9月5日(土)放送の『ウルトラマンゼット』第11話「守るべきもの」はレッドキング登場回。脚本は先日早逝した吹原幸太。監督は武居正能。

cf.)故・吹原幸太についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6267186.html

・キングジョーストレイジカスタムが完成。興奮して解説するハルキだが、操作技術不足でまだ乗れない。

・採掘場にレッドキングが登場。ヨウコがキングジョーで出撃することに。マイクを渡されたバコさん、「フォースゲート・オープン」の一言。『ウルトラセブン』(1967)でウルトラホークの発進シーンで流れるアナウンスのオマージュだ。当時は満田監督が声を入れていた。

・ハルキの回想シーンで登場したのはギーストロン。前作『ウルトラマンタイガ』(2019)第22話で初登場した怪獣だ。2作連続出演となるので、今回は回想だけの登場となったのだろう。

・今回は実家の深間市に帰省しているので、私服姿のハルキ。変身バンクは隊員服なので、繋がっておらず、少し違和感が残る。

・ベータスマッシュとして闘うゼットの援護に入るキングジョー。意外とシャープな動き。

・ゼットとのダブルパンチは第1話で見せたセブンガー&ゼットのダブルパンチの構図に被せている。

・レッドキング二代目型の別個体が登場。キングジョーが対峙。機体の反応速度が速すぎるらしく、エースパイロットのヨウコでさえもキングジョーは扱いが難しいらしい。「このじゃじゃ馬め~」

・ライトニングジェネレードとM78流・竜巻閃光斬で1体目のレッドキングを倒すアルファエッジ。技の発動バンクが逐一挿入されるので、テンポがわるいが、商戦もあるので挿入はマストなのだろう。

・監督の名前が入った「武居興行株式会社」のベルトコンベア越しのカットなど、今回もミニチュア特撮のひと手間が嬉しい。

・レッドキングが卵を守っていることを知り、父を失った過去がフラッシュバックし、なんてことをしてしまったんだと後悔の念に駆られるハルキ。キングジョーが放った粒子砲を咄嗟にバリアでガードし、レッドキングを守る。ゼットとレッドキングの間に何らかの意思疎通があり、レッドキングは巣穴に帰る。ピタリと争いを止めてすんなりと帰るあたり、レッドキングにしては物分かりが良過ぎる感があった。

・キングジョーはオーバーヒート。気を付けの姿勢をしてから倒れるところは『セブン』第15話のオマージュだが、今回は前のめりに倒れていた。

 怪獣が卵や子どもを抱えているのを発見し、退治を中止し、見逃したり、保護したりする展開は過去シリーズにもよくあるパターン。逆に、卵も含めて全て一掃するケースもあった。

 これまでの回で、人間の都合で目覚めさせてしまった怪獣も遠慮なく倒してきたゼットとハルキ。今回初めて怪獣退治に躊躇いを覚える展開となった。今後、怪獣保護の観念が芽生え、シリーズを通したテーマとなっていくのかは不明だが、次回もハルキが悩む展開になる模様だ。こうした「悩むヒーロー」は、子どもたちに客観的なものの見方を伝えるには良い教材だ。

 サブタイトルの「守るべきもの」とは、人間側からすれば人々の暮らしや命、そして経済の発展であり(採掘もひとつの経済活動)、レッドキング側からすれば、卵であり巣穴の中での安寧な暮らし。人間側の論理でしか考えていなかったハルキが、怪獣側の事情を知る事によりジレンマに立たされ、本当に守るべきものとは何かの判断を迫られる。ウルトラマンとして事態を解決する力を持つ者の判断に全てが委ねられてしまう。だからこそ責任重大であり、ともすれば重責に苛まれてしまう。ヘビクラ隊長が言う「また怪獣が襲ってくる可能性を残した」という点で批判の種を残し、現実社会に寄せたスッキリしない終わり方となった。

cf.)第12話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/7111869.html

cf.)第10話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6974648.html


[参考]
TV『ウルトラマンゼット』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

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