たかの特撮ブログ

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ウルトラシリーズを軸に
特撮関連の記事を書いています。

    カテゴリ:ウルトラマン > ウルトラマン

     いつだって物語は時代に寄り添うものである。ウルトラシリーズといえどその例外ではない。ウルトラマンの前に度々姿を現してきたバルタン星人もまた、時代の変遷とともに、その描かれ方も移り変わってきた。

     ここでは、飯島敏宏が監督したバルタン回のみを扱い、『ウルトラマン』(1966)第2話・第16話でのバルタン回を昭和、『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(2001)・『ウルトラマンマックス』(2005)第33・34話のバルタン回を平成、と便宜的に呼ぶことにする。そして、「危機意識」「犠牲者数」「子ども」の3点から考察してみたい。

    ・危機意識

     まず、昭和では核兵器への危機意識が強く感じられる。バルタン星人の母星は科学者の核実験のために滅んでしまった。また、ラストでは彼方での爆音と光、という原爆を想起させる演出に、不穏なBGMを被せている。これは、昭和の放映当時はまだ戦争の記憶が色濃く残っていたことや、冷戦下でのキューバ危機など、核戦争勃発の恐れを身近に感じていたことが大きい。

     対して、平成では環境破壊への危機意識が強く感じられる。環境を顧みずに経済を推し進めてきた結果、地球を汚してしまった人間。地球環境を蔑ろにしたまま、いま月や火星といった宇宙にまで汚れた手を伸ばそうとしている。宇宙から見たら、そんな人間は害悪である、というのがバルタン側の大義名分である。核戦争で母星が滅んだという設定は残しつつも、その部分は演出上あまりフィーチャーされていない。昭和期に高度経済成長を遂げ、環境を無視してきたツケが温暖化やゴミ問題、絶滅危惧種、公害、その他色々な形で顕在化してきた平成。明らかに問題意識がシフトしている。

    ・犠牲者数

     昭和では、バルタン側は全滅に近い被害を被る。第2話では約20億3千万のバルタンを乗せた宇宙船ごと爆破され、生き残ったバルタンたちが第16話で復讐するが、これも返り討ちに遭っている。一方、平成では、犠牲者数が格段に減る。『コスモス』ではネオバルタンが自爆を遂げただけに留まり、『マックス』では侵略してきたダークバルタンですら、元の姿を取り戻して生還。犠牲者ゼロという結果となった(人間側の犠牲に関しては描かれていないだけかもしれないが)。

     ただし、昭和の第2話のラストにおいても宇宙船の破壊をそのまま描くのではなく、ウルトラマンが彼方へ運び去ってからの爆音と光、という幾分マイルドな表現になっている点も見逃せない。これは飯島敏宏の持つ優しさの表れではないだろうか。飯島敏宏本人も、「あれは宇宙船をワープさせた衝撃音だった、と解釈してほしい」と弁解し、大量殺戮とも捉えることのできる演出を後悔したという。

     昭和の第2話は製作第1話。様々な設定を脚本に反映させなければならず、科特隊のキャラクター付けも任され、前代未聞の喋らない銀色仮面のヒーローを格好よく演出しなければならない、という逼迫した状況下、どうしても悪役の扱いを丁寧に収めるところまで手が回らなかったのだろう。とはいうものの、バルタン星人の「生命とは何か」という問いや、宇宙語、分身、光線、脱皮…といった演出の数々は、宇宙人として十分にセンス・オブ・ワンダー溢れるものだったし、子どもたちを惹きつける魅力に満ち満ちていた。

     平成ではCG技術とアナログ特撮の融合を図り、そんなセンス・オブ・ワンダーをさらに膨らませつつ、昭和では描き切れなかったバルタン星人にスポットを当て、視聴者とともに理解を掘り下げ、「本当は敵なんかいない」というバルタン問題の理想的解決へと近づけた。昭和の第16話でバルタン殲滅のために新兵器「マルス133」を使用した二瓶正也(イデ隊員)が、平成の『マックス』第34話ではダテ博士として「メタモルフォーザ」を開発、ダークバルタンの身体を元の姿に戻す活躍をしたのは実に感慨深い。

     もし令和となった今、再び飯島敏宏がメガホンを取りバルタン回を演出するなら、「バルタンと人類が友好関係を結び、共存している世界」というような、より理想的なビジョンを見せてくれるかもしれない。

    ・子ども

     昭和では、ホシノ少年が登場するが、大した活躍は見せていない。これは、科特隊のキャラ付けの方に比重を置いたため、ホシノ少年にまで手が回らなかったためであろう。バルタンとの折衝はすべて科特隊、つまり大人たちで行われる。イデの宇宙語は挫折し、ハヤタとの交渉は決裂してしまう(第16話ではイデが開発したパン・スペース・インタープリターが登場するが、バルタンの宣戦布告を翻訳するのみで、交渉は出来ていない)。

     一方、平成では、子どもたちが主体性を持って活躍する。『コスモス』では子どもの夢・願い・希望の象徴としてコスモスが登場し、バルタン側の子ども・シルビィと子どもたちの友好が描かれる。『マックス』においても、「嘘つき少年」と蔑まれながらも諦めずに訴え続けた子どもの活躍が、大人たちを動かす。バルタン側の子ども・タイニーと子どもたちの活躍により、マックスが復活し、銅鐸のようなアイテムによりダークバルタンを止めることに成功する。

     このことから、飯島敏宏が子どもたちに寄せる想いを感じ取ることが出来る。つまり、地球の未来を絶望するのではなくて、明るい未来を信じて夢を持ち、そこに向かって進むこと。他人任せではなく、主体性を持って自分たちで考え続けること。その中で打開策が生まれ、平和問題や環境問題が改善していくことを期待しているのではないだろうか。警鐘や風刺に満ちた作品の中に、ある種の希望が垣間見えるのは、子どもたちへ託した一縷の望みなのだ。

     センス・オブ・ワンダー溢れる空想科学で子どもたちの想像力を刺激し、夢を見せてくれた飯島敏宏。考えるきっかけを与えられた我々は、考え続け行動し続けることによって、ウルトラマンとバルタンが戦わなくて良い未来を迎えたいものだ。できれば彼が存命のうちに。

    cf.)前編はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6859305.html

    cf.)戦時中を生きた子ども時代の自伝的小説『ギブミー・チョコレート』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/7207373.html

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

    cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    DVD『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』©2001円谷プロ/映画ウルトラマンコスモス製作委員会
    DVD『ウルトラマンマックス』©2005円谷プロ
    Blu-ray『ULTRAMAN ARCHIVES 侵略者を撃て』©円谷プロ
    『「ウルトラマン」の飛翔』著:白石雅彦 出版:双葉社
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     『ウルトラマン』(1966)第2話「侵略者を撃て」はバルタン星人の初登場回。監督・脚本はともに飯島敏宏(脚本クレジットの千束北男は飯島敏宏のペンネーム)。特殊技術は的場徹。

     放映では第2話だが、製作順としては第1話。金城哲夫から企画や未確立だった設定を聞かされた飯島敏宏が、暗中模索の中、筆を走らせた脚本から生まれた。

     核実験で滅亡してしまった母星から逃れてきたバルタン星人。地球への移住を希望するが、人間との交渉は決裂し、侵略に走る。巨大化したバルタン星人を倒したウルトラマンは、バクテリア程の大きさになって宇宙船に留まっている約20億3千万のバルタン星人を、宇宙船ごと彼方へ運び去る。遠くで爆発の音と光。とくに説明はされていないが、大量殺戮ともとれる描写がなされている。

     続く第16話「科特隊宇宙へ」も飯島敏宏が監督・脚本を担当。二代目バルタン星人や小型のバルタン星人の群が登場し、陽動作戦を駆使して人類に復讐を仕掛けてくる。その際、前回の戦いで「ほとんど全滅してしまった」という説明が二代目の口からなされている。やはりウルトラマンと科特隊の活躍によりバルタンを倒すことに成功。

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

     その後も幾度となくバルタン星人は登場するが、しばらく飯島敏宏は携わっていない。

     そして時は経ち、2001年。円谷英二生誕100周年であり、ウルトラマン誕生35周年となったこの年、飯島敏宏は再びバルタン星人を演出することとなる。『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』である。7月20日に公開となったこの映画は、ウルトラマンと少年の出会いに力点が置かれた。世界観や設定が一新されたこのシリーズでは、バルタン星人の描かれ方も改められている。争いを繰り広げるバルタンと人間(=大人社会)に対して、子どもたちの夢や願いの形としてコスモスが登場する。バルタンの侵略を止めに入るコスモスであったが、バルタン星人は自爆という道を選び、残されたチャイルドバルタンたちは自分たちが汚してしまった星に帰ってやり直す、という結末を迎えている。

    cf.)『ウルトラマンコスモス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5982670.html

     同年の9.11を経て、2006年、『ウルトラマンマックス』(2005)第33・34話「ようこそ!バルタン星人」(前後編)が現時点で最後のバルタン星人演出となっている。

     バルタン星人は穏健派と過激派に分かれ、過激派のダークバルタンが地球に攻めてくる。バルタン星人の設定が掘り下げられ、より空想科学色の強い回となった。マックスやタイニーバルタン、そして子どもたちの活躍により、ダークバルタンを止めることに成功し、ダークバルタン自身も元の姿を取り戻し、タイニーバルタンと共に母星に帰っていく。

    cf.)『ウルトラマンマックス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5997988.html


     さて、飯島敏宏がバルタン星人を通して我々に言いたいこととは何だったのだろうか。

     飯島敏宏は1932年9月3日生まれ。終戦の1945年8月15日の時点では12歳だった。戦前と戦後を経験したことにより自身の中に相反する2つの価値観を持ち合わせるに至り、そうした境遇が『ウルトラマン』の中に「科学への憧れと懐疑」といった二律背反の傾向を持たせることになる。

    cf.)戦時中を生きた子ども時代の自伝的小説『ギブミー・チョコレート』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/7207373.html

     たとえば、初代『ウルトラマン』における科特隊の活躍。科学の力を以て怪獣や宇宙人に応戦していく彼らは、基本的に科学の力を信じている。イデ隊員が発明する翻訳機や最新兵器は目を見張るものがあり、科特隊だけで怪獣を倒す描写もしばしば存在する。また、第2話においては、防衛軍がバルタン星人に対し、核ミサイル「はげたか」を発射する。これは飯島敏宏によると、限定核であり、原爆のようなものではなく、小さい範囲だけに多大な破壊力を発するような代物として描かれている。科学が発達した近未来ならそんなことも可能であろう、という、科学に対してオプティミストであったと述懐している(核実験で滅亡した星から来たバルタンに対し核を使ってしまったという点は後悔したという)。また、『コスモス』ならSRCの活躍。『マックス』なら重力バランス操作を理由とした『E.T』や『ハリー・ポッター』のようなファンタジー的描写。これらも科学に対する憧れと捉えることができる。

     その一方で、第2話においてはバルタン星の滅亡理由は核によるものとされ、ラストでは彼方での爆音と光、という原爆を想起させるような演出に不穏なBGMを被せている。『コスモス』や『マックス』では行き過ぎた科学と経済活動を原因とした環境問題が取り沙汰されている。こうした科学に対する懐疑といった面も垣間見えるのである。

     このように、科学へのアンビバレントな態度の象徴として、バルタン回は存在する。つまり、バルタン星人とは、我々人類の反面教師であり、科学や経済の進め方を一歩間違えればこうなりかねない、という未来の姿なのだ。実際に、『マックス』第34話では、バルタンたちが実は元々人間と同じ姿形をしていて、行き過ぎた科学と経済の果てに醜い体質変化を遂げてしまった旨が説明されている。

     彼らは「悲劇の宇宙人」であると同時に、「未来の地球人」でもあったのだ。上半身はゴツゴツとして手には大きなハサミを持っているにも拘らず、意外にも下半身はあっさりとした、ある種の知的さをも感じさせるフォルムからは、望まぬ進化を遂げてしまった悲哀すら漂ってくる。あの異形の姿そのものが我々への警鐘なのだ。

    後編に続く。

    cf.)後編はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6867426.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    DVD『劇場版ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』©2001円谷プロ/映画ウルトラマンコスモス製作委員会
    DVD『ウルトラマンマックス』©2005円谷プロ
    Blu-ray『ULTRAMAN ARCHIVES 侵略者を撃て』©円谷プロ
    『「ウルトラマン」の飛翔』著:白石雅彦 出版:双葉社

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     『ウルトラマン』(1966)はどのような経緯で製作されたのだろうか。武田薬品一社提供枠「タケダアワー」で放送された本作は、TBSでは初となるカラー特撮番組である。

     1966(昭和41)年、『ウルトラQ』が満を持して放送され、平均視聴率30%超えという空前の大ヒットを記録。実は次回作は1965年8月頃から検討されていた。「民間人が毎回、怪事件に遭遇する」という『Q』の不自然さを解消すべく、怪事件の解明を専門とした組織「科学特捜隊」が考案され、さらに正義の怪獣「ベムラー」を主人公とする企画書が書かれた。

     メインライターは円谷特技プロ企画文芸部室長・金城哲夫。TBSプロデューサー・栫井巍(かこいたかし)らとともに、様々なアイディアが出していった。

     企画書「科学特捜隊ベムラー」におけるベムラーのデザインは、カラス天狗のようにクチバシや羽根を持ったものであった。しかし、正義のヒーローに見えず、不採用となる。

     続く企画書「科学特捜隊レッドマン」においては、『Q』でケムール人やペギラ等のデザインを手掛けた成田亨がレッドマンをデザイン。甲冑を身に纏ったようなデザイン等を経て、宇宙服なのか模様なのか見分けがつかないようなデザインとなり、余計なものが削ぎ落されどんどんシンプルになっていった。これには、本作品はアメリカへのセールスを前提としており、アメリカの事情に詳しいTBSの大谷乙彦らが「今の形では外国人に受け入れられない。もっと無表情な鉄仮面のようなものの方が謎があっていい。」と提案した影響もあるようだ。

     最後は造型を担当した佐々木明と共に粘土細工に直接手を入れながら完成。このときはカラータイマーはついておらず、後の撮影直前になって勝手に付け足されたという。

    cf.)ウルトラマンのデザインの変遷についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6180062.html

    cf.)ウルトラマンのマスクの造型についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6183384.html

    cf.)成田亨のデザインへの帰還を図る2021年公開予定映画『シン・ウルトラマン』についてはこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/5152928.html

     「レッドマン」というタイトルは、タイトル盗用を防止するためのダミータイトル。この段階で既に、「飛行機事故でサコミズを死なせた宇宙人レッドマンが責任を取ってサコミズの身体を借りる」という基本フォーマットが描かれており、この「サコミズ」という名前は後に『ウルトラマンメビウス』(2006)の隊長役の名前に使われることになる。

     なお、レッドマンは故郷の星を侵略者によって既に滅ぼされていたり、サコミズには人気歌手の恋人がいることなどが盛り込まれている。この人気歌手の恋人の存在も後に漫画『ULTRAMAN』(2011)の設定として採用されている。

    cf.)『ウルトラマンメビウス』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6016964.html

    cf.)アニメ『ULTRAMAN』第3話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6031944.html

     『ウルトラQ』の「ウルトラ」を継承した『ウルトラマン』というタイトルが商標登録されるのを待ち、正式タイトルお披露目となった。

     7月17日の本放送に先立ち、一般試写会が豊島公会堂など都内の各会場で開催された。その最終会場である杉並公会堂での試写会は、第1・2話の上映の他、円谷英二、科特隊のメンバー、ナンセンストリオなどのゲストが登場。ウルトラマンや怪獣たちの立ち回りが披露され、豪華な内容となった。

     この模様が7月10日に『ウルトラマン前夜祭 ウルトラマン誕生』のタイトルで、第3話の特撮シーンの紹介とともに放送され、30%を超える高視聴率を記録した。7月10日が「ウルトラマンの日」とされているのはこのためである。

     TBSから支給された製作費は1クールにつき7000万円(1本につき約538万円)という破格の額であったが、ミニチュアを使った巨大特撮は莫大な費用が掛かり、妥協を許さぬ円谷英二のダメ出しによる撮り直しも相俟って赤字であった。毎週放送するのは予算的にも時間的にも余裕がなく、協議の結果、3クール39本の放送で一旦放送終了することが決定した。

     製作陣の苦悩はさておき、視聴率はほとんどの回で35~40%をキープする大ヒットとなり、第37話「小さな英雄」では最高視聴率42.8%という伝説的記録を叩き出した。

     最終回「さらばウルトラマン」でも37.8%をマーク。ウルトラマンがゼットンに倒されるという衝撃シーンに影響を受けた著名人も多く、大仁田厚や前田日明は「大人になったらゼットンを倒してウルトラマンの仇を取ろう」と格闘技を始めるきっかけになったと語っている。

     また、ゾフィーに命をもらってハヤタと分離し、宇宙に還っていくウルトラマンのラストシーンでは、当時の子どもたちがウルトラマンを一目見ようと窓を開けて夜空を見上げた、という逸話も残っている。

     特撮では、製作費の問題からか、都会の街中での戦闘・破壊は全体的に少なく、山や海、雪原、といった自然の中での戦闘シーンが多い。牧歌的で明るい作風のため、シリアスな内容に寄せた次作『ウルトラセブン』(1967)とファンの好みがよく分かれる。

     『ウルトラQ』を発展させ、今日まで続くウルトラシリーズの礎を築いた画期的作品である。


    cf.)次作『ウルトラセブン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6375058.html

    [参考]
    『ウルトラマン OFFICIAL DATA FILE』DeAGOSTINI.編©TSUBURAYA PRODUCTIONS
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ウルトラマン
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     『ウルトラマン』第10話「謎の恐竜基地」はジラースの登場回。脚本は金城哲夫。監督は満田かずほ。特殊技術は高野宏一。

    モンスター博士の異名を持つ中村博士は北山湖で密かにジラースを飼育していた。

    ・北山湖で釣りを楽しむ釣り人・林を演じるのは西條康彦。
    『ウルトラQ』(1966)で戸川一平役を演じたことで有名。他にも、
    『ウルトラセブン』(1967)第7話「宇宙囚人303」のガソリンスタンド店員役、
    『怪奇大作戦』(1968)第5話「死神の子守唄」の楽屋番役、
    『ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦』(1994)のサイジョウ・ヤスヒコ役、
    『ウルトラマンマックス』第29話「怪獣は何故現れるのか」の西郷保彦役も演じている。

    因みに、奥の方に映っていた眼鏡をかけた釣り人は特殊技術の高野宏一。

    ・特殊潜航艇S21号がビートルから切り離され、水中へ。

    ・操縦者はアラシ。コックピットはすごく狭そうだ。


    ・チラッと映るジラースの尻尾。アラシに見つからずに済んだ。

    ・下田温泉ホテル。イデ、ハヤタ、アラシはキャップから特別休暇をもらい、ここで疲れを癒す。

    ・イデはシャワーを嬉々として浴びる。気持ちよさそう。

    ・ハヤタはなにやら記録を付けている模様。こんなところでも仕事とは、真面目な隊員っぷり。

    ・アラシは食事を口一杯に頬張る。大食漢のようだ。

    ・「少年グラフ」の雑誌記者。車の改造が独創的すぎる。。。この車は「ヨタハチ」の愛称で有名な「トヨタスポーツ800」。

    ・モンスター博士の取材中、ライターに仕込んだカメラを見抜かれ、フィルムのようなものを抜かれてしまう林一郎カメラマン。演じているのは岡村春彦。
    『ウルトラセブン』第4話・第6話の通信隊員役、
    『ウルトラマンタロウ』第20話「びっくり!怪獣が降ってきた」の米吉役も演じている。

    ・ホテルのボーイ役でチラッと映るのはウルトラマンのスーツアクター・古谷敏。

    ・イデと女性記者・久保友子は夜釣りの最中、怪しい男を追う。木にワッペンを貼り付けて目印を作るイデ。意外と利口だ。
    久保友子を演じたのは谷育子。声優としても数々の役をこなしている。

    ・モンスター博士の研究室へと通じていた通路。秘密を知られた博士は2人を監禁する。
    中村博士を演じたのは森幹太。二階堂教授の声も当てている。
    『怪奇大作戦』(1968)第3話「白い顔」の水上幸一郎も演じている。
    2000年に亡くなっている。享年76歳。

    ・ジラースが夜の北山湖に出現。エリマキが垂れ下がっていてかわいい。

    ・カーバイドを湖に投げ込む心ない釣り人。カーバイドとは炭化カルシウム。水と混合すると爆発する。この爆発の衝撃で気絶した魚を獲ろうという魂胆だ。現代では誰もやらないが、昔はこんなことをする人もいたようだ。


    ・おそらくカーバイドの爆発の衝撃を喰らったのだろう。怒ったジラースが出現!

    ・モンスター博士は実は15年前にネス湖で失踪した二階堂教授だった。ネス湖からジラースを持ち帰り、密かに飼育していたのだ。「ジラースは俺の作り上げた芸術品だ」

    ・しかし、飼い犬ならぬ飼い怪獣であるジラースに踏みつぶされてしまう。


    ・博士に壊された通信機を直し、救助を請うイデ。ワッペンの目印がここで役に立つ。

    ・救助に行くフリをしてサッと抜け出し、変身するハヤタ。第3話のネロンガ回のときのように、ベータカプセルの光がくるくると全身を包む演出。

    ・投げ上げた岩を熱線で破壊するジラース。ウルトラマンも投げ上げた岩2つをスペシウムで破壊してみせる。何の張り合いだろうか。
    ジラースのスーツアクターはゴジラのスーツアクターでもある中島春雄。
    着ぐるみも円谷英二が東宝から借りてきたものの流用で、鳴き声もゴジラの早回し。
    名前は金城哲夫が考えた。沖縄方言で「次郎叔父さん」を意味する「ジラースー(次郎主)」から。


    ・ふっとばされたジラースを笑うウルトラマン。シュワッハッハッハッハ。

    ・ジラースの熱戦三連射をかわすウルトラマン。

    ・ついにエリマキを取られゴジラになったジラース。闘牛士のようにジラースの突進を捌くウルトラマン。監督の満田かずほによると、ゴジラの状態で東宝に返す予定だったため、意図的に劇中でエリマキを取る演出をしたという。


    ・ウルトラかすみ切り。すれ違いざまの手刀で急所を斬っているのだろうか。

    ・口から血を流し、ジラースは倒れる。

    ・二階堂教授の最期。演じているのは灰地順。
    第38話「宇宙船救助命令」で宇宙ステーションV2の吉野隊員役も演じている。


     熱狂・執着が身を滅ぼす結果となった二階堂教授。ゴジラVSウルトラマンの疑似戦という娯楽イベント回でありながら、怪獣の出現も暴走もすべて人間の業が生んだことであったという怪獣特撮の王道パターンを踏まえている。

     沖縄出身で綺麗な海を愛する金城哲夫からすれば、当時行われていたカーバイドで自然を荒らす釣り方などは憎むべき所業であったろう。怪獣=自然とするならば、「いまに自然からのしっぺ返しが来る。」そんなメッセージも含まれているのではないか。

     ちょうどジラース(次郎おじさん)が近所の悪ガキを怒っているイメージだ。

     2020年の『ウルトラマンゼット』第4話ではジラースのウルトラメダルで強化され、エリマキを付けたテレスドンが登場する。エリマキから光線が出たり、汎用性の高い機能が盛り込まれていた。もし元祖であるジラースのエリマキにもそんな機能が備わっていたら、ウルトラマンはもっと苦戦していただろう。

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)『ウルトラマンゼット』第4話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6535953.html

    [参考]

    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/西條康彦
    https://ja.wikipedia.org/wiki/岡村春彦
    https://ja.wikipedia.org/wiki/谷育子
    https://ja.wikipedia.org/wiki/森幹太
    https://ja.wikipedia.org/wiki/灰地順
    https://ja.wikipedia.org/wiki/ジラース
    https://ja.wikipedia.org/wiki/カーバイド
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     『ウルトラマン』(1966)第22話「地上破壊工作」はテレスドン登場回。脚本は佐々木守。監督は実相寺昭雄。特殊技術は高野宏一。

     実は地球には地底人がおり、地上に攻撃を仕掛けてくる。当時のSF界で流行っていた「地球空洞説」がこの回のモチーフではないかとされている。

    ・パリ本部のアンヌ・モーハイム隊員を本人かどうか光線チェックするキャップ。いきなり銃を向けるので一瞬ドキッとする演出。

    ・光線チェックされたカード。「PAR-24 ANNE MORHIM」と書いてある。パリ本部の24番目の隊員ということだろうか。

    ・ロケット操縦の技術指導顧問としてハヤタがアンヌとともにパリへ行くことに。イデが「だいたいお前はあまり役立たん方だからな」と聞き捨てならない台詞を吐く。


    ・ハヤタが出発した途端、各地の電波に異常が生じる。科特隊にも電波障害を起こす装置が置かれていた。

    ・装置を分解すると数々の部品から成っていることが分かる。画面に映っているだけでも49の部品がある。

    ・ケリチウム磁力光波を出す装置だった。部品のひとつ、ゲルマタント鉱石は地下4万mの地底にしか存在しないという。
    つまんで解説するのは福山博士。演じているのは福田善之。
    第19話「悪魔はふたたび」でも福山博士として登場。
    また、『ウルトラセブン』(1967)第12話「遊星より愛をこめて」(欠番)でも福田博士として出演している。


    ・パリに行ったはずのアンヌ隊員がアンテナのついたリモコンのようなものを持って何かをしている現場を発見。追い掛けるが逃げられてしまう。

    ・現場に落ちていたのはハヤタの通信機だった。

    ・テレビセンターを張るイデ。天井模様とBGMが印象的なカット。実相寺監督の作品にはシンメトリーや幾何学模様の背景カットがしばしば登場する。


    ・現れたアンヌ隊員は地底人だった。肌色のハンペンのようなものを貼って目の退化を表現。この辺のチープさがまた何ともいえない味を醸し出している。因みにこのときの髪型はストレート気味。他のシーンではウェーブが掛かっている。

    ・地面が盛り上がるテレスドンの登場カットは圧巻。

    ・「アッハハハハハハ!」高笑いする地底人のドアップが印象的だ。


    ・ビルとビルの間の路地から見えるテレスドン。奥へと走り去る地底人。この構図も良い。

    ・合成した炎が素晴らしい。火炎が丸く巻き上がって一瞬、人魂のようになる。テレスドンのスーツアクターは鈴木邦夫。

    ・ビートルから投下されるナパームの嵐!

    ・テレスドンが見えなくなる程の爆発量。あたり一帯炎の海だ。


    ・光と影を操る実相寺監督。絵画に出てくるような構図が素晴らしい。「キャップ~!」と駆け寄ってくるイデと合流する面々のカット。この構図はちょうどキリコの『通りの神秘と憂愁』に似ている。1914年に描かれたものであり、第一次世界大戦への不安を表したものとされている。絵画に出てくる大きな影は戦争や死の暗喩だという。芸術に造詣の深かった実相寺監督なら意図的に挿入してもおかしくない。或いは意図せず自然にこの構図になっていたか。


    ・仮眠マスクで眠らされ、催眠状態に置かれ、光の明滅で操られ変身させられるハヤタ。

    ・だがしかし、変身したら普通にウルトラマンとしてテレスドンに立ち向かうのだった。投げ技炸裂。
    地底人に操られて街を壊す→科特隊の活躍で正気に返る、という展開も面白そうだが、もし提案しても周りの圧力で廃案になっただろう。


    ・ウルトラマンの前跳び蹴りが決まる。

    ・投げ技のオンパレードだ。最後は頭上に持ち上げてから投げ落とした。


    ・本物のアンヌ・モーハイム。目のインパクトが凄いが、化粧のせいか。もともと目が大きいのもあるのだろう。演じているのはアネット・ソンファーズ。結局、ハヤタは改めてパリへ行くことに。


     怪獣らしく大暴れするテレスドン。ナパーム弾も効かないというなかなかの強者だった。成田亨によるシンプルなデザイン、地底を掘り進みそうな尖った顔、闇夜に光る目。茶色いボディが怪しく艶やか。やはりテレスドンには夜が似合う。

     造型は高山良策。ウレタン製の表面に布を貼ることにより、皺を表現。実相寺監督はテレスドンを「オケラのような奴」と言い表したという。よく自分の担当回の怪獣を揶揄する実相寺監督だが、怪獣愛は並々ならぬものがある。スペシウムで爆散という手法を嫌い、それぞれ異なる形の最期を迎えさせている。

     科特隊の内部をあえて暗くしたり、顔をドアップで撮ったり、芸術性のあるカットを挿入したりと、光と闇を操った「独創的」な絵作りも特徴的だ。

     空の上ではなく、足元の下に敵がいると想定し、地上を火の海へと化す脚本を書いた佐々木守。高度経済成長を謳歌していた日本人に、戦火に散っていった者たちの無念を思い出させようとしたのだろうか。ナパームで地上を焼き尽くしたカットは渾身の東京大空襲再現を意図しているようにも見える。或いは、1966年当時繰り広げられていたベトナム戦争の惨状を訴えようとしていたのだろうか。

     近年では、2015年の『ウルトラマンエックス』第3話「夜を呼ぶ歌」で地底女とテレスドンが登場。テレスドンがトルネードしながら突っ込むという新たな技を披露している。また、『ウルトラマンゼット』(2020)第4話「二号ロボ起動計画」ではジラースの怪獣メダルの力を得てエリマキテレスドンとして強化改造されている。シンプルゆえに汎用性が高い地底怪獣の代表格となった。

    cf.)『ウルトラマン』総論はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6642931.html

    cf.)テレスドン登場の『ウルトラマンゼット』第4話はこちら→http://ultra-7.blog.jp/archives/6535953.html

    [参考]
    DVD『ウルトラマン』©1966円谷プロ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/福田善之
    https://ja.wikipedia.org/wiki/アネット・ソンファーズ
    https://ja.wikipedia.org/wiki/テレスドン
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