『ウルトラマンタロウ』(1973)第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」はテンペラー星人とウルトラ兄弟が登場するスペシャル回の後編。脚本は前編に引き続き佐々木守。監督は真船禎。特殊技術は山本正孝。


・テンペラー星人を倒し、再びバーベキューに興じるウルトラ兄弟。また沖縄の花々のカットが挿入される。剣崎海岸でのロケは日帰りだったというので、前話のシーンと併せて撮影したのだろう。

・調子に乗るタロウに対し、セブンやマンが忠告するが聞く耳を持たない。

・新たなテンペラー星人が登場。特殊スペクトル光線でウルトラマンであることを見破られる光太郎。

・前話と同じ変身・憑依カット。ハヤタの手に注目すると、なんとベータカプセルを持っていない。実はアイテムなしで変身している。手をかざしたときに太陽の光が重なって、カプセルを持っているように見える演出となっている。

・チームワークを無視して個人プレイに走るタロウ。ゾフィーはタロウが態度を変えないままなら、もうタロウはウルトラ兄弟ではない、とまで言う。

・地上から攻めるタロウ、上空から攻めるZAT。お互いが邪魔で攻撃できない。

・光太郎の運転する車を追いかけているうちに目を回して倒れ、円盤内で休むテンペラー。実にコミカルだ。

・なんとテンペラーは蜘蛛に変身することが出来る。赤いガスでさおりを眠らせ、憑依。

・ウルトラマンボールを友達に貸さずに揉めている栄一を放っておく光太郎。自分と同じく、力のある者が個人プレーに走った方がいいときもあると言い放つ。

・テンペラー扮するさおりに捉えられ、ウルトラ兄弟必殺光線を浴びて苦しむタロウ。死の苦しみらしい。ウルトラ兄弟扮するZATに助けられる。

・テンペラーのデザインは鈴木儀雄が担当。当初はカブトムシとゴキブリを合わせたようなイメージで、ブルトン星人と呼ばれていた。バルタン星人とヒッポリト星人など、それまでの強敵の特徴を合わせたデザインとなっており、特に頭部や手はバルタン星人の要素が強く「貫禄の増したバルタン星人」とも呼ばれている。「怪獣軍団」を陰で操る黒幕だったとされ、「怪獣軍団のゴッドファーザー」として巨大ヤプール(改造)に改造ベムスターなどの怪獣軍団を貸し与えたとも言われている。

・特殊スペクトル光線で正体がバレたウルトラ兄弟、倒れていたバレーボールチームに憑依する。しかし、すぐ見破られ、ウルトラ兄弟必殺光線を浴びてしまう。

・テンペラー「見つけたぞ~。見つけた見つけた。」この陽気な声は丸山詠二が担当している。気の抜けてしまう声だ。この声のおかげで、ウルトラ兄弟がピンチなのに微笑ましく観ていられる。

・増長していたタロウは反省し、テンペラーの間合いに入るためにウルトラマンボール作戦を提案する。

・栄一に友達と一緒に投げるよう促し、ウルトラ兄弟と一緒に間合いに入り込むことに成功。
と言っても変身場所は大して近くはなく、十分距離を取っていた。。。

・連携プレイでテンペラーの両腕をタロウカッターで切断するタロウ。

・テンペラーにはタロウのネオ・ストリウム光線、円盤には5兄弟の一斉光線(グランドスパーク)でそれぞれ撃破する。

・バレーのチームを指差し、「タロウ、忘れるな、あの元気な声をな。」と言うのはジャック。かつてMATで自分も増長し、変身不能になるという痛い経験をしたことがあるジャック。チームワークの大切さをタロウに印象づけたかったのだろう。

・バレーボールチームと一緒にマラソンをするZAT。なぜ一緒に走り出したのかよく分からない展開だが、5兄弟に手を振る光太郎の爽やかさがそんな疑問を吹き飛ばしてしまう。『タロウ』=爽やかさ、と言っても過言ではない。

 『タロウ』のメインライターである田口成光によると、ウルトラ6兄弟という発想を打ち出したのは、小学館の学年誌『小学二年生』の編集長であった井川浩であるという。

 当時、講談社で『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』が連載されていて人気だった頃、小学館で最初に「怪獣をやった方がいい」と言い出したのが井川浩。小学館で『帰ってきたウルトラマン』の連載が決まると、井川編集長をチーフに総勢8人体制のチームが作られた。井川浩は「出社しなくていいから円谷プロに行ってろ」とチームに指示し、一週間割り当てで円谷プロに入り浸ったという。

cf.)第33話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6255855.html

cf.)『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

[参考]
DVD『ウルトラマンタロウ』©1973円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/テンペラー星人
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