2018年に放送された『ウルトラマンR/B』(ルーブ)は「家族の絆」をテーマにホームコメディ路線を目指した異色作。
メイン監督は武居正能。シリーズ構成は中野貴雄、約17年振りのシリーズ参加となる武上純希、そして、「第1回円谷プロダクションクリエイティブアワード 金城哲夫賞」大賞受賞の伊藤公志。脚本家チームは計12名に及ぶ。監修は前年に社長に就任した塚越隆行。
アパレルショップを経営する湊家を中心に据え、兄弟であるカツミとイサミがダブル主人公として2人のウルトラマンに変身する。
怪獣に対し、2人で戦う姿が卑怯に映らないよう、ウルトラマンとして半人前である素人ウルトラマンとして描かれ、特撮パートにもコメディ要素が意識的に導入された。2人が協力して戦う中でやがてヒーローとして成長していく過程が描かれている。
また、シリーズ前半の敵である愛染マコトはウルトラマンオーブのファンとして描かれ、湊兄弟がウルトラマンとして落第点であると批判するなど、作品の中で一種のヒーロー論も展開されている。
シリーズ後半には御剣サキという女性の仇役が登場するが、女性がシリーズを通した敵となるのはウルトラシリーズでは珍しく、これも従来のシリーズとの差別化を目指したものと思われる。
前作『ジード』(2017)は家族に対し重い設定があり、展開上ハードにならざるを得なかったが、 本作『R/B』は底抜けに明るく、王道とは違った見応えを発揮している。コメディ路線に対し批判的な意見もあったが、現場からは路線変更しない方がいいとの声が挙がり、コミカルな作風を貫いた。
兄弟ウルトラマンであるロッソとブルのコンセプトは「喋るウルトラマン」。そのため、アフレコ時間が歴代最長に及んだ。
逆に、2人が合体するウルトラマンルーブのときは、神秘性を強調してあまり喋らない設定となっている。また、劇場版では妹のアサヒがウルトラウーマングリージョとなり、後藤正行がデザインした初のウルトラ女戦士が誕生。兄妹3人が合体するグルーブへと繋がっている。
異色作なので、観る人によって好き嫌いが分かれやすく論議を呼んだが、ウルトラマンにバリエーションを持たせることに成功し、ひとつの可能性を示した作品である。
cf.)劇場版についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6244727.html
cf.)前作『ウルトラマンジード』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6238261.html
cf.)次作『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6253725.html
[参考]
Blu-ray『ウルトラマンR/B』©2018円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンR/B
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