『ウルトラマンタイガ』(2019)に登場するウルトラマントレギア。トレギアが闇堕ちしていった経緯が『ウルトラマンタイガ超全集』(出版:小学館)に収録されている小説「トレギア物語/青い影」に記されている。

 タロウの幼馴染だったトレギア。光のように明るいタロウとは対照的に、暗く内省的である。トレギアとは「狂おしい好奇心」という意味で、その意味の通り、闇に興味を抱いてしまったトレギアは段々と闇に魅入られていき、最終的に邪神を自分のカラータイマーの奥底に封じ込めてしまう。邪神のパワーが噴出しないよう、頑丈な拘束ベルトでカラータイマーを封印し、ウルトラマンであることを捨ててしまう。

 当初は何か決定的な出来事(たとえば、タロウによる裏切り、トレギアの誤解、2人の確執)があって、闇に堕ちていったのかと思っていたが、そうではなく、性格的に好奇心が強すぎて闇を探求していった結果、取り込まれてしまったようだ。深淵を覗く者が深淵から覗かれてしまったのだ。

 しかし、かといって闇至上主義というわけでもなく、「光が正義だなんて誰が決めた?」という台詞に象徴されるように、光を相対化したいだけであって、全ては何の意味もないことなのだという虚無主義の立場に立って物事を見ているように思われる。

 光と闇を探求し、全てを知り過ぎてしまったトレギア。世界に絶望し、生に意味を見出せない彼は、光に闇をぶつけて相殺することで残りの余生を面白可笑しく過ごしたいだけなのかもしれない。トレギアから醸し出されるピエロのような雰囲気は、そういったニヒリズムの表れなのだ。

 その意味でトレギアは、夢も希望もなく現代を彷徨える者たちの象徴なのかもしれない。

cf.)『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6253725.html

[参考]
『ウルトラマンタイガ超全集』(編:てれびくんデラックス 出版:小学館)
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