2020年に放送された『ウルトラマンゼット』(テレビ東京系)は、「傑作」の呼び声が高い大ヒット作となった。『ウルトラマンエックス』(2015)や『ウルトラマンオーブ』(2016)でメイン監督を務めた田口清隆を再びメイン監督に抜擢、人気作家の吹原幸太をメインライターに迎え、シリーズ構成は2人で行われた。
cf.)『ウルトラマンエックス』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6227759.html
cf.)『ウルトラマンオーブ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6231535.html
2020年は東京オリンピック開催予定年だったため、例年より早めに製作が開始された。新型コロナウィルスの感染拡大の影響でオリンピックは延期となり、4月5月は緊急事態宣言で撮影中断もあったが、早めに製作されていたために予定通り6月より放送が開始された。シリーズ構成も務めたメインライター・吹原幸太は5月に急逝してしまうが、この時点で脚本は全て完成していた。第1話の完成間近で亡くなってしまったという。最終回のエンドロールには「In memory of 吹原幸太」の文字が刻まれた。
cf.)故・吹原幸太についてはこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6267186.html
『エックス』(2015)以来、防衛隊が本格的に描かれることはなかった(『オーブ』(2016)でも防衛隊は登場するが、主軸ではなかった)が、本作で復活。ただし、定番である戦闘飛行機ではなく、ロボット兵器を扱う部隊・ストレイジが設定され、『ウルトラマンレオ』(1974)に登場したセブンガーが第1号となり、人気を博す。
cf.)『ウルトラマンレオ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5936832.html
主人公であるナツカワハルキ隊員と一体化するのは、「ウルトラマンゼロの弟子」を自称する1/3人前のウルトラマン・ゼット。3枚のウルトラメダルを使って様々な形態へと変化が可能。最強形態であるデルタライズクローでは、過去の強敵・ウルトラマンベリアルの顔を象った剣・ベリアロクを使うという、奇抜なアイディアが採用されている。
cf.)『ウルトラマンゼロ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6085844.html
ゼットのデザインは後藤正行が担当。本作品の前に後藤がオリジナルで考えていたデザインがあり、それをベースに最初にアルファエッジが描かれた。オリジナルはそこから引き算のように要素を削ぎ落して完成した。当初はカラータイマーなしの方向だったが、2021年公開の映画『シン・ウルトラマン』とデザインが重複するのを避け、Z型のカラータイマーとなったという。
作風は「明るく楽しく」がテーマとされ、ゼットがおかしな日本語を話すなど、コミカルな描写も挟みつつ、観る者に爽やかな印象を与えるよう意識されている。その一方で、中盤では主人公が怪獣保護観念のない世界で怪獣の命を奪うことに悩む様子が描かれたり、終盤では強すぎる破壊兵器を人類が持つことへの疑問が投げ掛けられ、ハードな展開へも振り幅を発揮している。
特撮面においては、ウルトラマンゼロやウルトラマンジード、そしてウルトラマンエースの客演や、ペギラやケムール人、M1号などのウルトラQ怪獣のフィーチャー、そして何より、ニュージェネレーションシリーズで培い高め合った各監督が互いの技術を吸収し合い、新たな映像作りに意欲的にチャレンジしている節が垣間見られ、見応えあるものとなっている。
cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5915827.html
また、『ウルトラマンオーブ』(2016)で人気を博した敵役、ジャグラス・ジャグラーが、ストレイジ隊長・ヘビクラショウタとして防衛隊に潜伏している点も目玉設定。本作を通して『オーブ』(2016)人気が再燃する現象も起きた。
新型コロナウィルスの影響で夏のイベントや各種ヒーローショーが中止となる中、そんな逆風にも負けず商戦は好調、しかも「ネット流行語100 2020」で「ウルトラマンZ」が第6位にランクイン。第25話を最終話として終了したが、終了後も「仮に全50話あったとしたらこんな話もやってほしかった」という妄想話がSNS上で展開されるなど、「ゼット・ロス」が巻き起こる程の人気であった。これは奇抜な設定・伏線と習熟した特撮技術の相乗効果の賜物であり、本作が今後のシリーズ盛り上がりへの起爆剤となったのは間違いない。
cf.)前作『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6253725.html
[参考]
TV『ウルトラマンZ』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンZ
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2020年は東京オリンピック開催予定年だったため、例年より早めに製作が開始された。新型コロナウィルスの感染拡大の影響でオリンピックは延期となり、4月5月は緊急事態宣言で撮影中断もあったが、早めに製作されていたために予定通り6月より放送が開始された。シリーズ構成も務めたメインライター・吹原幸太は5月に急逝してしまうが、この時点で脚本は全て完成していた。第1話の完成間近で亡くなってしまったという。最終回のエンドロールには「In memory of 吹原幸太」の文字が刻まれた。
cf.)故・吹原幸太についてはこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6267186.html
『エックス』(2015)以来、防衛隊が本格的に描かれることはなかった(『オーブ』(2016)でも防衛隊は登場するが、主軸ではなかった)が、本作で復活。ただし、定番である戦闘飛行機ではなく、ロボット兵器を扱う部隊・ストレイジが設定され、『ウルトラマンレオ』(1974)に登場したセブンガーが第1号となり、人気を博す。
cf.)『ウルトラマンレオ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5936832.html
主人公であるナツカワハルキ隊員と一体化するのは、「ウルトラマンゼロの弟子」を自称する1/3人前のウルトラマン・ゼット。3枚のウルトラメダルを使って様々な形態へと変化が可能。最強形態であるデルタライズクローでは、過去の強敵・ウルトラマンベリアルの顔を象った剣・ベリアロクを使うという、奇抜なアイディアが採用されている。
cf.)『ウルトラマンゼロ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6085844.html
ゼットのデザインは後藤正行が担当。本作品の前に後藤がオリジナルで考えていたデザインがあり、それをベースに最初にアルファエッジが描かれた。オリジナルはそこから引き算のように要素を削ぎ落して完成した。当初はカラータイマーなしの方向だったが、2021年公開の映画『シン・ウルトラマン』とデザインが重複するのを避け、Z型のカラータイマーとなったという。
作風は「明るく楽しく」がテーマとされ、ゼットがおかしな日本語を話すなど、コミカルな描写も挟みつつ、観る者に爽やかな印象を与えるよう意識されている。その一方で、中盤では主人公が怪獣保護観念のない世界で怪獣の命を奪うことに悩む様子が描かれたり、終盤では強すぎる破壊兵器を人類が持つことへの疑問が投げ掛けられ、ハードな展開へも振り幅を発揮している。
特撮面においては、ウルトラマンゼロやウルトラマンジード、そしてウルトラマンエースの客演や、ペギラやケムール人、M1号などのウルトラQ怪獣のフィーチャー、そして何より、ニュージェネレーションシリーズで培い高め合った各監督が互いの技術を吸収し合い、新たな映像作りに意欲的にチャレンジしている節が垣間見られ、見応えあるものとなっている。
cf.)『ウルトラマンエース』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/5915827.html
また、『ウルトラマンオーブ』(2016)で人気を博した敵役、ジャグラス・ジャグラーが、ストレイジ隊長・ヘビクラショウタとして防衛隊に潜伏している点も目玉設定。本作を通して『オーブ』(2016)人気が再燃する現象も起きた。
新型コロナウィルスの影響で夏のイベントや各種ヒーローショーが中止となる中、そんな逆風にも負けず商戦は好調、しかも「ネット流行語100 2020」で「ウルトラマンZ」が第6位にランクイン。第25話を最終話として終了したが、終了後も「仮に全50話あったとしたらこんな話もやってほしかった」という妄想話がSNS上で展開されるなど、「ゼット・ロス」が巻き起こる程の人気であった。これは奇抜な設定・伏線と習熟した特撮技術の相乗効果の賜物であり、本作が今後のシリーズ盛り上がりへの起爆剤となったのは間違いない。
cf.)前作『ウルトラマンタイガ』総論はこちら→http://tokusatsu-ultra.xyz/archives/6253725.html
[参考]
TV『ウルトラマンZ』©2020円谷プロ・ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマンZ
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