマンガイア』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5911369.html

cf.)『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

 平成シリーズからの客演もひとつのポイント。ネクサス・マックス・ゼロ・ギンガ・ビクトリーが客演し、これまで客演が少なかったネクサスとマックスの客演回はアベユーイチ監督が担当。ファンに喜ばれた。

 ウルトラマンエックスのデザインは後藤正行が担当。「アーマーを着たウルトラマン」というオーダーだったため、もとから甲冑を着たようなセブンタイプのデザインではなく、初代ウルトラマンを基本デザインとした。いくつかデザインを描いた中で、サイバーモチーフのデザインが採用され、ウルトラマンビクトリーで好評だった黒が配色されている。頭部のデザインはアメリカのSF映画『トロン』(1982)を意識している。因みに、掛け声の「イーッサー!」はギリシャ語で「6」を意味する ἕξ (hex) に由来する接頭辞 εξα- (exa-)が元ネタで、プロデューサーの岡崎聖が発案者。デジタル用語としてギガやテラの上位であることを表すと同時に、「エックス」や「戦(いくさ)」とも掛かっている。 

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 本格派防衛隊や戦闘機の復活。そして異者との共存というテーマ。これら王道路線に加え、サイバー世界、アーマー、バディもの、といった新機軸を見事に融合。近年の「1年に1シリーズと映画1本」という流れを定着させた作品である。

cf.)前作『ウルトラマンギンガS』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6145930.html

cf.)次作『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6231535.html

[参考]
Blu-ray『ウルトラマンエックス』©2015円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンエックス
You Tube 特爆!チャンネル 特撮は爆発だ! #167in大怪獣サロン
https://www.youtube.com/watch?v=-z4cUsdtrKg
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