たかの特撮ブログ

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ウルトラシリーズを軸に
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    カテゴリ:ウルトラマン > ウルトラマンエース

     『ウルトラマンエース』(1972)第20話「青春の星 ふたりの星」で、超獣ゼミストラーが登場し、人々が逃げるシーンで、危ない場面を発見した。

    ロケ地は沼津マリーナ。

    ・ゼミストラーが現れる。

    ・海に飛び込もうとする男性が一人。

    ・綺麗な曲線を描いたフォームで手先から海へ飛び込む。

    ・海に入水し、そのまま真っすぐ泳いでいると、右側から小型クルーザーが。

    ・あ、危ない!右側から来たクルーザーの船底に当たっているように見える。当たる瞬間に深く潜っていれば、直撃を免れているかもしれないが、クルーザーのスピードを考えるとおそらく当たっているのではないか。。。

     エキストラの人か、あるいは現場の撮影スタッフかは分からないが、無事であったことを祈る。。。


    cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html

    cf.)「青春の星 ふたりの星」についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6761086.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンエース』©1972円谷プロ

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     『ウルトラマンエース』(1972)第20話「青春の星 ふたりの星」はゼミストラー登場回。後に『ウルトラマンタロウ』(1973)で主役を演じる篠田三郎がゲストとして出演している、一風変わった印象の回。脚本は田口成光。監督は筧正典。特殊技術は佐川和夫。

    ロケ地は沼津三津浜フローティングホテル「スカンジナビア」、そして沼津マリーナ。

    ・駿河湾上空の夜空を北極星に向かってパトロール飛行中、北斗は空に浮かぶ船を発見する。

    ・「イテッ」頬をつねってみたが、痛い。夢ではないようだ。本部に報告するが、レーダーには船は映っていない様子。

    ・蜃気楼を見たのだ、疲れていて幻覚を見たのだ、と隊員たちは信じてくれない。隊長から休むよう勧められ、休暇を取ることにする北斗。


    ・駿河湾に停泊中の船で、同じものを発見。旗が同じものかを確認するために旗を降ろすと、「バカヤロウ!」と見知らぬ青年に怒られる。「この旗はな、俺の命なんだ」青年の名は篠田一郎。船の機関室で働きながら船が動く日を2年も待っているという。スカンジナビア号と呼ばれている船の本当の名前は「ステラ・ポラリス(北極星)」。3年前に最後の航海をして以来、ホテルとして係留されているという。

     この船の設定は実際のものと同じ。1926年にスウェーデンで建造され、翌1927年から「ステラ・ポラリス」として進水、「七つの海の白い女王」と呼ばれた。1940年にヒトラー率いるドイツ軍に接収されるが、戦後返還・修復され、クルーズ船として活躍。その後、高度経済成長下の日本に売却され、劇中の設定の通り、1970年からホテルとして営業を開始する。2005年に完全閉鎖し、スウェーデンへの売却が決まるが、2006年の曳航途中で老朽化のため太平洋に沈没してしまった。

    ・「俺が大学を飛び出してきた気持ちが、あんたなんかには分かるもんか。自由だ、解放だ。みんな勝手なことばかりやりやがって。真実なんてどこにもありゃしない。一体何を信じたらいいんだ、俺たちは。バカヤロー!」

     この台詞から推測されるのは、篠田は大学闘争に失望したということだ。参加したのか、巻き込まれたのか、はたまた傍観を決め込んでいたのかは不明だが、いろんなしがらみから抜け出したかったのだろう。鎖に繋がれた船を見て、自分と同じだと思ったのだ。同じ境遇の船の中にいることで、一時の心の休養を図りつつ、エンジンを温め、考えを巡らせていたのだろう。一般には大学時代をモラトリアムと呼んだりするが、篠田にとってはこの船が究極のモラトリアムなのだ。

     1960年代後半は世界各地で大衆による異議申し立て運動が起こっていた。ベトナム反戦運動、フランス五月革命、中国の文化大革命、プラハの春、等々。

     新安保条約を巡る60年安保闘争は一旦退潮を見せていたが、上記の世界的な運動の広がりも影響し10年後となる1970年の条約自動更新を巡って70年安保闘争が起きた。東大闘争、日大闘争をはじめ、学生運動も活発化、暴力も行使された。

     篠田の失望はこの70年安保闘争の出来事であろう。もしかしたら篠田の大学は東大だったかもしれない。。。

    ・「俺は2年前ここにきて、鎖で繋がれた船を見たとき、この船もいつかはきっと動くときがあると思った。俺はこの船が動く瞬間に賭けたんだ。その瞬間だけは絶対に真実だ。その日を信じて、俺はここにいるんだ。」自分の全てを懸けるものがこの船だという篠田。

     「その気持ちは俺にも分かるような気がする」と共感する北斗。北斗としては、TACの隊員=大組織の一員として、個人ではどうすることもできない組織の論理に押し潰されたり、組織のしがらみにがんじがらめになった経験があるのだろう。この2人は、青春を鎖で繋がれた者同士なのである。


    ・ひとりでトランプをする北斗。ジャックのカードが出る。「不吉な予感がするなぁ」

     当時、ハイジャックやシージャックが頻繁に起こり、社会問題となっていた。ジャックのカードはそんな社会状況を想起させる。因みに、後の『ウルトラマンタロウ』(1973)の企画当初の候補名に「ウルトラマンジャック」があったが、社会状況に鑑み廃案となっている。だが後に、帰ってきたウルトラマンの正式名として「ジャック」が採用されている。

    cf.)『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

    ・一瞬、船が宙に浮いているのを見て、篠田を呼ぶが、篠田と一緒に確認すると、船は海の上に戻っていた。「楽しい夢を見るのもいいけど、俺まで巻き添えにしないでくれよな!」と文句を言う篠田。

    ・高速で飛んだために焼けただれた船腹を見て、再度船が飛んだことを主張すると、怒った篠田が飛びかかってきた。殴り合いの最中、旗が海に落ち、旗を拾うために飛び込む篠田と北斗。

     「焼けただれた船腹」は戦時中を生き抜いたこの船の往年の錆や傷などだろう。時代を感じさせる感慨深いポイントを脚本の中にしっかりと仕込んでくるあたりは凄い。


    ・大蝉超獣ゼミストラー出現!セミと宇宙怪獣を合成した超獣。岩壁を割って錚々たる登場だ。

    3000度の火炎を吐く。視力はないが、触覚のレーダーがあり、聴覚も良く、20km先の落ちたピンの音も聞き分けるという裏設定もある。

    泣き声は『ウルトラマン』(1966)に出て来たゴルドンの流用。『ウルトラマン物語』(1984)に出て来たときは、キーラの泣き声が流用されていた。

     スーツアクターは図師勲。

    ・よく見ると、逃げるために海に飛び込んだ一般客が、横から来たクルーザーに当たってしまっている。エキストラ(?)の人は大丈夫だったろうか。

    cf.)連続写真はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6763515.html

    ・TACに通信。超獣を海へ追い落としてもらうよう連絡する。水も滴るいい男カットだ。


    ・「船は俺の命なんだ!」北斗のビンタを喰らっても逃げようとせず、船を守ろうと残る篠田。この気迫がいい。

    ・船の底に積んであったダイナマイトで鎖を爆破しようとする篠田。

    ・最後の一本だけ、ダイナマイトが足りず、糸鋸で鎖を切ろうとする。どうみても無謀な選択。


    ・超能力で船を浮かせるゼミストラー。船を飛ばしていたのはこいつだった。だが、なぜ船を宙に浮かせていたのかは劇中では語られていない。エースとの闘いに備えて特訓していたのだろうか。もしそうだとして、特訓が完成していたら、超能力でエースを放り投げたりしていたかもしれない。

    ・南は海へ落ち、泳いで北斗の元へ。今回は水中でのウルトラタッチだ。

    ・炎を顔面に喰らうエース。側転が一瞬遅れたのか、炎が一瞬早かったのか、あるいはその両方か。眼の覗き穴から炎が入ってこなかっただろうか。危険と隣り合わせで命懸けの特撮現場。

     エースのスーツアクターは武内正治。


    ・ゼミストラーの炎で海へ落とされるが、同時に船の最後の鎖も切ることが出来た。「船が、船が動いた・・・」嬉しい表情でも、哀しい表情でもなく、微妙な表情の篠田。意外と簡単に船を鎖から解放できてしまった。今までの2年間は何だったのか。といったところか。

    ・ゼミストラーの顔を海へ押し込むエース。覗き穴から水が入ってくる水攻め状態だ。カットが掛かったらすぐファスナーを開けないと溺死だ。これも緊張感一杯の撮影だっただろう。

    ・豪快な巴投げを決めるエース。

    ・トドメはメタリウム光線。メタリウムは色彩が綺麗だ。

    ・大きな炎を上げてメラメラと燃え上がるゼミストラー。だが、いつものような爆散ではなく、ただ燃えたままヘナヘナと倒れしおれていく終わり方だったのも感慨深い。蝉をモチーフとした怪獣だけに、ある種の「儚さ」や「虚しさ」が感じられる。まるで安保闘争のようだ。

    ・篠田と握手をし、別れる北斗。篠田は大学へ戻るという。「俺は気が付いたんだ。待っていても船は動かない。自分で動かそうとしなきゃいけなかったんだ、ってな」「船を動かしたことを思えば、可能性は十分ある」「さよなら北斗星」

     モラトリアムとの決別。引き籠るわけでもなく、ただ嘆くわけでもなく、自分に出来ることをするために動き出した篠田。表情は晴れやかだ。「北斗」と「北極星=ステラ・ポラリス=船」を掛けた二重の意味の別れの台詞も素敵だ。

     観る者に何かを訴えかけるような、今を迷っている者の背中を押してくれるような、そんな力を感じる脚本であり、演出だった。篠田三郎の爽やかさと青空、そして、海のロケーションがマッチし、画面から潮の匂いが漂ってくるような快さも良い。

     特撮面でも海や炎、豪華客船のミニチュアなど、内容が充実していた。撮影監督の川北紘一によると、水を使うシーンは作業能率が悪く、セットも濡れてしまうし、怪獣の着ぐるみも使えなくなってしまうので、現場スタッフはみんな嫌がるという。海のシーンでは、船の大きさに合わせた細かい波を立てるなどの高等テクニックが必要となり、ただスタジオにプールを作ればいいというものでもなく、意外と大変なのだ。

     シリーズの中ではあまり有名な回ではなく、ゼミストラーの知名度も高くはないが、内容の濃さに関しては十分見応えがあり、考えさせられる回である。

    cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンエース』©1972円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンAの登場怪獣
    https://ja.wikipedia.org/wiki/スカンジナビア(客船)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/安保闘争
    https://seesaawiki.jp/w/ebatan/d/%a5%bc%a5%df%a5%b9%a5%c8%a5%e9%a1%bc
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     『ウルトラマンエース』にはそれまでにない革新的ヒーロー像が求められた。その要素のひとつとして、北斗と南が男女合体変身する設定があるが、エース自体のデザインにもそれが反映された。


     もともとウルトラマンの口には仏像のアルカイックスマイルを彷彿とさせるデザインが起用されているが、エースにはさらに中性的なデザインが模索された。観音像をイメージした顔立ち、耳にはイヤリングのようにも見える形状、頭部のトサカには丸い穴を開けるなど、全体的に円形や丸みといった女性的要素が加わった。

     さらに、スーツ自体をそれまでのワンピース式ではなく、ツーピース式のセパレートスーツにして製作した。これは、『仮面ライダー』など他のヒーロー番組に負けないアクションを目指して動きやすさを追究したもので、スーツアクターが最初に脚部を履き、その後、上からかぶせた胴部を股間のホックで固定するという仕組み。しかし、撮影中に股間のホックが外れるアクシデントが多発したことで、このスーツは第2話までの使用となり、第3話以降は従来のワンピース式に戻った。


     ツーピース式はアトラクション用として使われた後、第40話「パンダを返して!」に登場するスチール星人に流用された。
    第40話を観てみると、

    ・人間体のスチール星人が実に不気味だ。

    ・当時は上野動物園に中国から来たランランとカンカンがおり、空前のパンダブームだった。

    ・スチール星人が一瞬の内にパンダを盗んでしまう。

    ・老人に化けていたのを見破り追い詰める北斗。

    ・エースが宙を舞うオープンカットはツーピース式のときに撮影されたものなので、第3話以降の話にもツーピース式が映っているときがある。

    ・頭部の突起から炎を出すスチール星人。

    ・メタリウム光線を受け、この後爆発する。

    ・パンダを盗む宇宙人という訳の分からない設定が奇抜な面白い回だが、スチール星人自体はそれほど有名ではない。新作の『ウルトラマンゼット』などで登場したら面白いギャグ回になりそうだが、可能性は低いだろう。

     因みに、エースのデザインは東宝特殊美術部に所属していた鈴木儀雄によるもの。超獣デザインも担当した。

     また、ワンピース式では胸の隆起が若干おさえられ、微妙に形状が違っている。

    cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5915827.html


    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマンエース』©︎1972円谷プロ


     1972(昭和47)年に放送が開始された『ウルトラマンエース』。どのように作られたのだろうか。


     前年放送の『帰ってきたウルトラマン』は初代の『ウルトラマン』ほどの高視聴率には届かなかったものの、20%前後の安定した視聴率を獲得。第38話「ウルトラの星 光る時」では29・0%。最終回「ウルトラ5つの誓い」では29・5%にも達した。子ども向けの情報誌などでの盛り上がりや、関連玩具の売り上げも好調で、同年末には次回作の制作が決定していた。

     新作では従来の王道路線から外れた革新的ヒーロー像が模索された。これには、1971年に『仮面ライダー』(毎日放送系)や『スペクトルマン』(フジテレビ系)が放送されるなど、TV特撮の戦国時代が始まっていたからである。

     そこで、市川森一、田口成光、上原正三、という3人の脚本家がそれぞれ最初の企画書を用意する形となった。

     『ウルトラセブン』からシリーズに参加していた市川森一は「ウルトラハンター」というヒーローを考案。これは現代のアダムとイヴ的な男女が合体変身する、という内容で、「北斗」と「南」の設定が書かれている。これは、キリスト教徒でもある市川が、作品にキリスト教的世界観を持たせたかったからだ。事実、自身の脚本回では十字架・ゴルゴダ・バラバなど、新約聖書から拝借したワードが多数散見される。

     企画室の一員として『帰マン』の企画成立や脚本執筆に関わっていた田口成光は「ウルトラV」を考案。敵である「サタン星人」が地球生物と宇宙生物を合体させて作る「超獣」の設定が記されている。これは、『仮面ライダー』のショッカーや、『ミラーマン』のインベーダーなど、シリーズを通した敵が流行していたためと思われる。因みに、ショッカー首領の声を担当していた納谷悟朗がエースの声担当に抜擢されている。

     『ウルトラQ』からシリーズに携わる古参の上原正三は、「ウルトラファイター」を考案。新たなウルトラマンをウルトラ5番目の兄弟として設定し、独自の研究を否定されて心が歪んだ竹中博士が人間に復讐すべく、マシンで怪獣を操る、というマッドサイエンティストを想定した。

     これらの企画が検討され、ウルトラリングでの男女合体変身、ウルトラ兄弟、ヤプールと超獣製造機、などの細かい設定が誕生。「ウルトラA」として台本が制作された。


     「ウルトラハンター」+「ウルトラV」+「ウルトラファイター」=「ウルトラA」というわけだ。


     『ウルトラA』という名で制作進行され、子ども向け情報誌などでの宣伝もすべて「新ヒーロー・ウルトラA」とされていた。

    第6話まではウルトラAとして作られていた。

     ・・・ところが、
    大どんでん返しが起こる。放送直前になって、玩具メーカー・マルサンが販売していた「怪傑透明ウルトラA」という怪獣人形の存在が判明。商標登録の関係でタイトルや第1話の台詞、主題歌の歌詞もすべて「ウルトラマンエース」への差し替えを余儀なくされた。

     これがきっかけで、『ウルトラ〇〇』という商標が取得できなくなったため、『エース』からは全て『ウルトラマン〇〇』という名称が主流となったのだ。

    cf.)前作『帰ってきたウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6315068.html

    cf.)次作『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    DVD『ウルトラマンエース』©1972円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/帰ってきたウルトラマン
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンエース

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