『ウルトラマン80』(1980)第12話「美しい転校生」は教師編の最終エピソード。ハカセの恋物語だ。脚本は広瀬襄。監督は深沢清澄。特撮監督は高野宏一。
偽の恋文によって公園に誘い出されたハカセ。偶然にもそこで転校生ミリーと出会う。しかし、ミリーは地球侵略を企てるビブロス星人の一員だった。
・ビブロス星人ミリーを演じたのはジュディ・モーリス。声を演じたのは加藤早紀子。『ザ☆ウルトラマン』(1979)でタカシの友達役の声も演じている。
笑顔が可愛すぎる。とくに学校で転校生として紹介され、席に座ってハカセに猫の手で合図するシーンはたまらない。この後の、ファッションたちに絡まれたミリーを救うハカセの「メダカと金魚」の台詞もいい。
・何者かに狙われる猛。本棚が光線で爆発!後頭部に思いっきり火花を浴びている。スタントマンではないようだ。長谷川初範も大変だっただろう。髪が焦げたのではないだろうか。
・塾の日曜テストをサボってデートに出掛けたハカセ。ハカセを心配して学校に訴えてきた母親に、「息子さんは正しく成長している」とハカセを認める発言をする猛。立派な教育者・ウルトラマン80を語るには外せない名シーンとなった。
・「地球人を愛してしまったんです」ミリーにもハカセへの恋心が芽生えていた。エンディングの回想にあるような、デートシーンがもっとたくさん撮影されていたのだろうが、カットされてしまったようだ。80を倒す宣言をしてワープするミリー。
・ゴラとのアクロバティックな闘い。テンポの良いカッティングによって緊張感のある戦いに仕上がっている。スーツアクター・奈良光一はあまりに激しいアクロバティックなアクションのために、撮影中に肉離れを起こしたそうだ。背中からズドンと落ちるカットもあり、非常に危険なアクションにチャレンジしていたことが窺える。
・アローショットとゴラの火炎攻撃。光線技の応酬も熱い。
・たてがみからも光線を発射するゴラ。意表を突かれ攻撃を受けてしまう80。ビハインドレーザーというそうだ。
・バックルビームとサクシウム光線で倒す80。
・ゴラのデザイン担当は山口修。コンセプトは「炎のライオン」。単純でありながら、秀逸なデザイン。泣き声はキングコングのアレンジ。
・ミリーはオランダに行くことになったと説明し、テープに録音したミリーの声を聴かせる猛。涙するハカセに、「これまで以上にしっかり生きるんだ」と説く。ここまで寄り添ってくれる先生はまさに理想の先生だ。
・実はこの回には未公開シーンが存在し、スチール写真が残っている。任務の失敗を悟ったミリーが爆発と共に果てようとするが、間一髪で猛が助け、ミリーに対し生きていくよう説得する。ミリーの行く末にも明確な希望を持たせた展開である。脚本上でも、最後はビブロス星に帰る設定になっていた。おそらく意図的にカットすることによって、美少女侵略宇宙人の話でなく、ハカセの恋物語に終始させ、ミリーの結末を視聴者が気になるよう、また、自由に想像できるよう仕向けたと思われる。
「君は誰かを愛しているか」と主題歌で謳っているように、愛の素晴らしさを教え子に説き、周りの大人たちから毅然と擁護する、教師然とした矢的猛=80の振る舞いは当時の子どもたちの心に深く響いたに違いない。矢的猛を演じた長谷川初範も「こんな先生がいたらいいな」と思って演じていたという。


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