『ウルトラマン』第10話「謎の恐竜基地」はジラースの登場回。脚本は金城哲夫。監督は満田かずほ。特殊技術は高野宏一。

モンスター博士の異名を持つ中村博士は北山湖で密かにジラースを飼育していた。

・北山湖で釣りを楽しむ釣り人・林を演じるのは西條康彦。
『ウルトラQ』(1966)で戸川一平役を演じたことで有名。他にも、
『ウルトラセブン』(1967)第7話「宇宙囚人303」のガソリンスタンド店員役、
『怪奇大作戦』(1968)第5話「死神の子守唄」の楽屋番役、
『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』(1994)のサイジョウ・ヤスヒコ役、
『ウルトラマンマックス』第29話「怪獣は何故現れるのか」の西郷保彦役も演じている。

因みに、奥の方に映っていた眼鏡をかけた釣り人は特殊技術の高野宏一。

・特殊潜航艇S21号がビートルから切り離され、水中へ。

・操縦者はアラシ。コックピットはすごく狭そうだ。


・チラッと映るジラースの尻尾。アラシに見つからずに済んだ。

・下田温泉ホテル。イデ、ハヤタ、アラシはキャップから特別休暇をもらい、ここで疲れを癒す。

・イデはシャワーを嬉々として浴びる。気持ちよさそう。

・ハヤタはなにやら記録を付けている模様。こんなところでも仕事とは、真面目な隊員っぷり。

・アラシは食事を口一杯に頬張る。大食漢のようだ。

・「少年グラフ」の雑誌記者。車の改造が独創的すぎる。。。この車は「ヨタハチ」の愛称で有名な「トヨタスポーツ800」。

・モンスター博士の取材中、ライターに仕込んだカメラを見抜かれ、フィルムのようなものを抜かれてしまう林一郎カメラマン。演じているのは岡村春彦。
『ウルトラセブン』第4話・第6話の通信隊員役、
『ウルトラマンタロウ』第20話「びっくり!怪獣が降ってきた」の米吉役も演じている。

・ホテルのボーイ役でチラッと映るのはウルトラマンのスーツアクター・古谷敏。

・イデと女性記者・久保友子は夜釣りの最中、怪しい男を追う。木にワッペンを貼り付けて目印を作るイデ。意外と利口だ。
久保友子を演じたのは谷育子。声優としても数々の役をこなしている。

・モンスター博士の研究室へと通じていた通路。秘密を知られた博士は2人を監禁する。
中村博士を演じたのは森幹太。二階堂教授の声も当てている。
『怪奇大作戦』(1968)第3話「白い顔」の水上幸一郎も演じている。
2000年に亡くなっている。享年76歳。

・ジラースが夜の北山湖に出現。エリマキが垂れ下がっていてかわいい。

・カーバイドを湖に投げ込む心ない釣り人。カーバイドとは炭化カルシウム。水と混合すると爆発する。この爆発の衝撃で気絶した魚を獲ろうという魂胆だ。現代では誰もやらないが、昔はこんなことをする人もいたようだ。


・おそらくカーバイドの爆発の衝撃を喰らったのだろう。怒ったジラースが出現!

・モンスター博士は実は15年前にネス湖で失踪した二階堂教授だった。ネス湖からジラースを持ち帰り、密かに飼育していたのだ。「ジラースは俺の作り上げた芸術品だ」

・しかし、飼い犬ならぬ飼い怪獣であるジラースに踏みつぶされてしまう。


・博士に壊された通信機を直し、救助を請うイデ。ワッペンの目印がここで役に立つ。

・救助に行くフリをしてサッと抜け出し、変身するハヤタ。第3話のネロンガ回のときのように、ベータカプセルの光がくるくると全身を包む演出。

・投げ上げた岩を熱線で破壊するジラース。ウルトラマンも投げ上げた岩2つをスペシウムで破壊してみせる。何の張り合いだろうか。
ジラースのスーツアクターはゴジラのスーツアクターでもある中島春雄。
着ぐるみも円谷英二が東宝から借りてきたものの流用で、鳴き声もゴジラの早回し。
名前は金城哲夫が考えた。沖縄方言で「次郎叔父さん」を意味する「ジラースー(次郎主)」から。


・ふっとばされたジラースを笑うウルトラマン。シュワッハッハッハッハ。

・ジラースの熱戦三連射をかわすウルトラマン。

・ついにエリマキを取られゴジラになったジラース。闘牛士のようにジラースの突進を捌くウルトラマン。監督の満田かずほによると、ゴジラの状態で東宝に返す予定だったため、意図的に劇中でエリマキを取る演出をしたという。


・ウルトラかすみ切り。すれ違いざまの手刀で急所を斬っているのだろうか。

・口から血を流し、ジラースは倒れる。

・二階堂教授の最期。演じているのは灰地順。
第38話「宇宙船救助命令」で宇宙ステーションV2の吉野隊員役も演じている。


 熱狂・執着が身を滅ぼす結果となった二階堂教授。ゴジラVSウルトラマンの疑似戦という娯楽イベント回でありながら、怪獣の出現も暴走もすべて人間の業が生んだことであったという怪獣特撮の王道パターンを踏まえている。

 沖縄出身で綺麗な海を愛する金城哲夫からすれば、当時行われていたカーバイドで自然を荒らす釣り方などは憎むべき所業であったろう。怪獣=自然とするならば、「いまに自然からのしっぺ返しが来る。」そんなメッセージも含まれているのではないか。

 ちょうどジラース(次郎おじさん)が近所の悪ガキを怒っているイメージだ。

 2020年の『ウルトラマンゼット』第4話ではジラースのウルトラメダルで強化され、エリマキを付けたテレスドンが登場する。エリマキから光線が出たり、汎用性の高い機能が盛り込まれていた。もし元祖であるジラースのエリマキにもそんな機能が備わっていたら、ウルトラマンはもっと苦戦していただろう。

cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

cf.)『ウルトラマンゼット』第4話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6535953.html

[参考]

DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
https://ja.wikipedia.org/wiki/西條康彦
https://ja.wikipedia.org/wiki/岡村春彦
https://ja.wikipedia.org/wiki/谷育子
https://ja.wikipedia.org/wiki/森幹太
https://ja.wikipedia.org/wiki/灰地順
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジラース
https://ja.wikipedia.org/wiki/カーバイド
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