12月12日(土)放送の『ウルトラマンゼット』第24話「滅亡への遊戯」はデストルドス登場回。脚本は吹原幸太。監督は田口清隆。

cf.)故・吹原幸太についてはこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6267186.html

・ウルトロイドゼロに乗り込もうとするジャグラー。そこにクリヤマ長官が変身したファイブキングが迫る。ゼッパンドンに変身して対抗するジャグラー。合成怪獣対合成怪獣の構図だ。

・ジャグラー「昔、大きな木を斬ったことがあってな…」この台詞は『ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』(2016)の回想台詞だ。争いを止めるために惑星カノンの「命の木」を斬るが、コスモス(ムサシ)やダイナ(アスカ)に「そんなのは光の戦士の戦い方じゃねぇ」と全否定される。ジャグラーの中ではまだ納得がいっていないようだ。自らを正義と信じて疑わない奴らに「正義の危うさを味わわせるため」にウルトロイドゼロが必要という。具体的にウルトロイドゼロで何をしたいのか語られていないので、よく分からない。また、大事に手入れしていた盆栽は「命の木」オマージュのアイテムだった。

cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6231535.html

・インナースペースのジャグラーは顔だけ人間態で体が魔人態のバージョン。表情の演技がほしかったのだろう。

・ファイブキングの隙をつくゼッパンドン。しかし、倒れたハルキを人質に取られ、ハルキを見捨てられず、ファイブキングと相討ちに。ベリアルメダルが長官に奪われてしまう。このとき、どうせなら落ちているメダル全部とゼットライザーも奪ってしまえばいいのに…と誰もが思うのではないか。。。しかし、それでは物語が破綻してしまうのでベリアルメダルのみの回収に留められている。

・ユカ、「地球がひとつの生命体である」というガイア理論を語る。

cf.)『ウルトラマンガイア』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5911369.html

・クリヤマ長官(セレブロ)の口から真の目的が語られる。文明に武器を作らせ、その武器を利用して滅亡させる「文明自滅ゲーム」をしているという。ヨウコに乗り移ったセレブロはベリアルメダルをウルトロイドゼロに投げ込む。ただメダルを投げ込んだだけでウルトロイドゼロに融和してしまう設定が(?)となったが、そこはそうなるようにセレブロが設計をいじったり、予め細工していたのだという妄想で穴埋めしよう。

・世界各地に怪獣が出現。クレッセント、ダンカン、アーストロン、バードン、サタンビートル、マジャバ。『ウルトラマングレート』(1990)に登場したマジャバは田口監督のお気に入り怪獣のひとつ。地図上でもしっかりオーストラリア西部に出現したと表示されている。

cf.)『ウルトラマングレート』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5948869.html

それらの怪獣たちを吸収していったウルトロイドゼロの次なる狙いは、レッドキング。

・「そうか…行ってこい!」悟ってくれたバコさんに見送られ、ゼットに変身して駆け付けるハルキ。レッドキングは吸収された後だったが、卵はかろうじて守る。

・怪獣メダルの力でウルトロイドゼロが変貌。死と破壊の王「デストルドス」が誕生する。吸収した各怪獣の特徴が反映されており、腹部の昆虫顔はおそらくマジャバがモチーフだろう。全体の雰囲気としては『ウルトラマンネクサス』(2004)に出て来たイズマエルに似ている。

cf.)『ウルトラマンネクサス』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5869472.html

・ベータスマッシュやガンマフューチャーも歯が立たない。D4レイを喰らい、消滅するゼット。倒れたハルキにゼットが語りかける赤バックのシーンは、初代『ウルトラマン』(1966)の最終回、倒れたウルトラマンにゾフィーが語りかけるシーンのオマージュ。

cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6642931.html

・ゼット「ウルトラ寂しい気持ちで一杯でございます」シリアスな展開のここでクスッとさせてくるところが吹原脚本の醍醐味なのだろう。

・ヘビクラ=ジャグラー「俺たちの基地を取り戻しに行くぞ」一致団結の雰囲気だが、ストレイジの面々を欺いていた魔人を果たして本当に信用できるのか?「敵の敵は味方」の論理だろうか。

 話の展開としては『ウルトラマンダイナ』(1997)最終章Ⅰで登場したテラノイドがスフィアに憑りつかれゼルガノイドになってしまう件と似ていた。超兵器は諸刃の剣。行き過ぎた科学はときに人類自身の首を絞める。核兵器や原発への警鐘メッセージが読み取れる。実際、レッドキングが吸収されるCG表現はまるで原爆で溶けていくかのような絵作りだった。

cf.)『ウルトラマンダイナ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5972025.html

 次回の最終回に向けて物語が収斂していくが、ジャグラーの真意や立ち位置がまだぼやけているので、最終回でどういうところに落ち着くのかが気になるところ。それにより今後もジャグラー人気が長続きするか否か、左右されることになるだろう。

cf.)最終話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8196855.html

cf.)第23話はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/8068012.html


[参考]
TV『ウルトラマンゼット』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

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