たかの特撮ブログ

特撮ブログです。
ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    カテゴリ:ウルトラマン > ウルトラマンギンガ


     『ウルトラマンギンガS』(2014)第12話「君に会うために」はメトロン星人が登場する千草回。脚本は林壮太郎。監督は田口清隆。

    地球侵略の斥候として送り込まれていたメトロン星人。アイドル文化に乗じてサイリウムの光に幻覚作用を仕込み、地球を侵略しやすくする計画だったが、アイドルとして活躍する千草にメトロン自身がドはまりしてしまう。。。

    ・プロットでは、海から来た獣人とアイドルとの話だったが、プロデューサーの一言で変更となり、メトロン星人が出ることになった。

    ・田口監督回ではチブル星人の眼がキョロキョロと動いたりと、かわいらしく見えるように演出されている。怪獣愛に溢れる田口監督らしい。

    ・原典は田口監督自身が大好きな『ウルトラセブン』第8話「狙われた街」。最初は恐れ多くて手が付けられないと思ったが、中途半端にやったらそれこそ致命的な大火傷だと思い、割り切ってどんどんネタをぶち込んだという。光と影の魔術師とも言われた実相寺昭雄監督のアングルへのオマージュが窺える。基地内が暗いのもそのため。

    ビクトリーとインペライザーの戦闘シーンには鏡張りのビルが登場。とても綺麗で印象的なカットになっている。

    ・このドアップのメトロンも実相寺アングルを意識しているのだろう。脚本の林壮太郎によれば、千草は前作『ウルトラマンギンガ』(2013)で宇宙人には慣れっこなので、話が進めやすかったと語っている。

    ・メトロンといえばちゃぶ台。今回はサイリウムが侵略アイテム。

    ・息を止め瞬間移動して車を脱出してしまう丹葉=メトロン。この辺のアイデアも面白い。
    演じているのは劇作家・演出家のしおつかこうへい。
    今作での田口監督との縁で、映画『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』(2015)では御酒屋慎司役を演じている。

    ・夕陽も切っても切れない関係のメトロン。

    ・ゾアムルチ戦。原典の『帰ってきたウルトラマン』第33話「怪獣使いと少年」ではムルチとジャックとの闘いが長回し1カットで撮影されており、今回もその手法が採用されている。工場地帯の描写や途中にある平たいタンクも再現されており、スタッフの愛が感じられる。ビクトリーがタンクの上を転がるカットでは手前にメトロンがおり、メトロンの上を転がっているようにも見えるのは遊びで狙ったためだろうか。メトロンをどかしてちゃんとタンクを見たい気もする。

    ・長回しの最後の立ち回りで石膏ビルに突っ込むメトロン。きっと何回もリハーサルをしたのだろう。
    素晴らしい長回しとなった。

    ・当初は芸人のキャッチャー中澤が千草のマネージャー役になるという話もあったが、プロデューサーの一言でその話はなくなったそうだ。見てみたかった気もする。

    田口監督は前作でも千草派だったという。それだけに千草の後日談が出来て嬉しかったことだろう。アイドルとして活躍する千草の良い表情が撮れている。

    cf.)『ウルトラマンギンガS』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6145930.html

    cf.)『ウルトラマンギンガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6129654.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンギンガS』©2014円谷プロ
    You Tube 特爆!チャンネル 特撮は爆発だ! #120
    https://www.youtube.com/watch?v=rMqNGsVkYA4
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     『ウルトラマンギンガS』(2014)第8話「朝焼けの死闘」に登場するファイブキング。
    ギンガとビクトリーの連携により、左腕、次いで右腕、と破壊していくシーンがあるが、右腕(レイキュバス)の手が破壊された後の造型も凝っている。カニの身のような繊維質が何本もあり、スーツアクターの五指がしっかり入ってワサワサと動くようになっている。

    この回の監督は田口清隆。怪獣チェックの時間が他のどの監督より長いと評判で、ウルトラマンよりも怪獣たちに感情移入してしまうという田口監督。このあたりの芸の細かさも素晴らしい。

    ツインテールはエビの味がすると言われているが、レイキュバスはやはりカニの味がするのだろうか。あまり美味しそうには見えないが。


    cf.)『ウルトラマンギンガS』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6145930.html
    cf.)『ウルトラマンギンガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6129654.html

    [参考]
    You Tube 特爆!チャンネル 【田口清隆監督登場!】特撮は爆発だ! #240SP
    https://www.youtube.com/watch?v=WpYryjOU7P0&t=395s
    DVD『ウルトラマンギンガS』©2014円谷プロ
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     2014(平成26)年に放送された『ウルトラマンギンガS』は前作『ウルトラマンギンガ』(2013)の2年後の世界を描いた続編である。

     北浦嗣巳プロデューサーにより抜擢されたメイン監督は坂本浩一。シリーズ構成は中野貴雄と小林雄次。防衛隊UPGの登場やもう一人のウルトラマン・ビクトリーの存在が特徴で、メインキャストも根岸拓哉と草川拓弥以外は一新された。製作面でも、ミニチュア特撮による街中での戦闘や遠征ロケの増加など、パワーアップした内容となっている。

     坂本監督はオープンセットでの撮影による巨大感の強調、デジタル合成による世界観の拡大、テンポの良いアクションシーンに特に力を入れたという。

     また、従来のシリーズでは、人間ドラマと怪獣特撮をいかに上手く絡めるか、という作家主義的側面ばかりに腐心する風潮があったが、シリーズを継続するには商戦で好成績を残していかなければならないため、ウルトラマンはもちろん、変身アイテムや武器などのグッズをいかに魅力的に見えるようにするか、という部分も意識している。

     ストーリー展開としては、前作では高校生の青春に主軸が置かれていたが、本作では主人公が防衛隊に入り大人の世界に踏み出しつつ、価値観の違いから簡単には分かり合えない相手・ショウとの関係性に主軸が置かれている。

     また、上司から駒のように扱われる敵役アンドロイド・ワンゼロのドラマも、組織と個人の関係を描いたひとつのテーマとなっている。因みに、終盤で登場するビクトリウム・キャノンを巡る展開は、福島第一原子力発電事故(2011)後の世相を反映したものとなっている。

     ウルトラマンビクトリーのデザインは後藤正行が担当。ギンガが未来を象徴しているので、ビクトリーは過去を象徴し、地底の戦士ということで黒を基調にし、額の形状や、ギンガではなかった腕・脚部の電飾など、挑戦的なデザインとなっている。また、ファイトスタイルも、ギンガがプロレス技やパンチ系が主体なのに対し、ビクトリーはキック技主体にし、差別化を図ったという。

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     『ギンガ』(2013)を発展させ、世界観を拡大したことにより、不動の人気を気付いた本作は、1年間に約2クール分の放送と劇場版を1本というフォーマットを定着させていく端緒となった。また、ギンガはその後続いていく「ニュージェネレーション」の1番手と位置づけられるようになり、『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』(2019)ではニュージェネのリーダー的存在として描かれている。

    cf.)前作『ウルトラマンギンガ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6129654.html

    cf.)次作『ウルトラマンエックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6227759.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンギンガS』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンギンガS
    『映画監督 坂本浩一 全仕事』著:坂本浩一 出版:KANZEN
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     2013(平成25)年に放送された『ウルトラマンギンガ』は円谷プロ創立50周年記念作品。『メビウス』(2006)以来、約7年振りとなる新作テレビシリーズである。

    cf.)『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html


     シリーズ構成は長谷川圭一。企画初期の段階では、『ガイア』(1998)が15周年となることから、主人公を大学生とし、大学教授として高山我夢を登場させる話もあった。また、『仮面ライダーフォーゼ』(2011)(東映)が高校生を主人公としていたことから、差別化のために小学生や中学生を主人公とする案もあったが、最終的に高校生に落ち着いたという。

    cf.)『ウルトラマンガイア』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5911369.html

     メイン監督はアベユーイチ。「夢」をテーマに、高校生の青春の悩みや進路の不安など、ピュアな要素を物語に絡めるジュブナイル・テイストで方向性を定め、設定を作り直していった。ギンガに関しては、ほとんど喋らない「謎のウルトラマン」とし、神秘性を持たせている。これは、ウルトラマンゼロが出自もはっきりしていて、よく喋るウルトラマンだったので、正反対の設定にして存在を際立たせたかったためである。また、地球や宇宙を守るといった高尚な使命感を排し、廃校となった小学校を舞台に身近な人々を守るという設定にし、より親しみやすい作風を目指した。


     ギンガのデザインは後藤正行が担当。コンセプトは「光るウルトラマン」。七色発光LEDの使用を前提に、初代ウルトラマンをベースに各所にクリスタルが配置された。当初は太腿にもクリスタルがあったが、伸縮性の優先を考慮して省略された。また、小学校が舞台ということもあり、最終回以外は従来のウルトラマンより若干小さめの30メートルくらいの身長で戦う設定となっている。

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     登場・着地カットはアベ監督お得意の回転台が使われている。これは銀河=星雲が渦を巻いているイメージから考案したもの。

     怪獣を倒しても、スパークドールズという人形に戻るだけで、怪獣を殺すことがない優しい設定。ギンガのデザインの意外性。とある田舎町を守る高校生たちのジュブナイルといった一風変わった作風。そして、40周年を迎えたタロウの登場。全てが上手く調和し独特な雰囲気を持つ本作は人気を博し、続編となる『ウルトラマンギンガS』(2014)を生み出すこととなる。

    cf.)『ウルトラマンタロウ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5925381.html

    cf.)前作『ウルトラマンゼロ』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6085844.html

    cf.)次作『ウルトラマンギンガS』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6145930.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマンギンガ』©円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンギンガ
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