たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    カテゴリ:ウルトラマン > ウルトラセブン

     池袋パルコにて開催中の「ULTRASEVEN6+1展」に行ってきた。

    展示品は多くなかったが、改めて考えさせられる内容だった。

    というのも、令和となった今も戦争は絶えず繰り返され、ロシア・ウクライナ間の戦火に日本も巻き込まれる可能性がある昨今、セブンの掲げる「反戦平和」のテーマが強く想起されるからだ。


    ・ウルトラセブン
    入場するとセブンがお出迎え。バックに書いてある「デュワ」がストレートすぎてにんまりしてしまうが、強さと柔和さが共存する顔、とりわけ目のデザインがすばらしいなぁと改めて思う。

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    ・巨大アイスラッガー。
    展示品の中で、各俳優やアーティストがアイスラッガーの型に色とりどりのデザインを施したものがあり、それぞれ元となる絵画やコメントが寄せられていた。『ウルトラマンギンガS』でアンドロイドワンゼロを演じた最上もがの作品もあり、鮮やかな薄黄緑に染められたアイスラッガーが一番印象的だった。

    他に、錠マエというイラストレーション作家の作品は、キングジョーの各所から紫陽花が咲き乱れているもので、沖縄の喜納昌吉の訴えと通ずるものを感じた。

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    ・セブン、ゼロ、ゼット
    最後はセブン、ゼロ、ゼットの3人がお見送り。ゼットの眼やカラータイマーの発光装飾や各スーツの口や耳のスリットまで、近くに寄って観察させてもらった。

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    あるアーティストのコメントの中に、「政治・外交の失敗で戦争は起こる」「拳銃は人を殺す為の道具でしかない」とあり、同じように「人間と宇宙人の間に立つが仲裁・調停に失敗するセブン」「アイスラッガーは敵を殺す為の武器でしかない」という主旨の言葉があり、その人の作品は赤いアイスラッガーの中に、小さくより鋭利な白いアイスラッガーが描かれていた。

    上手く立ち回って闘い(戦争)を回避することに失敗した時点で敗北しているセブン、事態収拾を図るために仕方なくアイスラッガーを振るうセブン、、、そんな悲しい未来を招かないために反面教師的に描かれた作品。それが『ウルトラセブン』なのだ。そんな主張が読み取れた。

    では、今の日本が取るべき行動とは何か。セブンをヒントにそんなことを考えた。

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6375058.html

    [参考]
    ULTRASEVEN6+1展
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    引き続き「特撮のDNA」レポ。

    『ウルトラセブン』(1967)のブースより。

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6375058.html

    ・セブンのマスクは通称A~Dタイプまで作られた。Dタイプの特徴は口角から下に伸びるラインに切れ込みがないこと。ウルトラマン同様、初めは口を動かせる仕組みだったが、撮影が進むうちに可動させないこととなり、後半は切れ込みがないマスクが使用されたという。

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    ・アイ・スラッガーの形状は少しずつ変化している。最初期型は正面に浅い溝があり、前側の切り込みは丸みを帯びている。よく見ると、切り込みの広さや形状にも若干の変化が窺える。

    また、頭部に固定するためのネジ止めの穴もスラッガーの下にあるものと、側面にあるものがある。

    鏡の前で「今日はどのアイ・スラッガーにしようかな」とネクタイを選ぶのと同じようにスラッガーをチョイスするセブンを想像すると面白い。

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    ・ウルトラ警備隊の衣装。隊員服はアンヌ隊員用。サイン入りのヘルメットはアマギ隊員用のもの。ウルトラガン(初期タイプ)はレプリカ。

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    ・ビデオシーバーはレプリカ。

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    ・ウルトラ・アイ。放射線状の切れ込みが入っている。

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    ・ウルトラホーク3号は2尺モデル。1号はふたつに折られて捨てられていたブリキ製のオリジナルモデルを原口智生が型を取って、FRPで再制作したもの。小さな2号は検討用モデル。金属で作られていて、かなりの重量があるそうだ。

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    ・ウィンダム頭部。高山良策所蔵のラテックス製オリジナル頭部を元にFRPで仕上げたもの。
    レプリカとはいえ、目の表現など、素晴らしいものがある。

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    cf.)その7はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7817138.html

    cf.)その5はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/7747851.html


    [参考]
    「特撮のDNA~ウルトラマンGENEOLOGY~」©円谷プロ・特撮のDNA製作委員会

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     『ウルトラセブン』(1967)第36話「必殺の0.1秒」で、ソガ隊員がリヒター博士を連れて敵の銃撃から逃げるシーンで、謎の人物が映り込んでいるのを発見した。

    画面左上に黒い服の男が。。。


     人里離れたロケ地なので、エキストラなわけがない。おそらくスタッフが誤って映り込んでしまったのだろう。

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

    [参考]

    DVD『ウルトラセブン』©1967円谷プロ

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     『ウルトラセブン』(1967)放送当時の学年誌ではよくセブンの特集が組まれており、色々と勝手に設定が考案され、発表されていたようだ。

     たとえば、四国家分裂説。M78星雲には2つの人種があり、レッドマン系とホワイト系に分かれる。まるで人間世界のブルーカラーとホワイトカラーのようだ。

     さらに、四つの国家に分かれるという。「〇〇族」といって、体を大幅に占める色で判別される。勇士階級のレッド族、知識階級のシルバー族、頭のいいホワイト族、力持ちのブルー族。それぞれが国家を形成している、とされた。

     だが、現在の公式設定はレッド族、シルバー族、ブルー族の3種で、頭のいい種族とされるのはブルー族だ。ウルトラマンヒカリもブルー族で頭がよく、研究により数々のアイテムを開発している。もちろん戦闘もできるのだが。

     一方、戦闘が得意とされるレッド族でも、アイテム開発に携わるケースもある。セブンが開発しジャックに渡したウルトラブレスレットが好例だ。また、息子のゼロにウルトラゼロブレスレットを授けており、プラズマシンクロ装置によって光の国にいながらエネルギーの使用履歴が確認できる仕組みになっている。

     開発したのはセブンではなく他の者という説もあるが、今のところはセブンの開発とみていいだろう。

     2009年に登場したゼロにおいては、レッドとブルーがメインの体色のため、ゼロの母はブルー族ではないかと思われる。光の国では混血が進んでいる模様。

     また、2020年に登場したゼットにおいては、ブルーとシルバーがメインの体色のようだが、所々黒い箇所もあり、今のところM78星雲出身なのかはっきりしていない。デザイン的には新世代になるにつれ色が増えていく傾向にあるようだ。


     また、こんな記事もある。セブン家族のひみつ。

    父は勇士司令部の部長をしていたが、引退。
    母はやさしい人だったが、セブンを生んですぐに亡くなる。
    兄は父の跡を継いで、勇士司令部の部長。
    姉は健康管理局の局次長。

    ・・・セブンは末っ子だった。どこか愛嬌のあるダンの性格を考えると、納得がいく。

     これらは光の国のトンデモ説として片づけることも出来るが、当時の学年誌編集者たちがどうにか面白くしようと設定を懸命に考えていた足跡として、興味深い資料でもある。

     こうした設定の数々は学年誌で特集を組む度に幾度となく発表されるので、後々、整合性が取れなくなることも多かった。しかしその度に、「いままでお知らせしていた情報は間違えて伝えられていたものだった。正しい情報はこれだっ!」と設定を塗り替え更新していった。

     こうした学年誌とのタイアップは情報錯綜の元ではあったが、ウルトラ人気を下支えしていのは間違いなく、新たなシリーズへの原動力を生み出し続けていったのである。

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

    [参考]
    『ウルトラマン裏百科』宇宙囚人207
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     『ウルトラセブン』(1967)第24話「北へ還れ!」はカナン星人とウィンダムが登場し、フルハシ隊員にスポットが当たる回。脚本は市川森一。監督は満田かずほ。特殊技術は高野宏一。

    ・母病気の報を受け、北海道の故郷に帰ってきたフルハシ。しかしロケ地は北海道ではなく、長野。駅名も「野辺山駅」と書いてある。現在は改築されて綺麗な駅舎になっている。

    ・フルハシの妹・マナを演じたのは山口奈々。
    『快獣ブースカ』第45話「魔法の帽子」のシスター役も演じている。声優としての活躍が多い。
    映画『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(1999)では赤い玉の声を演じている(山口ナナ名義)。

    ・母の病が牧場を継がせる為の嘘と分かり、引き返してしまうフルハシ。


    ・カナン星人のオーロラに捉えられてしまう北極圏パトロール機。隊員を演じるのは小沢直平。
    『ウルトラマン』(1966)第36話「射つな!アラシ」の児童会館職員、
    『ウルトラマンA』(1972)第36話「この超獣、10,000ホーン?」の暴走族リーダー・俊平も演じている。

    ・旅客機と衝突し、爆発炎上してしまう。

    ・フルハシをウルトラホーク3号で調査に向かわせるが、3号もオーロラに捉えられ、操縦桿が効かない状態に。正面からは別の旅客機が迫る。


    ・旅客機の操縦士を演じるのは小島岩(いわお)とブルーノ・ルシケ。
    小島岩は『ウルトラQ』(1966)第16話「ガラモンの逆襲」では群馬県警機動隊・警官、
    『快獣ブースカ』(1967)第18話「こちらブースカ!110番」では日の出町派出所・巡査、
    『ウルトラセブン』(1967)第22話「人間牧場」ではメディカルセンター医師を演じている。

    ・衝突まであと20分。自爆360秒前にセットし、脱出するよう指示するキリヤマ隊長。しかし、脱出用レバーが故障!これもカナン星人のオーロラの効果か。よく見ると、レバーが木製であることが分かる。

    ・脱出できないことを知り、狼狽するキリヤマ隊長。


    ・基地には民間人は入れない決まりのため、麓のホテルに案内されたフルハシの母・ユキ。テレビで相撲を観戦。「寄り倒し、柏戸の勝ち!豪快な柏戸、左前みつ、右差しの速攻冴えました!」の実況が流れる。

    ・刻々と時を刻む自爆タイマー。緊張感を煽る。

    ・カナン星人。名前の由来は旧約聖書「出エジプト記」に出てくるユダヤ人約束の聖地カナンから。
    巨大な複眼が特徴的な宇宙人。当時の学年誌によると、熱に弱い種族という裏設定もある。
    声を演じているのは矢野陽子。
    『ウルトラQ』(1966)第2話「五郎とゴロー」の淡島ロープウェイ観光ガイド、第10話「地底超特急西へ」のいなづま号ガイド役としても出演している。


    ・死を目前にした状況で、親子の会話で笑いが起こる。フルハシは泣きながら笑っているようにも見える。BGMなしで笑い声だけが続き、何回もカットバックする2人の顔。この演出がたまらなく良い。
    フルハシの母・ユキを演じたのは市川春代。
    フルハシ役の石井伊吉(現・毒蝮三太夫)は「なんて品のいい人なんだ!こりゃあ、ミスキャストじゃないか?」と語っていたという。
    サイレント映画時代から活躍し「ハル坊」と呼ばれた名女優である。2004年に亡くなっている。享年91歳。


    ・戦時中、戦闘機に乗り、空に散っていった若者たちがよく母や家族への手紙を遺しているが、死ぬ前に母と最後の会話をしたかった、そんな若者たちへの鎮魂歌のようだ。この回でフルハシは一命を取り留めるが、脚本の市川森一の脳裏には特攻隊の青年たちのこともよぎっていたのではあるまいか。カットバックするフルハシの表情は考えさせるものがある。因みに放送当時はベトナム戦争の真っ只中で、沖縄基地から米軍機がベトナムに向けて飛んでいた時代である。

    ・ダンはウィンダムを召喚するが、カナン星人の灯台型基地からビームが発射。電子頭脳を狂わされる。


    ・主人であるセブンに攻撃してきたウィンダム。エメリウムでビームを軽く防ぐセブン。

    ・セブンとウィンダムの追い掛けっこが始まる。途中でセブンが抜け、ウィンダムはひとりで回転し目を回してダウン。

    ・セブンのビームで電子頭脳が正常化。


    ・再び灯台型基地へ攻め込もうとするウィンダムだが、顔面にビームを浴び、再度ダウン。

    ・セブンはクロスガードでビームを防ぎ、ウィンダムを回収。

    ・逃げる灯台型基地をワイドショットで爆砕。


    ・オーロラが解除され、操縦桿が効くようになる。咄嗟に操作し、間一髪で旅客機を避けることに成功。

    ・残り27秒だった。

    ・安堵の表情を浮かべるフルハシ。


    ・隊長に北海道上空のパトロールを命じられ、夕焼けの空をホーク3号でパトロールするフルハシ。
    この夕焼けが美しい。


     準備稿では、旧友の仇を討つためにフルハシがホーク3号搭乗を志願する展開であったという。

        死を目前としたフルハシの緊張感溢れる人間ドラマが展開される一方、特撮パートは「追い掛けっこ」という肩の力を抜いて観られる展開。緊張と弛緩のバランスを取ったエンターテインメント性が光る回となった。

     ただ、残り20分で衝突→360秒(6分)後の自爆設定ということは、本来自爆を解除しても、旅客機と衝突するまであと14分は残っているはずなので、間一髪のすれ違いという演出は計算が合わないことになる。ソガの「20分」という見立てが間違っていたのか、あるいは、カナン星人のオーロラの効果で旅客機やホーク3号が加速されていたのか。はたまた、オーロラの効果で自爆装置も故障してタイマーが狂っていた。などという仮説を立てることも出来る。「カナン星人が計画遂行のためにタイマーを少しずつ遅らせていた」という説が有力なようだが、それならフルハシがタイマーの異変に気付きそうなものである。

     ウィンダムは『平成セブン』シリーズで復活を果たし、『ウルトラマンメビウス』(2006)でもマケット怪獣として活躍し、ファイヤーウィンダムといったカスタマイズもされている。また、近年では『ウルトラマンゼット』(2020)で人間が乗り込んで闘う完全なロボットという設定でリバイバルを果たした。両腕が回転し電撃を放ち、体中からミサイルを発射するという新機能も搭載。これからも末永く愛されるキャラとなりそうだ。

    cf.)『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

    cf.)ウィンダム登場回『ウルトラマンゼット』第4話「二号ロボ起動計画」はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6535953.html

    [参考]
    DVD『ウルトラセブン』©1967円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/山口奈々
    https://ja.wikipedia.org/wiki/小沢直平
    https://ja.wikipedia.org/wiki/小島岩
    https://ja.wikipedia.org/wiki/矢野陽子
    https://ja.wikipedia.org/wiki/市川春代
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラセブンの登場怪獣
    https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/30535.html

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